緒花がどれだけ僕よりも賢いか(「花咲くいろは」第6話感想)

花咲くいろは」第6話の内容を前提に、感想を書きます。第6話はニコニコ動画で5月21日ごろまで無料配信されています。

僕はこのシーンで衝撃を受けました。

女将さんの仲居服を使うという緒花の挑戦は間違いなく成功だったと思います。これらの仲居服は流行のようにすぐ陳腐化するようなデザインでもないと思いますし、緒花は女将さんの仲居服をもっと試してみることもできたはずです。それは僕の望みでもあります。なぜなら緒花がかわいいからです。しかし、緒花は仲居服に別れを告げます。

手を振って別れを告げる緒花は何を思っていたのでしょうか。ありがとう←たぶんそう。またよろしくね←きっと違う。もっと、はっきりとした別れの顔でした。それから部屋の明かりを消して、


(↑画像を明るく加工しています。明かりを消して扉が開いている状態です)

扉を閉め、そして閉めたあとの余韻までが、じっくりと表現されています。


(↑扉も閉まったので真っ暗です)

なぜこんなにきっぱりと別れるのか僕はわからず驚きました。緒花は、この成功が女将さんの挑戦によるものであることを理解していたのだと思います。つまり過去においての「新しいこと」がみちびいた成功でした。だからこそ、喜翆荘の未来のためにいま自分たちが新しいことをやらなければならないと思ったのでしょう。冷静で勇気のある決断だと思います。
「うまくいったのなら続ければよい」という僕の浅はかな考えを緒花は打ち破ってくれました。緒花は一回の成功で結論を出さない思慮深い性格です。何が本質であるかをじっくりと考えます。

花咲くいろは」第6話

緒花「今朝のことで明日からお客さんが増えればいいけど、現実はそんなに甘くはないのかもしれない。でも、何かをすれば何かは起きる。この喜翆荘にとって、変わることが正解なのか、変わらないことが正解なのか、答えはわからないけど、何かができればいい。そんなことを、すこし考えた。」

結論を急がずにじっくりと考えるためには、わからないということを認める必要があります。わからないことを諦めと感じず、むしろ向き合わなければなりません。わからない、けれど何かをしようとする意思に緒花はあふれています。

花咲くいろは」第6話

緒花「何が間違ってたんだろう」

民子「全部」

そうです、みんちのいうとおり、コスプレwwwねーよwwwというのが本音でした。でも、新しいことをしようという姿勢を否定する根拠を僕はもっていません。

花咲くいろは」第6話

緒花「喜翆荘のために私でもできること何かあるんじゃないかなって」

民子「何かって何?」

緒花「わからないけど……」

そして「私にできること、みつけなきゃ。だって、このまま2万円は胸張って喜べない」(第6話)と決意します。緒花がさっきまで「なこち、はたらくっていいね!」(第6話)と浮かれていたことを思うと、仕事の価値を反省するこの冷静さは驚きです。
「挑戦はいつも報われるわけじゃないのかなあ」(第6話、緒花)ということも理解して、いくつかの体験を積んでなお「わからない」ことを認めて、どうして緒花はこんなにも力強く前向きでいられるのでしょうか。べつに緒花は喜翆荘への思い入れはないと思います。緒花の行動原理として明らかなのは「私、輝きたいんです!」(第3話)くらいで、これで説明するくらいしかないんですね。
緒花って具体的な目的意識もないし問題の分析もでたらめなんだけど、思考と感情と行動とのバランスのとりかたがすごくうまいし、思考停止したり思い込んだり諦めたりしがちなところでも前に進みつづけるから、僕みたいなごみくずよりもずっと賢いって思います。「私、輝きたいんです!」だけでひとってこんなに賢くなれるのでしょうか。でもとにかく僕にとって緒花はすてきなひとなんですね。
ところで、派手な柄もあるなかで、緒花がわりと地味な服を選んだのはおもしろいですね。コスプレ衣装をみたときに「これで旅館の仲居さんはないんじゃないかなあ」(第6話)といったように、やっぱり仲居の役割を意識しての選択なのかもしれません。逆にいえば、仲居として奇抜な衣装もたくさん取り入れた女将さんのかつての野心にも関心します。