宮台真司氏×内藤朝雄氏トークセッション「精神的売春を強いる社会」参加

池袋のジュンク堂で開催された宮台真司氏と内藤朝雄氏のトークセッション「精神的売春を強いる社会」に参加して参りました。内藤氏を盛り上げる会*1主催(?)。司会は双風舎の谷川さんで、双風舎から来年内藤朝雄さんの著作が刊行される予定らしいです。
池袋ジュンク堂は喫茶店トーク会場になるのですが、僕が案内された席はトークされるお二人の超近くでその隣に座った谷川さんのド真ん前でした。会場が喫茶店ジュンク堂ではよくあることではありますが。


※要注:以下のものは私が見聞きしてきたことを書き留めたものであり、発言者の真意を正確に反映しているとは限りません。


いじめの社会理論―その生態学的秩序の生成と解体トークは、内藤氏が考えている社会を実現させるためには、前提としてどのようなことを考えなければならないかということが論じられたと思います。
タイトルにある「精神的売春」とは効果をねらったレトリックであり、これまで問題と認識されておらずむしろ大人として身につける・耐えるべきこととして認識されていたようなこと(内側から自分を変えられてしまうようなみじめさ)を問題化されようとしているとのこと。例えば権利意識や人権意識が昔より向上していると言われますが、それは社会の主体が脆弱になったがゆえに保護されるべきものとして現れた(逆に言えば主体が強ければ問題とならない)という考え方ではなく、むしろ社会の問題として受け止めるべき期待水準が上昇し、尊厳の水準が向上した(近代社会の理念が浸透した)と考えられます。これまでは「世間で苦労して当たり前」と多くの人が自明と思っていたことの中で、抑圧的な問題がある点を指摘していくような仕事を内藤氏はなされているのだと思います。
内藤氏のお仕事を進めていく上で前提として考えておくべきことを宮台氏が提示していました。

  • 近代成熟期になりコミュニケーション結果の外部帰属化ができなくなり結果は自己帰属化。不安・不満・鬱屈・抑鬱の要因に。
  • 差別の標的が外部ではなくコミュニケーションで決まってしまうので過剰同調傾向が強化。
  • 各個人間で何を「現実」とし得るか、コミット可能な対象とし得るかという分岐が拡大。
  • 人格障害・後遺障害のように病気でないが何の共通前提もない存在も登場。
  • 後発近代化国が利用した近代化にともなう生活世界の空洞化に対処するための崇高なる共同体という虚構による手当は現代では失効。
  • アメリカではアソシエーショニズムによる「ルール」や宗教的信仰における「神」が代替。
  • ヨーロッパでは再帰的代替物(典型家族から変形家族、同姓婚・シングルマザーなどの公的支援)を構築。
  • 日本ではほぼ放置。他者の前提が不透明な社会では、ノリを共有するための同調圧力が発生。

内藤氏や宮台氏が挙げられている問題の(長期的な)解決方法として「生態学的設計主義」の重要性を説かれていました。
「このような感情を持て」「道徳的になれ」というような「ある価値観に合意せよ」という言説は現代においては解決策としては無効であるばかり抑圧にすらなりえます。それよりも再帰的に生活世界の空洞化を埋めることで、社会に多元的な価値を内包しつつも感受性の幅がある偏差に収まる(=前提を当てに出来る)人間が育つように「生態学的な設計」をすべきだと。
印象深かったのは、宮台氏が援助交際の女子高生を調査されていたときに女子高生言葉というジャーゴンを使用するのは共通前提を当てに出来ない場所でありそこで同じノリを維持するために表層的な反復を繰り返す過剰同調が生じるということから、こらからの社会を考えていくときに「コミュニケーションを通じて何かをするという期待値を下げること」「アーキテクチャを通じたコミュニケーションを活性化・編成すること」が重要であると仰っていました。
現在の日本を多い尽くしていると思われるコミュニケーションで達成すべきことの期待値の高さ、コミュニケーション・スキル信仰、「○○力」の氾濫はまさに共通前提が崩壊しているがゆえの不安であり、同調すべき指標・対象として現れてくるものであると思います。だから長期的な解決策ではあってもアーキテクチャの設計を通じて(多元的であるが脱社会的ではない)共通前提が当てにできるように、人々が不安でオタオタしなくてすむようにしていくべきだという論理には非常に納得できました。


※要注:以上のものは私が見聞きしてきたことを書き留めたものであり、発言者の真意を正確に反映しているとは限りません。

M2:思考のロバストネストーク終了後にイベント会場で宮台真司氏×宮崎哲弥氏の『M2:思考のロバストネス』を販売していたので購入。サイン会場には藤井誠二氏も来られていて、その場で『学校が自由になる日』を購入した方は著者のお三方のサインをもらっていました。これは相当レアかと。で、僕も書籍を購入したので宮台さんにサインをもらったのですが、その時に『いつもありがとうございます』と宮台さんに言われました。営業トークに自意識過剰なだけかもしれませんがw、宮台さんはトーク会場の観客の顔まで憶えられているのでしょうか。まあ確かに僕も何度もサインをいただいておりますが・・・。ちょっと感激でした。そのあとleleleさんこと谷川さんにひとこと今回の件*2でご挨拶。申し訳ない気持ちでいっぱいだったので直接ご挨拶できてよかったです。

今年もたくさんのトークイベントに参りましたが今日が締めです。来年も興味のままにがんばります。

小型マウス購入

そこそこ高かったので奮発して買ったマイクロソフトの光学式ワイヤレスマウスが使用2年強で右クリックが完全に壊れたようなので、代替マウスを買いに行ってきました。いろいろあって悩んだのですが、ノートパソコン用の8.5cmサイズのミニマウスを購入しました。買うときは小さいかなと思いましたが、実際使ってみるととてもよいです。ちなみにワイヤレスではないもののコードが伸縮可能型。