Semi-Detached Suburban Mr.James

Words & Music by Stephan and Carter.
(1966年発表)


(原題直訳 「郊外の二戸建て建売住宅付きのジェームズさん」)


Performed by Manfred Mann.


You can listen to their compilation album,
such as "Chapter Two: The Best of the Fontana Years".
推奨アルバム度 ☆☆☆☆☆

(マンフレッドマン




歌詞は、次のURLから
http://home.hetnet.nl/~kjoe65/LYRICS/1966/6611192111.html


名曲度 ☆



邦題 「ミスター・ジェームズの花嫁さん」 (マンフレッド・マン)









So you've finally named the day
そうか、とうとう決まったか、
When wedding-bells will chime
ウェディング・ベルが鳴るんだな
I was sorry to hear you say,
きみの口から聞かされたのはみじめだったよ
You're gonna be his not mine
ぼくじゃなくて、彼のものになるんだと
Do you think you will be happy,
きみは幸せになれると思ってるのかい
Giving up your friends
友達みんなと手を切ってまで
For your semi-detached suburban Mr.James ?
郊外の建売住宅つきのジェームズさんを手に入れて?




So you've finally got your man,
そうか、
ようやくきみのオトコを手に入れたんだな
I hope you won't regret it
きみが後悔しないように願ってるよ
He can't love you the way I can,
ぼくがしたみたいに
その男がきみを愛することはできないよ
So please don't you forget it
だから、
どうかそのことは忘れないでくれよな
So you think you will be happy,
そうか、
きみは幸せになれると思ってるんだ
Buttering the toast
Of your semi-detached suburban Mr.Most
郊外の建売住宅つきのその "最高" くんのトーストに
バターを塗ってあげたりすることで





I can see in the morning time,
午前中には目に浮かぶよ、
Washing clean, the weather's fine
しっかり洗濯するんだな、いい日和だよな
Hanging things upon the line,
あれこれと紐に吊るして
And as your love slips away, hey, hey
そうやってる間に
きみの愛がこぼれ落ちていくのが、
ヘイ、ヘイ、おれには見えてくるよ




So you've finally named the day
そうか、とうとう決まったか
When wedding-bells will chime
ウェディング・ベルの鳴るときが
I was sorry to hear you say,
きみから聞かされたのはみじめだったぜ
You're gonna be his not mine
きみがぼくのものじゃなくて
彼のものになるんだと
So you think you will be happy,
なるほど、きみは幸せになれると思ってるんだ
Taking doggie for a walk
With your semi-detached suburban Mr.James
きみの郊外建売住宅つきのジェームズさんと一緒に
犬の散歩をしたりして



Semi-detached suburban Mr.James
郊外の建売住宅つきのジェームズさん
Semi-detached suburban Mr.James
郊外の建売住宅つきのジェームズさん
So you've finally named the day
そうか、とうとう決まったんだ
So you've finally named the day
そうか、やっと決めたんだんだね
きみは。




Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞





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しかたなく(郊外の)「建売住宅」としたが、この「Semi-detached」とは、
イギリス特有の住宅様式で、早い話が、一戸建ての住宅用建物だが、その一戸建てが中央から左右対照に半分づつ仕切られていて、それぞれべつの入居者が入るようにできている。そして一戸建てなので当然、庭も裏庭もガレージのスペースなんかもあったりする。
いわば、赤の他人同士が居住する「二世帯住宅」ということです(より早い話が)。
(写真は次のURLから)
http://www.japanhomes.co.uk/images/gg/82longland.jpg


そして、これにはイギリス特有の旧弊な階級社会ならではの独特な記号的な意味があり、(とくにこの歌がヒットした1966年ごろにはそれはまだ)ミドル・クラス(それもミドル・ミドルクラス)を意味していた。

イギリスの階級社会について大雑把な説明をすると、まず王族、そして同じく世襲の貴族、これがいわゆる「アッパークラス」、上流階級である。

次にくる「ミドルクラス」は(上流階級と違って血ではなく職業(つまり社会の中での役割分担)によって)3つにわかれている。
まず、アッパーミドルクラス(医者、弁護士、学者・大学教授、建築家、銀行家、高級官僚などの高度な専門職)、
そしてミドル・ミドルクラス(下院議員、会社経営者、重役、農場主、ジャーナリスト、教師、中級公務員などの上級管理職)
そしてロウアー・ミドルクラス(下級公務員、教師、会社員、不動産業者、SEなど熟練を要する非筋肉労働の業種)

それからいわゆる「ワーキングクラス」と呼ばれる(各種の技師や運転手などを含む)筋肉労働各種で、それらは熟練(シェフとか職人とか)・汎熟練(農民とか漁師とかはここ)・非熟練(運送業、店員など)にわかれ、また非筋肉の知的業種や技術職でも見習いとか下働き的な被雇用者であれば、これらに類するものとなる。


とまあ、こういうつまらないことは書いていて面倒くさくいし小恥かしくてウンザリしてくるが、大雑把に言うとまあこうなるわけです。
(あくまでも個人的に見聞きした印象で言ってるんで、あんまり厳密に受け取られてもあるライン以上の責任は持てませんから、そこはあしからず足軽ですんで, footloose!)*1

で、建物自体は道路から少し奥まったところにあって手前に簡単な庭のようなスペース(そこが「テラス」なのだろう)があって低い柵みたいなものがあり、建物の裏側は一本向こうの平行した通りに建つ同様の長屋の裏側と面するかたちで双方に裏庭のようなスペースがある。

