ジョン・リードの『反乱するメキシコ』(野田隆、野村達朗、草間秀三郎訳、筑摩叢書、昭和五十七年)は『世界をゆるがした十日間』に比して遅れ、最初の邦訳は昭和四十五年に小川出版から刊行されたが、それもほどなく絶版となっている。この小川出版の一冊は未見で、編集者の赤坂嘉治のことも知らないけれど、筑摩書房版はこの全面改訂の再刊であるから、それが刊行されていなければ、邦訳はさらに遅れたとも考えられる。ウォーレン・ビューティ主演・監督の映画『レッズ』にしても、『反乱するメキシコ』の時代はまったく描かれていなかったのである。 (筑摩書房) (小川出版) それはタマーラ・ハーヴィ『時代の狙撃手―ジョン・リード伝…