文藝春秋の新刊 2004・8 「青色の絵の具」©大高郁子

「絵の具」ってちょっとでも変なことばだなって、数十年使ってきて急に振られた絵具も困るだろうが。顔料ともいうのかな。
水彩絵具以外、使ったことない。油絵具やポスターカラーを使い、何か作品を仕上げたということもない。
油絵具って臭いんだって?いや、臭いのは絵具を溶かすナントカ油か。まあどちらにしろ、このさき絵具を使うこともないだろうな。PCで絵をかけるというのか、絵みたいなものができるとか、ほんのすこし興味があるけど…さあて。
この表紙についても、かつてのダイアリーで紹介したのだよ。1昨年のゴールデンウィークに。あれだけでも復活さそうか。当ダイアリーで初めて大高郁子コレクションを載せたページだったし。

文庫チラシコレクション  文春文庫2007年4月チラシの紹介

文春文庫4月の新刊
平岩弓枝 御宿かわせみ 32 十三歳の仲人
  画・蓬田やすひろ
平岩弓枝
十三歳の仲人 御宿かわせみ 32

片山恭一
雨の日のイルカたちは

車谷長吉
贋世捨人

高野和明
幽霊人命救助隊

乾くるみ
イニシエーション・ラブ

西村京太郎
紀州本線殺人事件

花村萬月
青い翅の夜 王国記 


中村彰彦
知恵伊豆に聞け

秋山香乃
歳三 往きてまた

高木徹
大仏破壊 ビンラディン9・11へのプレリュード

山本文緒
日々是作文

七戸満雄
めまいは治せる!

俵万智
愛する源氏物語

義家弘介
ヤンボコ 母校、北星余市を去るまで

酒井順子
先達の御意見
ジョルジョ・ファレッティ 中村文 村上圭輔=訳
僕は、殺す 上・下

文春文庫PLUS
野村順一
私の好きな色500
歴史時代小説フェア

「文春文庫」原作・原案の時代劇ドラマ 3作連続放映開始
「八州廻り 桑山十兵衛」 「柳生十兵衛七番勝負」 「よろずや平四郎活人剣

乾くるみ 「イニシエーション・ラブ」読了

石丸さんというすてきな悪女が副主人公で出てくるという、そのことだけでも魅力的なドラマでした。小林信彦の唐獅子にカップリングされた短編「ジェリーズ(英語スペルがタイトルだったかも)」の主人公が石丸だったな。あれはモービーディックのイシマニエルのモジリだったか。
ほかにも石丸という姓のキャラ、小説で見かけたような記憶はあるような気がするが覚えていないものだな。つかこうへいのエッセイには石丸謙二郎が出てくるけどね。
石丸さんは魅力的な都会の女性で、田舎出の一人称主人公を誘惑・征服するまあ敵役なんだ。彼女に夢中の主人公も、きっとこの先遠からず彼女に飽きられ振られそうで可哀想ではあるけど、小説全体を読んでしまえば、主人公に同情もできないか。
トリックに関してはちょっとなんともいえませんね。トリックじゃないんだし。とはいえカバー裏に記された「必ず2回読みたくなる」という惹句は、処女(童貞)喪失シーンだけということになるわけだし、まあもちろん、そういう意味ではキャッチフレーズに「間違いはなかったなあ」ということになるでしょうか。

乾くるみという作家

昨年夏、光文社文庫「林真紅郎と五つの謎」を購入した。残念ながら最初の1作を読んだまま放り出す。
謎解き至上主義のミステリー作家がはまりやすい陥穽というのか、シェチュエィションや設定があまりに安易だったりで作品にのめりこめなかった。わざわざ<助けに行くぜ!ジュリエット>の歌詞まで載せたステージ描写なんだが、臨場感がちっとも伝わらず。
(たぶん熱気あふれた)舞台の余韻の残るホールで起こった事件の現場なのに、温度も振動も耳鳴りも、集まった女の子たちの汗の匂いも、なーんにも感じなかった。
だからってトリックだけの作品が嫌いだとはいわないよ。やっぱりティストなんだな。