あと名前は何というのか知らないが、(おそらく「テラスハウス」ができる以前のものと思うが)「貧者のタウンハウス」みたいなかたちで通りに沿って建っている*22〜3階建てのものがあって、フロアーごとに入居者が違う「アパート」みたいなものも多い。そのうち、とくに簡単なキッチンがついた小さな部屋が一間だけのものを(ベッドにすわるしかないので)「ベッドシッター」(日本で言えば「四畳半」といった語の響きになる)というが、言うまでもなく、もっぱら若く貧しい単身者が住んでいる。


ということで、この歌「ミスター・ジェームズの花嫁さん」の原題にある「セミデタッチド・ハウス」は都市部にはなく、
通勤可能な郊外にあるわけですね。そして言葉の真の意味で本当の一戸建てである「デタッチド・ハウス」*3は、「家」というよりも、むしろ「館」で(そんなところに住むには使用人の1人や2人は必要になるのでしょうか)ミドル・クラスには手が出ないわけです。


ちなみにぼくはリヴァプールで(マイクロバスみたいなマージーサード市の観光バスに乗って)ビートルズのメンバー4人の生まれた家や育った家を見たことがあるけれども、幼いジョンがミミ伯母さんに引き取られて育った家がこの「セミタツチド・ハウス」でした。ハイ、写真、見せてくださーい。
http://newsimg.bbc.co.uk/media/images/39013000/jpg/_39013809_lennonshouse203.jpg

(「私有物件につき立入禁止」のプレートがありますね。いまはナショナル・トラストが買い上げたそうですが)

ハイ、これは当時のジョンくんですよ。

http://www.24hourmuseum.org.uk/content/images/2003_0552.JPG


ほかの3人の家は、ハイ、見せてくださーい、


ジョージの生まれた家です
http://www.purplearth.net/Europe2001/week2/photos/GeorgeHouse.jpg


いまお住まいの方が塗装をきれいにされて、レースのカーテンなどもつけて、ドアもそれなりに値の張りそうな新しいのを取り付けてますが、当時は、きっともっととってもみすぼらしく見えたのではないかと思います、いかにもワーキングクラスですね。



(以下、みなさん自由行動にします!)


どうせなら、家の説明、ビートルズとかでやればよかったかも。ジョン・レノンなんかは、その住まいの変遷の中でサニングデールとアスコットの近くの「ティッテンハースト」という城館に住んでしまわれるのですからネ。そこで「イマジン」書くわけですよ。♪財産なんかないと想像してごらん・・・・って、スゴイでしょ、(間違いなく)彼はイギリスの高尚なる空想的社会主義者の伝統に連なる人物だったようですね。

*1:しかし、最近では業種よりも収入がモノを言う現実のままに、マーガレット・サッチャー(の指導&先導&断行)による(かつての一大世界帝国の)大なる構造改革の達成という偉業以降は、こうした伝統的な区分けはミドル・ミドルクラスから下の方ではどんどん曖昧になってきているようで、単なる「自負心」の問題になってしまっているようだ。 たとえば都市部には、この歌に出て来るような「セミデタッチド・ハウス」はまず見当たらない。 都市部にあるのは、(それぞれ名前のついた)道路の両脇に城壁のように建ち並ぶ(あるいは広場や小さな庭園をぐるりと囲むように建つ)「タウンハウス」と呼ばれるもので、通りに沿って歩くごとにドアが並び、そのドア番号が通りの番地になっているわけだが、それぞれに「○○ハウス」などの名称があったりする。だいたい3階建てから(高くて)7階建てぐらいの建物だろうか、築120年なんてのはザラにある。こうした「タウンハウス」のドアの中が丸ごと一世帯であったり、フロアごとに入居者が違う「フラット」と呼ばれる(日本のマンションにあたる)ものがあり、前者はアッパー・ミドル、後者はミドル・ミドル、(また場所によっては)ロウアー・ミドルが住んでいる。とまあ、あくまでも図式ですけどネ。 ハイ、チョット写真、見せてくださいナ。ハイ、このURLですネ。 http://www.regentsuites.com/images_london/nottinghill2.jpg この「タウンハウス」には、どこもほとんど「ベーズメント」と呼ばれる(いわゆる)地下階があるが、これは日本の地下室のような密閉型の地下ではなく、道路より低く掘られた開放型の地下室で(むしろ「路下」とでも称すべきものが)ある そして、もうひとつやはり道路に沿ってずらりと低い壁のようにして建っているレンガ造りなどの2階建ての「テラスド・ハウス」がある。国や自治体が低所得者用に住宅政策として建てたものがほとんどで、ぶっちゃけ「長屋」なのだが(レンガや石作りで、しかも複数階なので)日本語の「長屋」と呼ぶには語感的に違和感があるが、それが指し示すところには間違いなく互換性がある。(日本でも実質=長屋のところも揶揄的にも滅多なことでは長屋と呼ばれず、ほとんどこの語は(落語や時代劇以外では)「廃語」になってしまっていますね((いずれ何かの折に書くことがあると思うが、わたしは「国民」という語も「廃語」にすべきだと考え、日頃から独りそれを実践していますので(ピンと来た方は)どうぞご一緒に!

*2:ひとつの長大な建物なので「建ち並んで」いるわけではない

*3:detach は「引き離す」という意味。周囲から離れたゆったりした土地に堂々と建っていてこその真の一戸建て、「デタッチド・ハウス」です