カール・マルクス フリードリヒ・エンゲルス 堺利彦訳・幸徳秋水共訳 日本訳の序 第三章を除いたこの日本訳を週刊『平民新聞』第53号(明治30年11月13日発行)に載せたところ、秩序壊乱として起訴され、関係者はそれぞれが罰金に処された。ただ、その裁判の判決文には、『この文書はいかにその記載事項が不穏の文字なりとするも、……単に歴史上の事実とし、または学術研究の資料として新聞雑誌に掲載するは、……社会の秩序を壊乱するという能はざるのみならず、むしろ正常なる行為というべし』とあった。 そこで私は次にその訳文に多少の修正をし、第三章も含めて訳しなおし、『単に歴史上の事実』を『学術研究の資料』とした上で…