漱石はこの作品執筆中、胃潰瘍のために一時期中断しなければならなかった。「いつ死ぬかわからぬ」という苦しみに耐えた作者の体験は、不安、絶望、孤独といった形で、深刻さを与えた。「友達」「兄」「帰ってから」「塵労」の四編からなるが、全体の主人公は長野一郎という学者であり、その弟二郎が一貫した観察者として登場する。 神経がするどく、潔癖な知識人が、そのために不幸に陥ることが描かれたこの作品は、人生の生き方を考えさせる力を持っている。
行人 (新潮文庫)
このブログのタイトルの「行人日記」と私のハンドルのwayfarerは、夏目漱石の後期三部作の2作目、「行人」(英訳のタイトルが「The Wayfarer」)から取っています。 夏目漱石の前期三部作(「三四郎」「それから」「門」)が、現実の出来事に対する葛藤が描かれているのに対し、後期三部作(「彼岸過迄」「行人」「こころ」)は、他人からは見えづらい内面の苦悩を抱えた人物が描かれています。 特に「行人」は、気難しく家族からも疎まれている知識人の主人公が、心を許せる相手が全く無い中で人間不信に陥り、追い詰められて精神状態が破綻寸前になって終わる・・そんな話です。後期三部作の中では、最も凄絶な苦悩が描…
行人 (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 新潮社 Amazon 「兄さんに対して僕がこんな事をいうと甚(はなは)だ失礼かもしれませんがね。他(ひと)の心なんて、いくら学問をしたって、研究をしたって、解りっこないだろうと僕は思うんです。兄さんは僕よりも偉い学者だから固(もと)より其処に気が付いていらっしゃるでしょうけれども、いくら親しい親子だって兄弟だって、心と心は只(ただ)通じているような気持がするだけで、実際に向う此方とは身体が離れている通り心も離れているんだから仕様がないじゃありませんか」 「他(ひと)の心は外から研究は出来る。けれどもその心に為(な)って見る事は出来ない。その位の事なら己だ…
Traveler. トラベラー
思想が完成してしまうと、現実の世界には無限の孤独が待っているのだと思う。
今年はゴールデンウィーク進行に悩まされていない。去年もそうだった気がする。 以前は定期的に書いている媒体は月刊が多くて(一時期は月2回刊もあったな)、連休のしわ寄せで前後のスケジュールがきつくなったけど、今は隔月刊や季刊ばかり。不定期なネット原稿も増えた。仕事が減ったわけではない(1本あたりの単価は下がっているが)。 でも、ゴールデンウィーク進行がないと、なんか不安になる。昭和の人だからか……と思ったが、自分が本格的にこの仕事を始めたのは平成からだったじゃないか。 そうか、私は、平成の人だったのか。 いや、フリーの仕事を始める前の最初の業界紙記者時代にゴールデンウィーク進行、年末年始進行を体で…
高野山を実質的に統べる立場にある「金剛峯寺の座主」に就任することは、覚鑁の強い意志によるものだ。だが彼は決して名誉を求めたわけではない。その証左に、翌1135年には弟子である真誉に、金剛峯寺と大伝法院、両座主の座をあっさり譲ってしまい、自分は密厳院にて趣味?である無言行に入ってしまっている。 ではなぜ彼は、そこまでして金剛峯寺座主の座を求めたのだろうか? そもそも高野山のトップである金剛峯寺座主の座は、これまでずっと京にある東寺のトップ、東寺一長者が兼帯してきた。「本末制度」により、高野山は東寺の末寺化してしまっていたことは過去の記事で述べたが、覚鑁はこれを問題視していたのである。1134年、…
