募金という行為について、もっとも納得のいく説明を聞いた。 例によって例の如く、福澤諭吉からである。 明治二十四年十月二十八日、日本が揺れた。本州のほぼ真ン中あたり、濃尾平野で地震が発生。放出されたエネルギーは、マグニチュードにして8.0、内陸地殻内地震としては日本史上最大規模のものである。 一般には「濃尾地震」の名で知られる震災を受け、福澤は云う。 蓋し義捐金なるものは政府の臨時支出金などゝは全く性質を異にし、其起因する所を尋れば、同胞の兄弟姉妹が不慮の災厄に遭ふて難渋するの有様、如何にも気の毒なりとて、之を憐むの余り、取敢へず応分の資材を恵与して聊か自から我心を慰むるものにして、其目的は実際…