本日の1枚 U-zhaan × rei harakami

 U-zhaan × rei harakami / 川越ランデヴー (CD)
 
 
 今年はやはり震災と原発に関するショックが大きかった。しかし、誤解を恐れずに言うと、自分も何かできないかという気持ちは大きな昂りとなり、ある種のハイな状態になっていたと思う。本来であれば、もっと喪失感のようなものを感じるべきではなかったのか。
 けれど、7月27日、震災でも味わえなかった大きな喪失感におそわれる。音楽関係者の訃報が多い1年ではあったが、レイハラカミ死去のニュースはいまだに信じられない思いであります。
 
 さて、この盤。昨年に配信リリースされていた『川越ランデヴー』に、リミックスや未発表曲などを合わせて収録したアルバムです。故人の意志だそうで、ライヴ会場限定で発売されています。
 その『川越ランデヴー』は、実在する牛蒡(ごぼう)専門店について、レイハラカミのトラックに乗せてユザーンが呟いているもの。
 視線も口調も穏やかな語りと、美しく浮遊感のあるサウンドごぼう屋さんを客観的に観察、ちょっとユーモラスに語っているのに、聴いているとなぜだか泣きそうになるのです。
 そしてサビのメロディがまた秀逸。非常に短いフレーズなんだけど、はっぴぃえんどやティンパンとかの系譜を正統的に受け継いでいる感じで、柔らかな哀愁がとても素敵です。
 ラスト近くから咲き乱れるタブラもカッコいいですし、その配し方などのアレンジも絶妙であります。
 
 凶悪にピコピコしてるリミックスやインストなんかも好いんだけど、やっぱオリジナルが最もグッときますね。
 あと、本秀康によるジャケも素晴らしい。