最近技術やビジネス以外の本を読んでいる 学生のころはいろいろと読んでいたのだが、エンジニアとしての自覚(?)が芽生えたときくらいから技術書と仕事に関係してそうなビジネス書っぽいやつ以外を読まなくなっていた なぜそうなってしまったか、おそらくは可処分時間を使うなら実用的で直接メリットがありそうなものを読みたい、的なところだと思う そんな状況が変わったのが去年の正月休み、きっかけは妻から誕生日プレゼントとしてもらったミステリ小説 十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫)作者:綾辻行人講談社Amazon 方舟作者:夕木春央講談社Amazon 爆弾作者:呉勝浩講談社Amazon その…
400.『道草』番外編(6)――長谷川如是閑『始めて聞いた漱石の講演』 漱石の事績に関して、如是閑はもう1つ回想文を書いている。 随分後年になるが昭和12年、決定版と称する4次漱石全集の月報に、『始めて聞いた漱石の講演』というのが出た。頁をざっと見渡すと、『創作家の態度』という漱石のごく最初期の演題が目に入る。スワこれがやはり如是閑が漱石を見た始めではないかと意気込むが、そうとも限らないようだ。 これまでの行きがかり上、こちらも(新仮名遣いに直して)全文引用したい。長谷川如是閑『始めて聞いた漱石の講演』(初出昭和12年10月漱石全集第19巻月報) 私が大阪朝日にいた頃のことである。社で催す講演…
4月も残りわずかとなり、2級技能士の試験までは あと1ヶ月半となりました。 現在論述対策が続いていますが、 論述と面接はリンクしています。 論述で書いていることが面接でも実施できれば いいということですので、書いてみた内容を実際に ロールプレイするとしたらどんなふうに進めるだろうか? ということもプラス考えながら学ばれることもおすすめします。 さてもう少し早くご案内するつもりでした 東京での対面対策講座について 以下の通り開催を決めました。 対面で細かな応答も確認しながら ロールプレイを中心に行なっていきます。 また実際誰かに見られながらロールプレイを行うため 当日の緊張感になれる対策にもなる…
サーモンのムニエルがおいしくできた ケーキをもらった 小説を2冊読んだ 昨日から読んでいた「インフルエンス」近藤史恵 著。 ずーんと気持ちが重くなる話だった。 出てくる3人の少女たちが、私も何故か知っているようなそんな錯覚に陥った。 いつか語った将来よりもっといい結末をどうか、と思わずにいられなかった。 「十角館の殺人」綾辻行人 著 知らない人はいないと思うミステリー小説。 運良く今までネタバレを踏まずに来れたので読んでみた。 例の一文にほほう!となった。 まんまと騙されて晴れやかな気持ちになった。 あまり本を読みすぎると現実があやふやになりそうで一旦休憩。 ミステリー小説でも人が亡くなる描写…
Huluオリジナル作品である、「十角館の殺人」を紹介していきます。これはミステリー界の巨匠と言われている綾辻行人のデビュー作をドラマ化した作品です。1987年に出版され累計発行部数は100万部を突破し、日本のミステリー界に大きな影響を与え、新本格ブームを巻き起こしたとされています。 私は恥ずかしながら原作を読んだことがありませんが、全5話と見やすく引き込まれるストーリーでした。 十角館の殺人とは 登場人物 エラリイ カー ポウ ルルウ アガサ オルツィ ヴァン 江南 孝明(かわみなみ たかあき) 島田 潔(しまだ きよし) 守須 恭一(もりす きょういち) 各話STORY・ネタバレ 第1話 第…
すべてはここから。清冽なる新本格の源流!大学ミステリ研究会の七人が訪れた十角形の奇妙な館の建つ孤島・角島。メンバーが一人、また一人、殺されていく。「十角館」の刊行から二十年。あの衝撃を再び! 映像化されたというニュースを見て、超久しぶりに再読。1987年の刊行当初に読んでいるだろうから、35年振りくらいだろうか。私の持っているのは文庫ではなく、当然ノベルス版である。1行の衝撃のことは覚えていたが、それが具体的に何だったのかとか、その他細かいことは覚えていなかったので、再読でも楽しめた。今読んでも面白いね。ただ、あれをどうやって映像化したのか、それも気になるな。十角館の殺人 <新装改訂版>pos…
