Bactria
もともとは中央アジアはアムダリア(アム河)あたりの地名。 アレクサンドロスの東方遠征とその後の後継者戦争を経て、セレウコス朝の領土となり、さらに紀元前255年頃に独立、バクトリア王国が建てられた。 ギリシャ系のバクトリア王国は周辺地域を支配し、盛時にはインダス川流域をも支配下に置いた。 のち、イラン系の遊牧民、トハラ族の侵入を受け、紀元前139年頃に滅んだ。
前回までは殷から漢にかけて中国を解説してきました。今回からは、この間(約1500年間)に登場した北方遊牧民について、晋が建国される直前までの動きを解説していきます。ここでは前回までに少し登場した匈奴や犬戎、そしてゲルマン人の大移動の原因となったフン人などを扱います。 →ギリシアや中国と異なり、遊牧民族は自らの歴史を記述する文化を持っていなかった。そのため、史料で最初に登場するのは紀元前7世紀に台頭したスキタイである。犬戎はスキタイと同時期に鎬京に侵入した。 →スキタイは紀元前4世紀ごろにスキタイ文化を形成し、動物文様の武器などが作られた。また、このころ陰山山脈周辺では匈奴(きょうど)が台頭し、…
はじめに 今年の国立大学の入試問題を解答し、次年度の受験生のヒントにしたいと考えます。 今回は名古屋大学です。文学部、情報学部文系のみの設定です。古代ギリシア史でたまに奇問が出題され(理由はお察しの通り)、しばしば『絶対に解けない受験世界史』で批判を受けます。東アジア史や中央ユーラシアの問題も出題ミスや「詰めの粗さ」は目立ちますが、内容が悪い訳ではありません。 新版出ました。 絶対に解けない受験世界史4: 悪問・難問・奇問・出題ミス集 作者:稲田義智 パブリブ Amazon 解答例は正解ではありません。著作権はぶんぶんにあります。 解答例作成の方針と凡例 問題 受験生と同じく何も見ないで解答す…
栃木県宇都宮市の大谷寺について取り上げる。バ―ミヤン石仏との共通点が見られ、実際はアフガニスタンの僧侶が彫刻したものと考えられているという。それはなぜか。次の流れで紹介していく。 ・大谷磨崖仏(おおやまがいぶつ)・大谷寺(おおやじ)・大谷資料館と大谷石・菩薩半跏像(伝如意輪観音)・アルカイック・スマイル・アレクサンドロス大王の東方遠征の影響・グレコ・バクトリア王国とインド・グリーク朝・まとめ ■大谷磨崖仏(おおやまがいぶつ)所在は栃木県宇都宮市。 大谷石の巨大な石窟の壁にレリーフ状に仏が彫られている。その数は全部で10体とされる。珍しい技法とされ、彫った岩壁面に粘土を着せている。 平安時代中期…
ブッダの教えは、徹底して「苦・無常・無我」である。そして、四諦・八正道。因縁生起であり、不滅の実体は認めない。パーリ語の経典を読めば、それぞれテキスト的には矛盾と逸脱はないことがわかる。 しかし、大乗仏教になると、「常楽我浄」と大転換していく。永遠不滅の実体(仏性、法身、阿頼耶識)を立てる。明らかに、パーリ仏典と矛盾する。逸脱する。 ▽どうしてそうなったのか。 ひとつには、ヴェーダの教えをもととするヒンドゥー教に呑み込まれたり、互いに影響を与えあって形成されていったとみる。 ヴェーダの教えは、不滅の実体であるところのブラーフマン(いわば宇宙)とアートマン(真我)か一体、一如であると説く。〝アハ…
(世界の歴史まっぷより)前回チラッと登場したアレクサンドロス大王が今回の記事の主役です。彼は見方によって英雄か侵略者か変わる代表的な人物と言えるでしょう。マケドニア出身のアレクサンドロスは、紀元前334年、父フィリッポス2世の後を継いで東方遠征に駆り出した。アレクサンドロス大王像 (G.dallorto作、wikipediaより) →エジプトを征服し、その後アケメネス朝も滅ぼした。インド北西部まで領土を広げ、各地に自らの名を冠した都市、アレクサンドリアを建設した。現在のエジプトの都市アレクサンドリアはそのうちの1つである。 →アレクサンドロスは32歳のときにバビロンで急死し、後継者を巡って戦争…
