北欧型社会の問題点 〜日本が北欧型になれない3つの理由〜
公的部門に関する問題
北欧型社会は強く「大きな政府」を志向します。故に、政治は透明性が高く常にクリーンであらねばなりません。しかし、日本の現状はどうでしょう。言うまでもなく汚職の総合商社です(海外では中国と同じレベルだと思われています)。また、談合に代表されるように国民に対する政治の透明性もそれほどありません。
よって、日本には、依然として北欧型社会を受け入れられる政治的土壌はないと言えるでしょう。
企業に関する問題
北欧型社会は強く「税収」に依存しています。平たく言えば、税金が非常に重いのです。これは個人に対しては勿論のこと、企業に対する負担も大きいのです。
ところで、日本企業の現状はどうでしょうか。確かに一部(全体の約2割)の大企業は空前の利益を手にしてします。しかし、日本における企業の大部分(約8割)を占める中小企業は依然として苦しい経営を迫られています。この状況で企業に対する税金が高くなれば、大企業は耐えられるかもしれませんが、中小企業は耐え切れません。ついでに言えば、税金が高くなれば大企業は国外逃亡するでしょう(元経団連会長のセリフ)。一方で、中小企業はそう簡単に国外移転は出来ません。
結果として大量の中小企業が倒産の憂き目に遭うことになるでしょう、火を見るより明らかです。当然、失業者も大量に生まれるでしょう。そして、(福祉国家ですから)大量の失業者全員を税金で保護しなければなりません。論理的帰結として国庫が底をつくことになります。国家財政が破綻します。
つまり、少なくとも中小企業群の経営が好転するまでは、北欧型社会への転換は試みることすら不可能と言えます。
国民に関する問題
日本国民を構成する人々の特徴や精神傾向について考えてみましょう。
まず北欧型社会では、福祉制度にタダ乗りするような人々が少ないことが保障されている必要があります。その点において、日本では暴力団の存在が問題となるでしょう。暴力団関係者らは、現状ですら福祉制度を悪用し、不法に利益を得ています。こういった脱法集団(タダ乗り)が大量に存在している限り、福祉制度は社会の生産性向上に寄与しにくくなります。言うなれば対費用効果がない、非常に効率の悪い政策となるのです。
また、一般的な国民意識も阻害要因になり得ます。国民の多くは、明らかな社会的弱者(ホームレスや母子家庭, 貧困層, 障害者 etc)にすら税金投入を忌避します。自分の納めた税金が無駄遣いされているように感じるわけですね。こういった現状では、たとえ重税に見合った行政サービスを国が提供可能だとしても、国民は納得しないでしょう。国民の多くは、自分の所得を国に使われるより、非効率的であろうと自分で使いたいのです。
更に言えば、低い投票率に見られるように日本人の政治参加意識は乏しいものです。北欧型社会では、国民全員が国家の意思決定者となることが要求されます。即ち、政治に対する積極的な参加&関与が求められます。
大半の国民にこういった意識が共有されている以上、北欧型社会は日本には馴染まない制度だと言えるでしょう。つまり、日本において北欧型社会を構築することはは極めて難しいのです。