「図説 駅の歴史」(交通博物館編)

「東京のターミナル」の副題がついていて、個々のターミナル駅の歴史だけでなく、鉄道網の発達、社会環境の変化によって、それぞれのターミナルがどう変化してきたかが、全体のネットワークの中に位置づけるということに力点をおいて記述されている。

交通博物館の特別展示「東京のターミナル形成史」の展示内容がもとになっているので、各ページにところせましと写真や図版があって、それを眺めているだけでも飽きない。特に設計図面などの各種図面まで収録しているあたりはさすが。添えられているコラム(っていうより略歴だけど)「鉄道人物伝」もたのしい。

巻末の謝辞にはこの本が交通博物館として調査研究にもとづく最後の出版物である旨が記されている。おりしも交通博物館は今日で閉館するわけだけど、この本にかかれている万世橋駅交通博物館の歴史をみていると、移転するのではなく、いまの場所でつづけるべきだったんじゃないかという気がしてくる。