2ペンスの希望

映画言論活動中です

数字の話 1000本ノック

京都ふや町映画タウンの店内にはO店主さんの映画関連の蔵書が並んでいる。
先日出掛けた時、一冊借りてきた。
『ジャンル別映画ベスト1000』【1996年3月 学習研究社 刊】編集者安原顯の肝いり編集。彼が選んだ20人のライターがミステリー&サスペンスからラブ・ロマンス、アクション映画、コメディ、ノン・ジャンルまで、様々好き好きに50本のおススメ映画を選んでいる本だ。文末に安原のプロデューサーズ・ノートが載っている。
なぜ『ベスト1000』を企画したのか。面白い映画を読者に是非見てほしいとの、例によって余計なおせっかいからである。
O店主さんによれば、映画100年を迎えた1955年前後には、こうした企画本がたくさん出たそうだ。「絶対に観たい名作100選」とか「死ぬ前に見たい映画100」とか‥。オールタイムベストテンなんてのが出て来たのも此の頃からだった。
引き続き安原は書いている。「昔を懐古するなどとのセコい意味ではまったくなく、百年の歴史を持つ映画のことゆえ傑作、秀作は腐るほどある。また現在ではビデオやLD(今や20年前!二昔経ってる。時代を感じる‥引用者註)で、昔の映画が簡単に見られるようになった。言うまでもなく、ビデオやLDで見るのは邪道、「映画」とは別物である。しかし、そうは言っても、見ないよりは見た方がいいと、僕は思っている。
最近O店主さんと話すと、「1万本以上映画を見た人は、責務としてこれからの若い世代に向けて1000本の映画を選んでみては‥」という話になる。10本50本100本なんてケチ臭いことを云わず、ドドーンと1000本挙げてみたらどうだろうというわけだ。1万本は半端な数ではない。1年に500本観たとして20年、半分250本なら40年、けど映画ファンならそれくらいは観てきている筈、無理な数字じゃない、というのがO店主さんの主張だ。首肯。ふや町映画タウンには8500本超のVHSが揃っているが、HPには★☆でO店主さんのおすすめビデオが載っている。
★★★:むちゃくちゃ(!)おすすめ 約100本 
☆☆☆:これが、かなり、おすすめ 約200本 
☆☆ :実は、けっこう、おすすめ‥ 約300本
☆   :‥‥‥ちょっとおすすめ。約220本 
ある程度の本数、数にあたることで、映画の持つリズム、映画が発する空気をつかむ方法が身に付くのはまぎれもない事実だ。映画の1000本ノック。おすすめである。