この日の前日と前々日に雨が降り、京都一帯肌寒い風も吹いたのであるが、八幡市の背割堤の桜は満開を過ぎた六七割ほどの花がまだ枝に残っていた。背割堤は瀬割堤とも書き、二つの川の交わるところに土を高く積み上げ互いの川筋を侵して洪水などを起こさぬようにしたものであり、木津川と宇治川が合流するところ、その緩やかに曲がる流れに沿った一・四キロあるという大人の背丈の三倍ほどの高さに築いた土手の両側に二百数十本のソメイヨシノが植えられている。合流した二つの川はそのすぐ先で桂川と交わり、一筋となって淀川と名乗るのである。最寄り駅である京阪本線石清水八幡宮駅の真ん前の男山の上に石清水八幡宮があるが、その参道ケーブル…