KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

佐伯胖『「学び」を問いつづけて』

「学び」を問いつづけて―授業改革の原点

「学び」を問いつづけて―授業改革の原点

この本の中に、教授・学習を研究するための基本的な論点が呈示されている。

システムとしての「教え・学び」を一体としてとらえなければならないこと。

こうなると、「何を教えるか」、「いかに教えるか」、「どう学ばれるか」のいずれもが、それぞれ単独項目としては研究対象にならないというのが、授業の研究の宿命のようである。これら三者のからみ(システムという便利なことばもあるが)を研究対象とする、といえばよいだろうか。しかし、もう少し用心深く考えてほしい。三つのからみを問題にするならば、一つからはじめても生じなければならないはずである。そうなっているとき、はじめて「からみ」を研究していることになる。

学ぶことの認識が学ぶ力なのか。

自分で学んでいく力はどこから生まれてくるかを考えますと、私なりにそれは基本的な知識観、あるいは学ぶということに対する認識、あるいは知識とは何であるかということの認識が、本来の学ぶ力、学力ではないかと思うのです。

評価がさかのぼってすべてを最適化するのか。

ところが「評価」というのは、その「評価方式」がきまった途端に人間の手から離れ、機械の論理に移る。それは「自動的」に識別されるしくみになり、「機械的に」処理されるしくみになっていく。

要素論ではなく、全体論を採らねばならないのか。

「ヤブ医者の誤診」
風邪の症状には「熱がある・体がだるい・頭が痛い」などがあるけれども、ヤブ医者はこれら一つ一つを単独に身につけさせようとする。

とすれば、評価を複数設定しておき、それが同時に達成されたときに、目標とするものができたとするのはどうか。

など、教授・学習研究の枠組みを問う課題設定がなされている。