ここのところ二階俊博の50億円だとか、世耕弘成の裏金だとか、その秘書が企画した過激ダンスショーであるとか、政治スキャンダルに事欠かない和歌山県ですが、面積の八割以上を山林が占めていて、平野が一部に限られているというのが地政的な特徴です。しかも、紀伊山脈を中核とする標高1,000メートル前後の山岳地帯は結構奥深く、温暖で雨が多いため樹木がよく育つので、「木の国」と呼ばれていました。「紀の国」の由来です。 小説『大誘拐』(天童真著・創元推理文庫)は、和歌山県の山林王を誘拐する物語です。 この作品は、1979年に日本推理作家協会賞を受賞したもはや古典ですが、身代金が100億円と突き抜けた高額であるこ…