kodamatsukimi2005-06-14

・ご存知同人サークル「上海アリス幻楽団」の『東方』シリーズこの夏発表予定の最新作、
 『東方花映塚』(とうほう かえいづか)web体験版Ver 0.02a。
 いよいよダウンロード開始ということで早速。

 上海アリス幻楽団 http://www16.big.or.jp/~zun/


・うーんまさしく『ティンクルスタースプライツ』の正当進化版。
 これだけきっちりしたものを作られてしまっては
 SNKプレイモアPS2で製作中のほう(http://www.snkplaymore.jp/official/twinkle_star/)は
 立つ瀬がないのじゃないかしらん、とも思いますが
 が、しかし。


・この『花映塚』、ちょっとついていけないかも。
 対戦モードでコンピューター同士対戦にし、難易度最高にして
 どのようなゲームか観戦しようと思ったわけです。


・ついていけない。


・「NGM」で以前弾幕STGについていわれていたとき(http://ngm.web.infoseek.co.jp/2005/03/blog-post_08.html
 いやいや、『虫姫さま』ウルトラはともかく、まだまだ『東方』はなんとかなりますよ、
 と思っていたのですが、今度はちょっと辛いかもしれません。
 隣の画面に目をやる余裕は勿論なし。PCで対戦というのもなかなか考えづらいものであり
 ちょっと腰引け気味でございます。

・ちなみに上記「NGM」記事の「ウルトラ」クリア動画リンク先はデッドリンクです。
 そもそも著作権上微妙でありますし。
 『花映塚』でいくらでも人造神プレイは見れますのでそちらをどうぞ。


・『花映塚』は同人ゲーム。いくら尖っていても許されるしそれが価値でもありましょう。
 万人受けでなく、好きな人だけが楽しめるゲーム。それで良い。
 個人的には『紅魔郷』『妖々夢』みたいなのが良いのですけれど。


・最近、人を選ぶゲームばかりがやたらと目に付くように思います。
 あたりハズレが大きいゲーム。マニアでも買い間違えれば七転八倒ヤミツキスリル。
 今回の本題はそのようなゲームの最右翼でございます。
 
・このような好みの分かれるゲームを普通に売ってて大丈夫かゲーム業界。
 マニアはともかく一見さんには逃げられますよ。

映画のようなゲーム『killer7』

 PS2/GC カプコン 2005/06/09発売 PS2ASIN:B0007GHOHO GCASIN:B00007GZAZ
 公式サイト http://www.capcom.co.jp/killer7/

 
 The Master.This is dangerous.
 こいつはヤバイです。ヤバイゲームです。
 何しろグラスホッパー・マニファクチュアhttp://www.grasshopper.co.jp/)、
 須田51、でなくて須田剛一監督作品です。
 ヒューマンの『トワイライトシンドローム』『ムーンライントシンドローム』、
 PS『シルバー事件』、PS2花と太陽と雨と』。
 問題作ばかり作っているあのグラスホッパーです。
 「ゲーム批評vol.40」に唐突に内輪紹介記事が載っていたあれ。なんだったんでしょうあれ。
 とにかくヤバイです。ヤバイゲームです。


・意味不明なあれは無視してこちらをどうぞ。
 「ナチュラルボーンゲーマー:killer7 インプレッション」http://blog.livedoor.jp/sibaten/archives/24959811.html
 内容紹介はこちらで充分至極。
 簡潔に以下、私の感想文でございます。



・このゲームは、ひとを選ぶゲームです。
 
・おそらく紹介するひと、誰もが断り書きを付けるでしょう。そういうゲーム。
 個性的。作家性が強い。アーティスティックな作品。
 鈴木清順監督「ピストルオペラ」を見て許せるならば問題ない。関係ないか。

・常に個性的な作品を作り続けてきたグラスホッパー
 安定した実力を持つカプコンと組んで送り出したのがこの作品。
 面白いのか。
 面白いです。けれどひとには薦められない作品です。




・ジャンルはアクションアドベンチャーゲーム
 カプコンだから『バイオ』です。
 なるほど流石、斬新な操作感、個性際立つグラフィック、
 それらがしっかりとひとつのゲームとしてまとまっている。

・けれどならば、間違いなく今年の傑作十指に数える『バイオハザード4』程の作品か、
 といえば、決してそうではない。

グラスホッパーという名を外して、
 つまりはストーリー、キャラクター、様々な演出に見出されるその個性を
 外して見てみれば、
 斬新だが、優れた作品ではない。


・アドベンチャー要素は面白いか。
 露骨に、そのためだけにあるステージ構成。
 ゲームのお約束というほかない、古典的で不条理なお使いイベント。
 その繰り返し。

・アクション要素はどうか。
 移動しながら撃てないFPS。いわば的当てゲーム。
 倒し方がわかっているのに手間だけは掛かる、工夫のしようがない単なる障害。
 その繰り返し。

・なるほどヒントは充実しています。行き詰ることはないでしょう。不条理でありながらも。
 敵を攻略しなくとも、まめに体力を回復して力押しで進めばクリアは出来る。


・なぜ、このようにしたのか。
 明らかに、その操作性も含めて意図的なもの。
 上手くても下手でも同じように手間をかけてクリアしなければならない作品。
 故意に「ゲーム性」を落としている。低めている。
 カプコンが製作していながら、 平行して『バイオハザード4』がありながら
 このような作品であるのは、そうあるべきと考えられたから。


・それは、このゲームがアクションアドベンチャーゲームではなく
 ゲームという表現形式を取った『キラー7』という表現作品だからでしょう。



・ゲーム好きが崇め奉る「ゲーム性」とは何か。
 それはルールの中での勝負。そこで競い合う楽しさ面白さ。
 けれど『キラー7』という作品には、それは邪魔な要素なのです。


・コントローラーという入力装置を介して、観客はイベントをこなし、先へ進む。
 その過程を通じて、さらにその結果としての様々な映像、造形、言葉、音楽。
 それらが表現するもの。
 テレビゲームという機器を用いて、表現される演出。


・テレビゲームが「ゲーム性」をテレビの中で表現するものだとしたら
 これはテレビゲームでなく
 ゲームコントローラーというデバイスを介した双方向性あるメディアにおける表現作品。
 ゲームではある。けれど「ゲーム性」は必ずしも必要ない。
 コントローラーを握るひとは、ただ先に進み、完成された表現を鑑賞する観客であれば良い。
 映画を見ているように。



・ゲームの価値は、それが面白いかどうか。
 ゲーム作品「キラー7」は面白いのか。その答えは
 「ゲーム性」という観点からそのつくりが優れているかどうかではなく
 表現作品として好きか、嫌いか。


・『キラー7』はひとを選ぶゲームである。
 しかし、それだけではまだ足りないでしょう。
 なぜならそれは、ただ「ゲーム」である、とは言い難いものであるから。
 ゲームであるけれど、あるいはゲームではない。


・好きならば、面白い。
 好きになれなければ、きっと面白くない作品。
 そしてそれは、映画のように時間とお金をかけて、見て遊んでみなければ分らない。
 まさに映画のようなゲームです。