1.合意退職事案における使用者の労務提供の受領拒絶 解雇されても、それが裁判所で違法無効であると判断された場合、労働者は解雇時に遡って賃金の請求をすることができます。いわゆるバックペイの請求です。 バックペイの請求ができるのは、民法536条2項本文が、 「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。」 と規定しているからです。 違法無効な解雇(債権者の責めに帰すべき事由)によって、使用者が労務の受領を拒絶したことで、労働者が労務提供義務を履行することができなくなったときは、使用者(労務の提供を命じる権利のある側)は賃…