・121年 4.? 〔参考〕『三国史記』「新羅本紀」によれば、倭人が秦韓の東辺に侵攻したという。 ・122年 4.? 〔参考〕『三国史記』「新羅本紀」によれば、新羅に台風が来て、木々を倒して瓦を飛ばしたという。都人は倭の兵が来るのではないかと考えて山谷に逃げたが、新羅王,朴祇摩は諭して止めさせたのだという。 ※これは噂が広まったのであり、実際に倭人が来襲したわけではない。しかし、倭人の侵攻が新羅の人々にとって脅威であったことを示すとも考えられる(若井敏明『謎の九州王権』)。 ・123年 3.? 〔参考〕『三国史記』「新羅本紀」によれば、新羅は倭国と講和したという。 ※「倭国」という形で、政治組…
日本はアジアの東端にあたる。ゲルマン民族大移動、中国の五胡十六国を理解すれば、当時何が起きていたかがよりわかるようになると考えられる。西洋と東洋の間の国々で何が起きていたか。次の流れで紹介していく。 ・西洋の民族大移動・ゲルマン人とは・フン族の西進とローマ帝国への影響・フン族とは・匈奴とは・月氏について・クシャーナ朝・中国の五胡十六国・地球の気候変動と小氷河期 ■西洋の民族大移動西洋・ヨーロッパにおいて、西暦300年~700年代にかけて民族の大移動が起こった。※小移動は以前より起こっていたとされる。気候変動によって大きな変化が起きた時期である。 特に4世紀末から6世紀中ごろゲルマン人の大移動が…
マイナーすぎて誰も知らないかもしれません。2億4千万人と日本の倍近くの人口を誇るパキスタン。最大の都市はインダス河河口に近くアラビア海に面する港湾都市カラチで都市圏人口2280万人です。パキスタン第二の都市は北部パンジャーブ地方の中心都市ラホールで、こちらも都市圏人口1025万人を誇ります。 そのラホールから北に100㎞程離れたところにシアールコートはあります。パンジャーブ州シアールコート県の県都です。人口は100万人。地方都市とはいえかなりの規模です。古代ではサカラ(サンスクリット語)、古代ギリシャ語ではサンガラと呼ばれていました。その歴史は古く、有名な叙事詩マハーバーラタにも登場しています…
アフィリエイト広告を利用しています # アレクサンダー大王 アレクサンダー大王は紀元前4世紀にマケドニア王国を統治し、東方遠征を行って古代オリエントの大部分を征服した伝説的な英雄です。彼は西はギリシャ、南はエジプト、東はインダス川までの広大な領土を支配し、ギリシア文化と東洋文化の融合を促進しました。彼は歴史上最も偉大な軍事指導者の一人として称賛されています。 ## 生い立ちと即位 アレクサンダー大王は紀元前356年にマケドニア王フィリッポス2世とその妃オリュンピアスの息子として生まれました。彼は幼少期から優れた教育を受け、特にアリストテレスに師事しました。彼は父王の軍事的な才能を受け継ぎ、16…
古代のユダヤ人の東方への移動に関する伝承などをまとめる。次の流れで紹介していく。 ・キルギスの建国神話とマナス叙事詩・クリミア半島のチュフート・カレのユダヤ人墓地・中国河南省開封市の重建清真寺記碑・秦氏の祖先とされる弓月の君・余談:イダについて・秦・百済と扶余族・朝鮮の秦韓国・日本の秦王国・中国への朝貢に関して ■キルギスの建国神話とマナス叙事詩 キルギスはオオカミを始祖とする建国神話を持つ。 また、とある民族に関する伝承がある。魚が好きな人は東へ行き日本人になった。肉が好きな人は西へ行きキルギス人になった。 キルギスに「マナス叙事詩」という民族叙事詩がある。マナスは勇士である主人公の名前とさ…
