路面からすぐに地下に降りる階段が伸びているのが見えるのは梅田ハードレインで、扇町パラダイスはそうではない。腰くらいの高さの立て看板には「チェルシーホテル」の華奢でおしゃれな書き文字が踊っている。青白い蛍光灯に照らされた通路には見覚えがなく、こんなマンションの廊下のようなところへ入っていっていいのだろうか。おそるおそる進むとようやく、階段が見えてきた。あった…!とつぶやくと何段か下ったところに腰掛けている受付担当のスタッフが膝の予約者名簿のバインダーの上にいじっていたスマホを伏せて置くのが見えた。そうだった、ここに人がいるんだった。細くて狭いのに数段で180度折り返すようになっていて踊り場すらな…