http://www.tbsradio.jp/ss954/2015/01/20150113session.html
浜井浩一さん(龍谷大学教授)
早稲田大学教育学部で認知心理学を学んだ浜井さんは、国家試験を受けて法務省へ。元官僚であり、心理技官(矯正)として少年院や少年鑑別所、保護観察所などの現場も経験。さらに、国連犯罪司法研究所などへの海外派遣も含め、1996年に異動となった法務総合研究所では4年間犯罪白書を執筆、その後、学者の道を選択するまで、受刑者の人事管理を担う「首席矯正処遇官」として横浜の刑務所職員だったという異色の肩書きの持ち主。
参考サイト)
「社会的弱者が『不審者』として排除される社会」を、あぶり出す
http://www.jinken.ne.jp/other/hamai/index_b.html
- 作者: 浜井浩一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/03/14
- メディア: Kindle版
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(冒頭の要約)
犯罪白書について
一時期、治安が悪化したという言説に乗っかるような犯罪白書が作られた。
それは、統計の読み方とか現場で起きていることのリアリティとの間に乖離があったと思うことがあった。(増えていないのに増えていると言ったり)
そこまで犯罪白書は言わないが、その方向性で作られていた。最近は、きちっと何が本当の問題で、問題に対してどのような対策をとっているか、何が欠けているのか、できるだけ明らかにしようとする方向性で(犯罪白書が)作られているので、そういう意味では好感がもてる。
警察白書について
(ここ一年で、これが増えた、あれが増えた、だけの報道をメディアがしなくなった)
認知件数が減り始めて10年以上経ちます。一般刑法犯で交通事故を除く、刑法犯罪で見ると、10年間で半分になっています。犯罪の数が半分になったとしたら画期的なことです。そういう中で何かが悪化しているというものを作り出すのは難しい。(大阪府警で統計データが誤魔化されていた)
政府統計は2種類あることを知ってもらいたい。ひとつは業務統計です。これはあくまで担当している機関が業務を集計していくものです。実際の公式統計の基本的なあるべき姿は調査統計です。例えば、失業率がそうですよね。ハローワークに来ている人の数をかぞえて算出すれば、業務統計です。そうではなくて、全国四万世帯、毎月11万人に対して、ランダムサンプリングをした調査を行って、そこから失業率を推計していく、統計学的に誤差の範囲を推定した上で科学的にアプローチをして統計値を出していく。
犯罪に対してもできるわけです。全国四万世帯、11万人に対して同様の調査ができるわけです。被害率も推定できるわけです。これを数値目標のターゲットとして犯罪を減らそうとするのであれば、望ましいことです。警察とは違う総務省が統計を作りますから。
それに対して、認知件数とか検挙件数というのは、警察の活動を積み上げたものです。業務統計は警察の活動を記録したもので、それを数値目標化してしまうと、自分が評価される状況を作ってしまう。それは、現場の人を追い詰めることになる。上司からガンバレというプレッシャーから犯罪を計上していくことになる。
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