「戦雲の夢」で長宗我部盛親を紹介しましたので、お祖父さんに当たる長宗我部元親のお話も紹介したいと思います。「戦雲の夢」に続き、この「夏草の賦」も私の中では司馬遼太郎作品ベスト5に入っています。 土佐の長曾我部元親の一生を描いた作品です。土佐の傍らから芽吹いた野望の男、元親が、四国を支配するまでの策謀と闘いの前半生。そしてその後、織田信長、豊臣秀吉という天下人にとって、半生の業績を無にされ、すべてを空しくした後半生。前半と後半でこれだけ落差がある戦国大名も珍しいと思います。 おそらく、豊臣秀吉が天下をとった時点が頂点で、そこからは降下するばかりだった元親の人生だったと思います。最後に、元親は妻を…