パンツの面目 フンドシの沽券

この衝撃的なタイトルは、米原万里氏の著作。ちくま書房。

パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫)

パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫)

下着論、衣服論はあまたありますが、旧ソ連で幼少期を過ごした筆者の経験談が素材になっているところにこの本の抜群の面白さがあります。
人間の想像力がいかに自分の経験と周りの環境によって制限されているものなのか、またそれに無自覚であることにも気付かされます。
一番興味深く読んだのは羞恥心に関する章。
見られることそれ自体が恥ずかしいというよりも、恥じていないこと、つまり恥として自覚する文化教養がないことを恥ずかしいと感じていることの滑稽さを筆者が軽快に批判する様が小気味よい感じがします。
同じことを「場の倫理」という概念を使って論じた人もいましたが、日本人はとかく「こうしなければいけないから(でないと立派な人etcとは思われないから)」という理由で行動しがちだとは日ごろから肌感覚で感じることです。
特に社会的地位の高い人や経済的に恵まれた人種に多いことと思いますが、
それが往々にして人の気持ちを考えない身勝手な行為であるということを言ってやりたくなることもままあります。
そのような独善に陥らないよう、自分も精進したいと思います。