生物の二大分類の一。真核生物の対義語。核膜を持たず、したがって明確な輪郭をもった細胞核の見られない細胞からなる生物のこと。 真核生物の遺伝子は細胞中の「核」と呼ばれる場所に収められているが、原核生物のそれは核膜による保護を受けず、細胞中にそのまま転がっている。 単細胞の生物であり、かつ、その細胞中に複雑な構造も持たない。よって真核生物よりも原始的な生命であると考えられている。
3ドメイン説によれば、さらに「真正細菌ドメイン」と「古細菌ドメイン」に分けられる。
シーケンス技術の進歩により、細菌ゲノムは飛躍的に増加しており、確実な分類法が必要とされている。Qin et al. (2014)によって最初に提案されたPercentage Of Conserved Proteins (POCP)は、原核生物の属境界を評価するための貴重な指標である。ここでは、分類学的研究における再現性と使いやすさを高めることを目的として、POCPを自動計算するための計算パイプラインを紹介する。POCP-nfパイプラインは、DIAMONDを使用し、BLASTPと同程度の感度でタンパク質のアラインメントを高速化する。パイプラインはNextflowで実装され、CondaとDocke…
この記事は「薬と生命を学ぶ人のための基礎生化学 (化学同人)」をもとに大事なところをまとめた記事です。 生化学のテスト前などに役立ててください。 原核細胞と真核細胞の違い 原核細胞と真核細胞の最も大きな違いは核を持つか持たないかです。 細菌などの原核生物の原核細胞は核膜を持たず、細胞の中にそのまま核様体と呼ばれるものがありそこにゲノムDNAが入っています。 一方、人などの真核生物の真核細胞は細胞質と核が核膜で隔てられています。 また、真核細胞の内部にはミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、ペルオキシソームといった細胞小器官があります。 原核細胞にはそのような細胞小器官はありません。 他…
2024年4月18日。記念すべき黄砂の日。 曇り空ではなくて黄砂の風景です。こういう空にも微生物はいるそうです。 これが黄砂のない風景。母成峠から吾妻連峰。 黄砂のない日。0.085μSv/h 。 アストロバイオロジー(宇宙生物学、宇宙生命科学) 今この分野に嵌まっています。 〇深海の熱水活動域には「光合成が支える地上の生態系」とは全く異なる、「化学合成を中心とした生態系」が存在する。 〇熱水噴出口の調査から。噴出する熱水に含まれる硫化水素やメタンなどの化学物質を使って有機物を合成する化学合成細菌や、それらの微生物からエネルギーや栄養を得ている生物たちが、独自の生態系を築いている。。。チューブ…
いま話題となっているvirusを綴ってみたい。 英語だとvirusで、英語発音だとヴァイラスとなる。日本語だとローマ字読みのヴィルスを濁点を除いてウィルスと呼ぶのが一般的になっている。(学術用語集などに存在するので。)生物ではない。他者の細胞に入りこみ自己の遺伝子核酸から機能を発揮する、核酸+タンパク質集合体。生物ではないと言う意味は、生物の定義は細胞からなり自己複製できることだから。(ちなみに、生物には単細胞から多細胞生物までまさに多様である。) 最近の(うましか)tv界で「ウィルスを殺す」なんてわけのわからない発言を聞くのだが、ウィルスは断じて生物ではないことを強調する。だから、ウィルスを…
公開データベースに寄託される微生物ゲノムの数が増加しているため、多数のゲノムをゲノム距離という観点から比較することは、ますます困難になってきている。現在では、数百万から数十億のゲノム間のペアワイズ距離を推定する必要がある。このような比較を効率的に実行できるソフトウェアはほとんどない。 本論文では、1兆スケールでの超高速かつ高精度なゲノム検索と比較を実現するために、いくつかの新しいMinHashアルゴリズムと計算最適化(Simple Instruction Multiple Data, SIMDなど)を実装し、マルチスレッドソフトウェアBinDashを更新した。すなわち、SIMDによる最適化・高…
先カンブリア時代から現代までの地球の歴史をより細かく見ていきましょう。この分類は、主要な地質学的時代と生物進化の重要な出来事を中心に構成されています。 先カンブリア時代 ハディアン (約46億年前 - 約40億年前) 地球の形成と初期の冷却。 初期の海洋と大気が形成される。 アーキアン (約40億年前 - 約25億年前) 最初の生命形態(原核生物)が出現。 地球上の岩石記録が見られ始める。 プロテロゾイク (約25億年前 - 約5億4000万年前) 大気中の酸素濃度の増加(グレート・オキシデーション・イベント)。 細胞核を持つ生命(真核生物)の出現。 最初の多細胞生命が現れる。 スノーボールア…
ウイルスは豊富で多様性に富み、先祖伝来の生物学的実体である。その多様性は、遭遇する様々なタンパク質ファミリーの数においても、各タンパク質ファミリーの配列の不均一性においても高い。近年、ウイルスゲノムの塩基配列が解読されつつあり、このような多様性について新たな知見を得る絶好の機会であり、機能解析や比較解析に役立つアノテーションリソースの開発が急がれている。ここでは、HMMプロファイル-プロファイル比較による遠隔相同性検出に基づく新しいクラスタリングアプローチによって作成されたウイルスタンパク質ファミリーのライブラリーであるPHROG(Prokaryotic Virus Remote Homolo…