近年は大学受験で世界史を選択する受験生も多い。そこで、受験世界史にとって必要な考え方や前提知識を考察することにする。 前提知識:地理 第一に、世界史は世界(地球上)で発生した歴史についての科目である。そうである以上、地理は避けられない。ただ、中の人は地理といっても一括りに出来るものではないと考えている。以下二種類に大別して考える。 一般的な地理知識は世界史理解の最前提である まず、「ヨーロッパ」「バルカン半島」「長江」などの地域や大洋、大河川などについての地理知識を考える。これらは世界史全体を理解していくうえで不可欠な知識である。バルカン半島であれば古典古代から付き合うことになり、オスマン帝国…
備前、美作、備中、備後に分割された吉備。 現在の岡山県と、広島県東部・・・と思っていたら 実は今の兵庫県も加古川から西は吉備だった という説まで目に入って来ました。 という事は、網干とか相生はもちろん、 姫路も、高砂の石の宝殿も吉備という事になります! 実際、姫路の方言は「関西」の中でも独特らしいですね。 雛形経綸から考えても 吉備あたりはギリシャの雛形だから、 わかりやすいかも。 マケドニアのアレクサンドロス大王が 一時期はエジプト辺りからバクトリア辺りまで 巨大な帝国を築いているわけで。 その後、ローマは今のイスタンブール辺りまで 支配していて、東ローマの首都だったのが コンスタンティノー…
ランキング参加中一人旅コミュニティ パキスタンに入国して困ったのは、夕食にアルコールを嗜むことができないこと。 僕にとって、食欲増進剤でもあり、ゆっくり食事を楽しめる友でもあると思っている。しかし、パキスタン・イスラム共和国は「友」の同席を許してくれない。手強い。イスラムの世界と言っても、以前暮らしたインドネシアとパレスチナは、宗教上の特別な日を除いてビールを確保することはそれほど難しくなかった。ここは、かなりイスラム原理主義に近く厳格な国だ、と諦めていた。 食事はほとんど屋台や食堂を利用するが、一般の地元民がアルコールを飲む姿にまったく遭遇しない。おそらく都市部の高級ホテルのバーやレストラン…
古代~中世の会戦級シリーズGBoH(Great Battles of History)の「The Great Battles of Alexander (Expanded Deluxe Edition 2nd Printing)」を購入。長いな、名前が。本作はその名の通り、マケドニアのアレキサンダー大王の戦いと、その後の後継者戦争等、その時代の会戦を収録している。2015年にエクスパンデッド・デラックス第5版として発売されたが、今回はその2刷として「Tyrant」モジュールを追加し、エクスパンデッド・デラックス第6版として再登場したことになる。 自分も2003年にデラックス第4版を購入したが、…
日本書紀にて吐火羅国(トカラ国)からの来日記録が残る。吐火羅国(トカラこく)とはどこか。トカラ国の話から想定される日本への渡来ルートとY染色体ハプログループ・Dの割合の高い地域は類似性がみられる。次の流れで紹介していく。 ・孝徳天皇5年・654年 - トカラ国 - 舎衛(しゃえ) - 張騫(ちょうけん)・斉明天皇3年・657年・斉明天皇5年・659年・斉明天皇6年・660年・天武天皇4年・675年・日本への渡来ルート・ハプログループD・トハラと大月氏について・ラバータク碑文 ■孝徳天皇5年・654年孝徳天皇5年夏4月。トカラ国(※1)の男性2人と女性2人、そして舎衛(※2)の女性1人が風に流さ…