谷崎潤一郎の作。初出:昭和7年11月〜12月「改造」 「大和物語」、謡曲「蘆刈」などにとりあげられた悲恋の物語をモチーフとして、それを現代にうつしかえ、谷崎一流の美的世界を描き出した作品である。 幻想的、夢幻的な美しさという点では、谷崎の作品中でも随一で、読者をその美の世界に溶かしこんでいく手腕は驚異的である。(「読書への招待」旺文社)
春琴抄・蘆刈 (読んでおきたい日本の名作)
蘆刈・卍 (中公文庫)
1981年8月、短歌新聞社から刊行された稲葉京子(1933~2016)の第3歌集。装幀は大越芳江。著者は江南市生まれ、刊行時の著者の住所は杉並区下井草。 昭和五十年秋から、五十六年初めまでの三百五十首をまとめて一冊とし、『槐(えんじゅ)の傘』と名付けました。 この集は、私の三番目の歌集にあたりますが、ここに在った年月を、私は今までになく烈しく歌を思い、歌に執し、歌を得るべき純粋な空間を求め続けました。 そんな私を励まし暖かく見守り続けて下さった皆様、本当に有難うございました。 第一歌集、第二歌集からいくばくの進展をなし得たか、心もとない限りですが、皆様のお力添えにより第三歌集を纏める機会を得ま…
冷たい雨の月曜日。身体に悪い寒さ。 時々10円20円単位のお金を気にしそうになるのだけれど、そんなものを気にしてあれこれする労力の方が無駄なはずなのだ。人文学系の研究者の道を選んで大学院に進学した時点で数百万か、あるいはもっと大きな金額を損しているのだから、もはやあまり気にするものではないのではないかと思って無視するようにならないといけないのだと思ったりする(たぶん。ちゃんと企業に就職して順調に勤務できていたと仮定した場合)。 仕事で何年もメールでやり取りし、先日初めてオンラインでお話しした方がいらっしゃるとのことでご挨拶にうかがう。お世話になっている人たちが集まって楽しくお話しした。 オンラ…
年末恒例の阪神百貨店古書ノ市に、今年も忘年会を兼ねて古本仲間と集まりました。今回は珍しく300円均一の共同コーナーがあり、いい本もたくさん出ていて、けっこう楽しめました。 いつもどおり真っ先に寸心堂の棚を見ると、4日目にもかかわらず珍しい本が残っていました。 MARCEL BÉALU『LA MORT à Benidorm』(PIERRE FANLAC、85年11月、1800円)→大きな字で印刷している短篇 MARCEL BÉALU『PAIX DU REGARD SANS DÉSIR』(JOSÉ CORTI、88年2月、1800円)→詩集 ベアリュの本は、奥さんが経営していたパリの古本店「ル・ポ…
春蟬や多摩の横山ふかからず 篠田悌二郎 句集『四季薔薇』 -出合いの俳句- 篠田悌二郎のいくつかの句を「フレージング」していたところ、その句集が急にほしくなりました。そして入手したのが、この『四季薔薇』という句集です。句集のいくつかのページの写真をご覧になって頂ければお分かりのように、有名な句もあり、ご存じの方も多いのではないでしょうか。彼の初期の三百ほどの句を集めた第一句集です。抒情的な大変美しい句が多く、時にはこんな世界にしっとりと浸っていたい時もあります。数年間だけ少し短歌をかじっていたことがありましたが、やはり抒情的な世界には魅了されます。 春蟬や多摩の横山ふかからず 篠田悌二郎 句集…
毎週日曜日は、この一週間(11/20~11/26)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者 出版社 税込価格 書評掲載回数(2回以上のもの) ◆週刊新潮「Bookwormの読書万巻」: 1/30 号 12 冊ともぐい 河﨑秋子 新潮社 1,925少女、女、ほか バーナディン・エヴァリスト 白水社 4,950 ③砂時計 警視庁強行犯係捜査日誌 香納諒一 徳間書店 2,200天守のない城をゆく: 城の楽しみ方、活かし方 澤宮優 青土社 2,420…
今日は昨日より一時間早く起き上がれました〜、と言いつつ10時を回っていたので朝ではないわけで、明日頑張ろう……。 140字小説集『藻塩草』 快楽主義 - 藻塩草(長尾) - カクヨム 「快楽主義」 ほんとうはタイトルを“売女”とか“売笑婦”とかにしたかったのですが、いまでは差別的表現なので、さすがにタイトルに置くのは躊躇われました……。日頃、大手映画制作会社などがポリコレに屈して、時代にあわない黒人の配役をしたり、話の筋に無意味なジェンダー観を持つ人物を入れてみたりするのを、表現がそういう筋に屈するのは無様。と思っているわたしが、差別的表現に配慮するとは、なんとも皮肉がきいたお話ですねえ。時代…