ヘルメス像を描く 5月 5日(日)12時〜15時 開催中止となりました 5月19日(日)12時〜15時 6月 9日(日)13時〜16時 6月16日(日)13時〜16時 場所:八幡市民会館 2階 第1会議室 参加費:1日 2,000円 持ち物:木炭または鉛筆デッサンの道具 (イーゼル・カルトンが必要な方は併せてご持参ください) <注意事項> ・参加は事前予約制です(定員になり次第、締切)・参加の際にはマスク着用、手指の消毒をお願いします。 ・コロナ感染の状況、または最少催行人数に満たない場合は 開催中止となる場合があります。 参加ご希望の方は、以下メールフォームよりお申込み下さい。 https:…
●概要●ミュージシャン等20名●絵本作家2名 ●漫画家110名 ●他漫画家:情報不足・① ・② ・③ ・④ ・⑤ ●ゲームクリエイター14名 ●小説家104名 ・他小説家: ・① ・② ●哲学者2名●ファッションデザイナー2名 ●写真家2名●映画サイト運営者1名 ●概要 現在245名分のリストを掲載。 このコーナーは「映画人のオールタイムベスト(個別)」に掲載した以外の漫画家、アニメーター、ゲーム開発、シンガー、作曲家、小説家、その他クリエイターが影響を受けた・好きな映画のリストをまとめた掲載先のリンク集です。
张哲瀚公式ホームページ《八月》花絮 八月幕后花絮より碎片手记-一个能待很久的地方を訳してみました。スタッフによる手記のようです。長文なので、主にハンハンに関係する部分を抜粋して訳しています。 碎片手记-一个能待很久的地方 这次采访的主人公是一对“篮球兄弟”,考虑到他们要上学,所以拍摄时间尽量是以小哥俩的档期为主。一开始,导演跟小哥俩对话时,他们的话很少,总是采取“对谈三部曲”——1/不回答、2/不做声、3/跟大壮玩。以至于导演苦恼“一直都是我在输出,为什么不跟我聊天呢”。后来慢慢熟了,小哥俩还带着导演去了他们的秘密基地,秘密基地背后似乎还藏着另一个秘密。 导…
今週のお題「名作」にちなんで、ミステリー小説の名作"十角館の殺人"をご紹介! あらすじ "十角館の殺人"を読んだ感想 ドラマ"十角館の殺人"をみた感想 まとめ あらすじ 十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! "十角館の殺人"を読んだ感想 実は私は正直読書はあまり得意ではない。何冊か本を買っては途中で挫折して古本屋に、、、を繰り返してきた。ある時、何かの広告で"映像化不可能のあの作品がついにドラマ化"というような内容を…
有名所は、いくぞ!ですけど。 そこまで知らないところだと その時の勘とご縁で出会います。 野暮用でウロウロ (だいたい道キョロキョロしてる🐱) してたら目についたので これもお呼ばれかな?🐱と 行ってきました御嶽神社。 はて? 今日は神社巡りってわけじゃ ないんだけと。。。? などと思いつつご挨拶。 誰か呼びましたー?🐱 って。 本堂の横にある絵が素敵でパシャリ。 調べたら (神社のとこの パンフに説明があった) 水垢離(みずごり) (読めなかった😅) ってなってました。 その絵の向かい側に霊水井戸。 ここで脳サボぴくぴく反応してました。 グルっと回って 一通りみたし、いっかなー🐱 なんて思っ…
作者:赤川次郎 発行:1982年 文庫のイラストは萌絵になってるが、これは途中から変わったんだろうな。既に時代遅れの絵柄になってる感じがあるね。 赤川次郎の名前を最近は聞かないが今でも売れてるのだろうか。何冊か読んだような記憶があるが、トリックとかは全然記憶にない。かつて綾辻行人さんが作中で赤川次郎を褒めていたはずで、それでそんなものなのかと思った。 三姉妹のキャラクターとか人物描写はさすがに時代がかっている。 感心するのはストーリーテリングというか、飽きないように第二の事件があったり、三姉妹の誰かが事件に巻き込まれそうになったりとそういった部分だ。
第三部スタート!