- 作者: 佐伯胖
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/07
- メディア: 単行本
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この本の中に、教授・学習を研究するための基本的な論点が呈示されている。
システムとしての「教え・学び」を一体としてとらえなければならないこと。
こうなると、「何を教えるか」、「いかに教えるか」、「どう学ばれるか」のいずれもが、それぞれ単独項目としては研究対象にならないというのが、授業の研究の宿命のようである。これら三者のからみ(システムという便利なことばもあるが)を研究対象とする、といえばよいだろうか。しかし、もう少し用心深く考えてほしい。三つのからみを問題にするならば、一つからはじめても生じなければならないはずである。そうなっているとき、はじめて「からみ」を研究していることになる。
学ぶことの認識が学ぶ力なのか。
自分で学んでいく力はどこから生まれてくるかを考えますと、私なりにそれは基本的な知識観、あるいは学ぶということに対する認識、あるいは知識とは何であるかということの認識が、本来の学ぶ力、学力ではないかと思うのです。
評価がさかのぼってすべてを最適化するのか。
ところが「評価」というのは、その「評価方式」がきまった途端に人間の手から離れ、機械の論理に移る。それは「自動的」に識別されるしくみになり、「機械的に」処理されるしくみになっていく。
要素論ではなく、全体論を採らねばならないのか。
「ヤブ医者の誤診」
風邪の症状には「熱がある・体がだるい・頭が痛い」などがあるけれども、ヤブ医者はこれら一つ一つを単独に身につけさせようとする。
とすれば、評価を複数設定しておき、それが同時に達成されたときに、目標とするものができたとするのはどうか。
など、教授・学習研究の枠組みを問う課題設定がなされている。