PLANET-C

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宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部が運用中の日本初の金星探査機「あかつき」。様々な波長域から金星大気を立体的に観測するいわば「金星版気象衛星」であり、「スーパーローテーション」などの謎に包まれた金星大気現象の解明に挑む。2010年度5月21日にH-IIAロケットによる種子島宇宙センターから打ち上げられ、正常に金星遷移軌道へと投入された。

当初はM-Vロケットによる打ち上げを想定していたが、コスト高を理由としたM-Vロケット運用終了を受けてH-IIAによる打ち上げへと計画が変更された。なお、これに伴いロケットの搭載可能重量に余裕が生じたため、一般公募から選定された4機の小型衛星JAXAの小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」も相乗りする事となり、うち一般公募の1機とIKAROSは共に金星に向かう惑星間軌道へと投入された。

金星周回軌道への到着は2010年12月7日を予定していたが、推進系のトラブルなどにより周回軌道への投入に失敗した。720秒の減速噴射を予定していたが、噴射開始直後から燃料タンク圧の低下が始まり152秒の時点で急激に機体の姿勢が乱れ、158秒の時点で噴射を停止し姿勢を立て直そうとしたのち自動的にセーフホールドモードへ移行した事が判明している。これにより「あかつき」は金星を減速スイングバイし、金星軌道よりやや内側を周回する楕円軌道へと入った。JAXAによると、現在の軌道で6年後には再び金星と会合し周回軌道へ投入する機会が生まれるという。今後は何らかのダメージが疑われるメインスラスタなどをはじめ、地上試験と併せて原因特定を実施するとしている。

また12月10には、観測カメラの健全性を確認するために撮影された金星の画像も公開された。これにより観測カメラが所定の性能を発揮している事が確認されている。

再び金星に接近するまでの6年間の運用における課題は、より太陽に近い軌道を周回する際の熱管理、設計寿命を超えるバッテリーの品質劣化、観測カメラの性能維持、太陽活動の活発化による放射線の影響、今回問題の発生した推進系などが挙げられる。これらを可能な限り避けるため、リスク評価をしたうえで最低限の機能を維持した冬眠モードに移行するとしている。