Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

今年見た映画(その5 ディズニー・アニメ篇2)


 前回の続きです。ディズニー・アニメといえば、プリンセスもの以外にも、ピクサー社製作の人気シリーズ『トイ・ストーリー』があります。本編は『トイ・ストーリー』(1995年)、『トイ・ストーリー2』(1999年)、『トイ・ストーリー3』(2010年)の3本。どれも非常にクオリティが高い名作揃いで、個人的にも大好きな作品です。『トイ・ストーリー』シリーズには短編作品が数本あり、この夏BSで放映されたので、まとめて見てみました。



トイ・ストーリートゥーンハワイアン・バケーション』(ゲイリー・ライドストロム) 2011年


 シリーズ初の短編作品は『ハワイアン・バケーション』(2011年)。これは『カーズ2』と同時上映されたので、映画館で見ました。『トイ・ストーリー3』のその後の設定で、舞台はおもちゃたちの新たな持ち主となったボニーの寝室。持ち主のハワイ旅行に同行しようと画策していたケンとバービーですが、失敗して取り残されてしまいます。落ち込む2人を元気付けようと、他のおもちゃたちが「ハワイの休日」を演出する・・・というお話。短編とはいえ変わらぬクオリティの高さで大いに楽しめました。でも、おもちゃたちが繰り広げる偽の「ハワイ旅行」は何だか痛々しかったなあ。

(『トイ・ストーリートゥーンハワイアン・バケーション』Hawaiian Vacation 監督/ゲイリー・ライドストロム 2011年 アメリカ)


トイ・ストーリー3 バディフィギュア・2パック グレイト・シェイプ・バービー / ケン

トイ・ストーリー3 バディフィギュア・2パック グレイト・シェイプ・バービー / ケン



トイ・ストーリートゥーン ニセものバズがやって来た』(アンガス・マクレーン) 2011年


 シリーズの準主役バズが、おもちゃ屋の棚に大量に並べられた自分と同じ姿のフィギュアを見て、自らの正体に気がつく場面(『1』)は名シーンでした。主人公ウッディが最早骨董品扱いのレアなおもちゃなのに対し、バズが量産される最新のおもちゃであることは度々ネタにされていて、『2』ではもう一人のバズと戦いを繰り広げていました。短編『ニセものバズがやって来た』(2011年)では、一回り小さいバズが出てきて笑わせます。他にもバズを主人公とした『スペース・レンジャー バズ・ライトイヤー 帝王ザーグを倒せ!』(2000年)がありますが、これは未見です。

(『トイ・ストーリートゥーン ニセものバズがやって来た』SMALL FRY 監督/アンガス・マクレーン 2011年 7分 アメリカ)




トイ・ストーリートゥーン レックスはお風呂の王様』(マーク・A・ウォルシュ) 2012年


 図体がデカくて間抜けな恐竜のおもちゃレックス。レックスが一躍人気者になるのが『レックスはお風呂の王様』(2012年)です。お風呂に浮かぶおもちゃたちがレイブ・パーティーをやるというお話で、音楽もエンディング・クレジットの字体もそれらしく作られていて笑いました。オーソドックスが身上の『トイ・ストーリー』シリーズにしては変化球というか、遊び心満載の異色作となっています。

(『トイ・ストーリートゥーン レックスはお風呂の王様』PARTYSAURUS REX 監督/マーク・A・ウォルシュ 2012年 7分 アメリカ)


ディズニー トイ・ストーリー おしゃべりフレンズ レックス

ディズニー トイ・ストーリー おしゃべりフレンズ レックス



トイ・ストーリー・オブ・テラー!』(アンガス・マクレーン) 2013年


 短編作品の中で一番面白かったのが『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』(2013年)でした。持ち主の車で移動中のウッディたち。車がパンクしてしまい、やむを得ずモーテルに一泊することになったのですが、その夜おもちゃたちがひとりまたひとりと姿を消して・・・というお話。タイトルの通り、ホラー映画仕様の異色作です。これがまた非常に手がこんでいて、『スクリーム』よろしくホラー映画のウンチクを語る奴がいたり、カウガールは長年箱詰めされて倉庫に放置されていたトラウマで閉所恐怖症になっていたり、おもちゃたちを捕らえる怪物の正体は○○だったり、ホラーでモーテルと言えば定番のシャワールームも登場・・・と、その徹底ぶりには脱帽です。ワンショット内で事態が解決してしまう終盤なんて黒沢清かと思いましたよ!映画としてはユーモラスな味付けを忘れていないので見ている方は笑っていられますが、おもちゃたちにとっては『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス一家に囚われたくらい恐ろしい一夜だったことでしょう。

(『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』TOY STORY OF TERROR! 監督・脚本/アンガス・マクレーン 2013年 アメリカ)




トイ・ストーリー 謎の恐竜ワールド』(スティーヴ・パーセル) 2014年


 シリーズの最新短編は『トイ・ストーリー 謎の恐竜ワールド』(2014年)。自分たちがおもちゃだと気づいてない(持ち主が最新式のTVゲームに夢中で、遊んでもらっていないため)恐竜軍団が、砦を築いています。そこに囚われたウッディやバズたちはコロシアムで決闘を強いられるのですが・・・というお話。やっと持ち主に遊んでもらった強面の恐竜戦士が、放心状態で「楽しかった・・・」ともらす場面が良かったなあ。本作で活躍するのはトリケラトプスのおもちゃトリクシー。ごっつい外見に似合わず、聡明なキャラクターとして描かれています。『トイ・ストーリー』シリーズは登場するキャラクター(おもちゃ)ひとつひとつが丁寧に描かれていて、作り手の愛情が感じられるのが素晴らしい。スピンオフ作品はいくらでも作れそうな感じですね。

(『トイ・ストーリー 謎の恐竜ワールド』TOY STORY THAT TIME FORGOT 監督・脚本/スティーヴ・パーセル 2014年 アメリカ)




 2018年にはいよいよ長編シリーズ4作目が予定されているとのことなので楽しみです。(この項終わり)