TVアニメ『魔法少女リリカルなのは』(無印)を振り返って −ふたりの少女の逸脱と出会いと救済の物語−


リメイク劇場版の公開が迫ってきたので、改めて、TVアニメ『魔法少女リリカルなのは』シリーズの第一期(いわゆる「無印」)を振り返っておこうと思う。


無印なのはは、ライバル役のヒロインであるフェイト・テスタロッサが、救済される物語であるが、それと同時に、主人公の高町なのはが救済される物語でもあった。

よくある”魔法少女モノ”として始まった第一話は、冒頭、高町なのはによる次の衝撃的なモノローグにより、ただならぬ緊張感を持った物語としてスタートする。

なのは「愛されている自覚は、とってもありますが、この一家の中では、なのはは、もしかして、微妙に浮いてるかもしれません」


家族からも疎外感を感じていた、高町なのはは、”魔法の力”=”常人を逸した力”を手に入れた後、急速に様々な関係性からの逸脱を始める。

 それは、「家族」であり、学校の「友達」であり、魔法の力を手に入れるきっかけとなった「パートナー」であり、最終的には「セカイ」そのものからも離脱するに至る。


そして、そんな高町なのはを救ったのは、同じように疎外感を抱え、セカイから逸脱し、”常人を逸した力”を持ったフェイト・テスタロッサとの出会いであった。
自身と同等の存在と対峙し、お互いの存在を許容することで、はじめてふたりは救済されたのである。


最終話。高町なのはは、日常に帰還し、次のようなモノローグを語る。

なのは「そして、戻ってくる私の日常。今まで通りだけど。いろんなことがあった分。今までと少しだけ違う日常」


無印なのはは、シリーズの中で、物語的な強度が一番高い作品だと思う。
今回のリメイク劇場版で、どのような「映画」になっているのか。
非常に楽しみである。