突如として脱線し始めた生物の分類シリーズ、話は大きなグループから少しずつより細かい区分けに移行しており、とはいえまだ事実上一番上の分類と言える「界」まで見た所で、前回は五界説や六界説という現在主流で考えられている主張を見ていました。 多少のアレンジというかマイナーな分け方はある感じでしたけど、改めておさらいしておきますと、基本的には現在の生命科学(生化学・代謝学・遺伝学・分子生物学・進化学などなど、様々な要因を総合して)の知識では、やはりまず大きく分けて、 「細胞の中で遺伝子DNAを格納している核に膜があるかないか」 の点で一番大きく「原核生物・真核生物」の2ドメインに大別され、(まぁ原核生物…
前回の記事では「対決!みんな集めて重さ勝負」を、生物分類の最上級クラス「界(kingdom)」の各グループで見ていたわけですが、結果はまさかの、どう考えても地球の覇者と呼ぶに相応しい我々人間を代表とする動物界(Animalia)のマス(重量)は断トツ最下位という、「代表面しているのは、自分だけであった…」という大変恥ずかしい話を繰り広げていました。 …いや別に重ければ代表って訳でもないし、そもそも「誰も動物が覇者とか地球の代表とかそんなこと思ってなくない?」って話だったかもしれませんが(笑)、まぁ勝ち負けはともかく、人間の総重量は、まさかのウイルスの総重量よりも小さい(人間0.06ギガトンに対…
シリーズ生物分類学、前回は全生物を最も大きく分けた時のグループである「ドメイン」について、一番聞き慣れない古細菌というものをメインにごく簡単に触れていました。 改めて、最も一般的な分け方である三大ドメインとして挙げられるのは、「細菌・古細菌・真核生物」であり、まぁ個人的には正直、 「細菌も古細菌も、どっちも核に膜のない原始的なクソザコ生物だから、そんなのわざわざ分けずに『原核生物・真核生物』の二大ドメインでもよくない? …っていうかそれ以上に核の膜とか知らんし、『ヒト・それ以外』の2グループでもいいじゃん」 …なんて思えますけど(笑)、まぁ分子レベルで生物を研究する場合、やっぱり「ヒト・それ以…
細菌マイクロバイオームの解析は日常的に行われるようになったが、真菌マイクロバイオームの解析は、頑健なデータベースとバイオインフォマティック・パイプラインの欠如によって、いまだに妨げられている。ここでは、真菌を同定するための分類学的データベース(160万個のマーカー遺伝子)と機能的データベース(340万個の非冗長真菌タンパク質)を組み込んだパイプライン、FunOMICを紹介する。このツールを2,600以上のヒトメタゲノムサンプルに適用したところ、地理、身体部位、疾患に関連する真菌種が明らかになった。相関ネットワーク解析により、菌界間相互作用に関する新たな知見が得られた。このパイプラインと2つの最…
前回の記事では、「哺乳類はX(ばってん)、正式には、哺乳綱と呼ぶのが正しいのです」という分類学豆知識を披露していましたが、まぁ日常生活で「ヒトは哺乳綱だからさぁ…」とか言うのはマジでキショすぎるだけなので、普段は知識をひけらかしたい気分をグッとこらえて「哺乳類」と呼ぶようにしましょう…という大変有用なアドバイスなんかもさせていただいていました。 (…って、言う程そんなアドバイスしてませんでしたし、そもそも日常会話で「哺乳類がどうこう」言ってる時点で何かキモイので(笑)、そんな話してる時点で詰んでます、やめましょう…って方がより適切なアドバイスかもしれませんけどね(笑)。) そして、分類学関連の…
またまた気まぐれに脱線しているシリーズに入っていますが、ふと触れてみた「シー・エレガンス」というゴージャスな名前(の割にただのミミズ(笑))の生物に端を発し、前回はおなじみの動物の学名(ヒト=ホモ・サピエンスみたいな、分類学で定められた、生物種特有の名前ですね)をちょろっと垣間見ていました。 まぁ時間がなかったのでほとんど触れませんでしたけど(レッサーパンダなんかは触れていましたが)、「おなじみの動物」として参考にしていた人気動物ランキング、あれも結構意外というか、個人的な印象とは全然違って面白かったです。 せっかくなので、記事水増しを兼ねて、学名と英語名とゲノム解読年のリストの再掲…だけだと…
心配する必要がないのに心配するのが老人の本性で、その一つが「花はなぜ咲くのか」への解答。花が咲く理由は、風にそよいだり、虫をおびき寄せたりすることによって、花粉を遠くへ運んでもらう必要があったからというのが常識的な解答。ダーウィニズムに従えば、風や虫という環境要因をうまく繁殖に利用するような形質を発現する遺伝子は、その集団内でより増殖しやすい傾向にあるから。この二つの文の最初は日常的な表現、次はそれを生物学的な語彙を使った言い換えで、同じことを別の語彙を使って表現したものというのが一般的な見解。でも、最初の文は花粉を遠くに運ぶという「目的」のために必要だと言っていて、花は「花粉を(遠くに)運ぶ…
微生物群集のホールゲノムショットガン(WGS)メタゲノムシークエンシングにより、多様な生態系に生息する微生物の原核生物や真核生物の機能、生理、進化の歴史を発見することができる。その重要性にもかかわらず、微生物真核生物のメタゲノム研究は、WGSデータから高品質の真核生物ゲノムを同定し、アセンブルすることが困難なため、原核生物の研究に比べて遅れている。この問題に対処するため、本著者らは、WGSメタゲノミクスデータから真核微生物の核ゲノムおよびミトコンドリアゲノムを復元し、アセンブルするバイオインフォマティクスパイプラインであるEukfinderを開発した。ワークフローの一環として、2つの特殊なデー…