さの・しげじろう(1900 ー 1987)洋画家。 大阪市東区南久宝寺町に生まれる。 信濃橋洋画研究所に学び二科展に出品。 1937年に渡仏しアンリ・マチスに師事する。 昭和初期より横光利一の著作の装幀、挿画をはじめとして多数手掛ける。 戦後は二紀会の創設に参加。パピリオ化粧品の重役としても活躍。パッケージデザインも手掛けた。 独特な手書き文字などを用いた装幀本は250点余りに達するもよう。
アレからもう15年も経つのか。「アレ」と言っても、もちろん阪神の優勝ではない。東京古書会館で平成20年6月に開催された「佐野繁次郎装幀モダニズム展」である。佐野の装幀本にそれほど興味はなかったので、古書展のついでにのぞいたのだろう。本よりも年譜が記憶に残っている。 さて、先日大阪の文庫櫂で『昭和六年新文藝日記』(新潮社、昭和5年11月)を入手した。日記、特に文藝日記に興味があるのと、佐野の最初期の装幀本なので買ってみた。表紙のデザインに確かに「S.S」のサインがある。『佐野繁次郎装幀集成:西村コレクションを中心として』(みずのわ出版、平成20年11月)の「佐野繁次郎装幀目録」に1番久野豊彦他『…
その名は女:大林清 1955年(昭30)1月~7月、中部日本新聞、西日本新聞に連載。 1955年(昭30)大日本雄弁会講談社刊。(ロマンブックス) タイトルの由来は、シェークスピアの「ハムレット」中のセリフ「弱き者よ、汝の名は女なり」だと思われる。事業の失敗から夫が自殺したヒロインの千春は、未亡人になった途端に男たちから言い寄られる。まだ若く美貌であるためだが、生活は破綻しており、実家に戻る以外には考えられなかった。美人女性は往々にして、外から声をかけられ、誘われるのに乗るか反るかを考え勝ちで、自らの意思で目標を探すことがないのかも知れない。 好意を持たれても、自分では好きになれない男に対して…
○「子どもへのまなざし~清方が描いた子どもたち~」(鎌倉市鏑木清方記念美術館) (会期:2024年3月2日(土)~4月16日(火)) ○「ひな人形 -願いをこめた美のかたち-」(鎌倉国宝館) (会期:2024年2月27日(火)~4月14日(日)) ○「小金沢健人×佐野繁次郎 ドローイング/シネマ」 (神奈川県立近代美術館 鎌倉別館) (会期:2024年2月23日(金・祝)~5月6日(月・休)) ○「第41回茅ヶ崎美術家協会展」(茅ヶ崎市美術館) (会期:2024年3月5日(火)~3月24日(日)) ○「広重の人物東海道にみる季節 藤沢に雪がふる」(藤澤浮世絵館) (会期:2024年3月5日(火…
前回、第一書房と花森安治の暮らしの手帖社が伊東胡蝶園と片山廣子を通じてリンクしているのではないかと既述しておいたが、花森に関してはもう一つのミッシングリンクとおぼしき人物もいるので、それも続けて書いておきたい。その人物は『近代出版史探索Ⅴ』952で取り上げた今田謹吾である。 そこで今田が昭和十七年に生活社内「婦人の生活の研究部」から刊行された『くらしの工夫』の編輯人で、同書に花森がペンネームの安並半太郎名で、「きもの読本」を寄せていることにふれた。また『くらしの工夫』の装幀は佐野繁次郎で、彼は花森を伊東胡蝶園へと誘った画家である。そして『くらしの工夫』発行人の鐵村大二は東京社の『婦人画報』や『…
本探索1478で、第一書房の長谷川巳之吉と『暮しの手帖』の花森安治がともに伊藤(伊東)胡蝶園と関係があり、また花森の大政翼賛会を通じて、長谷川と面識があったのではないかという推測を既述しておいた。そのような想像をたくましくさせるのは、前回の片山廣子の存在に他ならない。 私は河津一哉、北村正之『「暮しの手帖」と花森安治の素顔』(「出版人に聞く」20)において、片山に関して次のように言及している。 そこで気になるのは片山廣子の『燈火節』(一九五三年)です。これは第三回エッセイスト・クラブ賞を受け、近年月曜社から復刊されていますが、彼女は近代出版史、文学史上においてもかなり重要な人物で、長谷川巳之吉…
「絵を買った」と言っても複製画ではありますが・・・ 少しふれたように、先週、関西に出かけたのだが、到着してから業務までの時間があり、大阪中之島美術館で開催中の展覧会、「佐伯祐三-自画像としての風景」に出かけてきた(6月25日まで)。佐伯自身の人間としての「力」を感じさせる様々な自画像、明るさに満ちたいくつかの下落合風景、そして浮遊する文字が独特の効果を発揮する、西洋の「拒絶」を象徴するが如きパリの風景画など、魅力的な絵画を楽しむことができた。 私は絵心はないと自覚しているのだが、それでも佐伯祐三の絵画には心惹かれるものがある。佐伯の展覧会というと、2005年にも東京の練馬区立美術館で観ているが…
資生堂といえば、山名文夫。 山名文夫といえば、資生堂。 (アイキャッチ画像は、資生堂のあぶらとり紙です。イラスト:山名文夫) “資生堂ギャラリーで、山名文夫を中心とするグループが展覧会を行った”という文章を見た時、私たちがイメージするのは、やっぱり都会的な美女ですよね。こういう感じの↓ 『山名文夫 1897‐1980 』ggg Books 別冊3 軍艦を描く山名文夫 ところが昭和16年の2月、銀座の資生堂ギャラリーで開催された《太平洋報道展》は様子が違いました。山名文夫は美女を描かずに、なんと軍艦を描いていたのです。その時の回想がコチラ。 (山名文夫『体験的デザイン史〈太平洋報道展〉』) 私は…
1960年六月、文藝春秋から刊行された大江健三郎(1935~2023)の長編小説。装幀は佐野繁次郎。 NDLで検索Amazonで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索