……またおやすみしてしまいましたね、悔しいなあ。薬の効きすぎなのか気温変動に身体がついていかれないのか、とにかくだるおもで、起き上がれなかったのですよね……うーん、怠慢。今日はやっとこさ更新しましたが、お昼まで寝ちゃったので、明日は朝からバチッと起きられますように! 【なろう】短編集『夢日記』 https://ncode.syosetu.com/n4212id/6/ 「夢日記」更新しました。 「廃ホテル」 2023/11/13の公開予定で土曜日に書き上げていたのでした。いまさらお知らせです、すみません。 140字小説集『藻塩草』 幸せの距離 - 藻塩草(長尾) - カクヨム 「幸せの距離」 太…
2023年9月29日(金)尼崎には「寺町」という歴史的エリアがあると聞き、尼崎薪能がはじまる前に散策してみました。 町並み尼崎寺町は、江戸時代に尼崎城の城下町とともに整備され、町中に散在していた寺々が一画に集められたのが始まりといいます。 寺町の通り尼崎というと、やんちゃな雰囲気を想像していたのですが、こんなにしっとりとした場所もあるんですね。お城と、薪能と、寺町を一度に体験して、日本の文化を大切にする街なんだなあと感じました。 本興寺こちらは尼崎寺町を代表する本興寺。創建は室町時代。法華宗本門流の大本山で、塔頭が六院もある大寺院です。時間がなくて奥には行けなかったのですが、開山堂や三光堂、方…
今日はかねてから大学時代の文学仲間と約束して、私が主宰した山本周五郎「雨あがる」読書会の日でした。 読書会を催す時間になり、先日読んだテキストを手に自室へ。 雨あがる 映画化作品集 (講談社文庫) 作者:山本 周五郎 講談社 Amazon 読書会では民衆の描かれ方や、主人公夫妻の聖なるものとしてのキャラクター性、リベラルな思想小説としての「雨あがる」について語り合いました。 当時としては全く新しい「弱い立場の侍」が、その後藤沢周平に引き継がれて、時代小説の一ジャンルとなっていくという主人の解説もあり、大変歯応えのある読書会になったのではないかと思います。 皆それぞれに感想を述べあったり、主人が…
神戸市東灘区住吉東町1丁目にある谷崎潤一郎の旧居・倚松庵(いしょうあん)を訪れた。 倚松庵 倚松庵は、昭和4年に建てられた和風建築で、谷崎が昭和11年11月から昭和18年11月までの7年間にわたり住んだ家である。 元々は現在地から約150メートル南に建っていたが、六甲ライナー建設に伴い、平成2年に現在地に移された。 旧谷崎邸の表札 谷崎は、東京日本橋の生まれで、37歳まで関東で生活していた。 大正12年9月1日に、谷崎は滞在先の箱根で関東大震災に遭った。地震嫌いだった谷崎は、一家を挙げて関西に移住した。 引っ越し魔と言われた谷崎は、関西に来てから21回転居しているが、この倚松庵は、関西に来てか…
松尾大社の二の鳥居と楼門の間の参道に直径二メートルほどの茅の輪が設けられていた。これを潜ることで半年の穢(けが)れを祓(はら)うことになるという夏越の祓いのためのものである。その傍らに潜り方を記した札(ふだ)が立っている。まず左側から潜って戻り、今度は右側を潜って戻ってまた左側を潜って戻ってから正面を潜っていくというのである。この左からはじめる順の所作は伊邪那岐命(イザナギノミコト)の天の御柱廻りから来ているという。「其の島(淤能碁呂島、おのごろしま)に天降(あまくだ)り坐(ま)して、天(あめ)の御柱を見立て、八尋殿を見立てたまひき。是に其の妹(いも)伊邪那美命(イザナミノミコト)に問曰(と)…
5月連休も終りに近づいている。晴天は今日で終りらしい。昨日は能登で地震があり、家が倒壊したところもあるようだ。被災された方にお見舞い申し上げます。とにかく日本に住んでいる以上地震から逃れることはできない。どこにいても地震は付いて来る。関東も大地震の危険は予知されている。関東大震災は1923年におきているので、今年は100年目にあたる。100周年ではないが、今年大震災が起きても不思議ではない。 火山国なので温泉に恵まれる反面、マグマを生み出すプレートの沈み込みが岩盤にひずみを生じ、岩盤がひずみに耐え切れなくなり地震が多発するという負の面もある。富士山の噴火も1707年に最後の噴火がおきているので…
ゴールデンウィークが始まって早々、伊丹、神戸、大阪、京都と駆け足で巡ってきた。 目的の一つがこちら!4月29日に伊丹アイホールで行われた「道行再行」の観劇。 「道行再考」とは ★平知盛の道行 ★巴御前の道行 ★二人の六条御息所の道行 ★芦刈の道行 ★俊徳―スティグマの道行 ★エピローグ 知盛の道行の後半部分。 ★みな魂が救われた 「道行再考」とは 「道行再考」とは、2019年にアイホールで行われていた「演劇ラボラトリー木ノ下歌舞伎プロジェクト」の「古典の現代化」の手法を学ぶ演劇講座の終了発表会としての演目。 このプロジェクトは、1年間学び、芝居を作り、2020年の3月、さあ、これからいよいよ「…