作家。三重県出身。「廃車」で第107回文學界新人賞を受賞。、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了*1。「よもぎ学園高等学校蹴球部」(『文學界』2009年5月号)で、第141回芥川賞の候補となる*2。
*1:『文學界』2008年12月号、文藝春秋、を参照。
*2:http://www.asahi.com/culture/update/0702/TKY200907010421.html(09年7月5日閲覧)
昭和ゼミの卒業生だとボッキマンと言わなければ通じないかもしれないけど、本名・松波太郎で芥川賞を3度は逃したボッキマンは今や小説家よりも鍼灸医としての活躍の方がスゴイと思ったネ。北浦和に鍼灸医院「豊泉堂」を始めたという案内をもらったのは、コロナ禍が始まった頃だったか。すぐに治療を受けに行きたかったものの、大事をとってコロナ禍が過ぎてからと約束したまま今日になった(1・2ケ月遅れたけれどネ)。 治療を受けると心の底からビックリするゾ! 最初横になって両手の手首を触られ、脈をとるにしては変だナと思っていたら、まさかの心臓はじめ肺やらジン(腎という漢字でいいのかな?)やら身体のあちこちの診断を出すので…
学大在職中は有名な(?)劇団「獏」その他の学生演劇を観たこともあり、近所の一橋大の劇団の公演を観ないのも不公平な気もして卒業公演を観に行ったヨ。一橋大の学部の非常勤講師や大学院の連携教授として付き合いがあったからネ。ちなみに学部の講義を一年生の頃から4年間(?)出席していたのがフランス文学者の西村友樹雄さんであり、大学院の受講生だったのが芥川賞を複数回逃した松波太郎さんで、彼は昭和ゼミに参加した時の発言が元でボッキマンの名を賜ってしまったのだネ。 ともあれ羽尻結衣という人が書いた「雪の三原色」という台本を7名の演者が舞台化したものだけど、チラシにあるとおり「3つの物語」をオムニバス形式でつなげ…
この間年が明けたと思ったらもう暮れてしまった。 それでも2023年は、2022年よりも人間らしい生活ができたのではないかと思っています。中でも『現代SF小説ガイドブック 可能性の文学』、『SFマガジン10月号 特集「SFをつくる新しい力」』にブックレビューを載せていただけたことは、2023年のみならず、私の人生全体でもかなりの大きな出来事でした。関わらせていただいた皆様、本当にありがとうございました。というわけで、毎年恒例の今年のベスト本を記録しておきます。ルールは以下。 (1) 2023年に刊行された本ではなく、あくまでも私が2023年に読んだ本の中から選んでいます。 (2) ベストテンとい…
芥川賞候補作 あらすじ 出張マッサージ師である主人公が施術するのは介護施設に入っている五十山田さん。五十山田さんは戦争を経験しており、肩こりをほぐされ、身体の調子を整えられるなかで戦争の時の記憶を思い出し、苦しむ。西洋医学を駆使して五十山田さんの身体の不調に歯止めをかけようとするが、五十山田さんの身体の不調は止まることがなく…という話 松波太郎さんは何度か芥川賞にノミネートされている作家さんなんですけど絶版になってる本が多くて初めて読んだ 久しぶりにこれほど新鮮に思えた書き方でとても良くて面白かった では具体的に良かったところを2つほど まず1つ目は とにかく独特な書き方 独特な書き方と言って…
東京新聞にして良かった面もたくさんあるけど(長くなるので別の機会に記す)、予想どおり文芸欄は朝日に比してかなり薄弱だネ。特に昨日の夕刊に載った文芸時評があまりにオソマツなので驚いたほど。伊藤氏貴という人が書いているのを読み始めたのだけど、「評」になってないので呆れたヨ。ボクの大好きな作品・大江健三郎「死者の奢り」を枕にしているので喜んだものの、死体処理のアルバイトをする学生と雇う側の医学部との「ヒエラルキーが鮮やかに描かれていた」とまとめてしまうので、何のこっちゃ?!だヨ。朝比奈秋「受け手のいない祈り」という作品を取り上げているのだけれど、「ヒエラルキー」を読み取るのかと思いきや、病院勤務医師…
そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか?作者:松波太郎書肆侃侃房Amazon読んだ。 言葉と身体感覚の結びつきが生み出す独特のリズムをとらえた短編集。言葉って例えば日本語なら50音すべて使えるのが前提のシステムだけれど、例えば身体的な制約などで自分からは発信できない音があったりすると途端に高い壁にぶち当たることになるよなあ。日常生活のあらゆる面でリポグラム的な苦労が求められたり、そうでなくとも意思の伝達に大きな困難が生じるわけで。
最近本を読むことが増えてきたり、集英社新著プラスで本についての記事を読んでから純文学って何か気になっていたので調べてみようということで 純文学って何だよ | 時事オピニオン | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス あった。しかもちゃんと本書いてる人の文章だ。わーい 誤解されたままでいたほうが、「じゃあ、どんなもんか試しに読んでやんよ」みたいなモチベーションを湧かせやすいかもしれないですし。 俺じゃん 一方、文芸誌は必ずしもそうではありません。売れなくても構わないことを前提とした小説を、延々と発表し続ける場所なのです。出版社としては、まさに非採算部門なのです。 そんなのあるのか。…
そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか?作者:松波太郎書肆侃侃房Amazonとんでもない本を読んでしまった。『故郷』『イベリア半島に生息する生物』『あカ佐タな』『王国の行方—―二代目の手腕』の四つの作品が収められた短編集で、いずれも音としての「ことば」と、ことばを発する器官を持つ身体が異様なまでに存在感を放っている。なんていうか、全体的に、とても独特な小説でした。意識の流れ的な。物体としての圧というか、厚みと重みをもった生き物っぷりを感じる。いや紙の上に構築されたフィクションなんですけど、身体性の描写が多いためか、重量感があるのだ。 冒頭の『故郷』は、なぜモンゴルに行きたいのかを問い詰め…