同義専門用語:パーソナリティ障害
精神科の領域で精神病(鬱病、統合失調症など)、脳器質障害(てんかん、痴呆など)や神経症、不安障害(パニック障害、全般性不安障害など)、ストレス障害(PTSD、急性ストレス反応など)などではなく、本人の持つ性格そのものに起因する障害(Personal Disorder)。生まれ育った環境やストレスなどが人格障害の大きな原因と言われているが定かではない。むろん精神病や神経症などを引き起こしやすい病質とも言える。
DSMによる英語明記では「Personality Disorder」であり、2003年8月発刊の「DSM-IV-TR 新訂版」では、「精神分裂病」が「統合失調症」に訳変更された際に「パーソナリティ障害」と変更されている。
ただし、日本精神神経学会では従来のままであり注意を要するが、公に「パーソナリティ障害」という用語を使用する機会が増えた事は前進である。
DSM-IV-TR[邦訳2002年、2003年]による「人格障害(パーソナリティ障害)」の項目は、大きく、クラスターA(A群パーソナリティ障害(Cluster A Personality Disorder)、クラスターB(B群パーソナリティ障害(Cluster B Personality Disorder))、クラスターC(C群パーソナリティ障害(Cluster C Personality Disorder)に分類される。また、思春期以前は、人格がまだ固まっていないために人格障害(パーソナリティ障害)とは容易に診断しない。(反社会性人格障害や境界性人格障害に相当するものは行為障害と診断される事が多い)
以下に、DSM-IV-TRの「人格障害(パーソナリティ障害)」の項目の診断名を挙げる。「かっこ」の中は、邦訳の最新版「DSM-IV-TR 新訂版[2003年]」の診断名である。
遺伝的に分裂病気質を持っていることが多く、自閉的で妄想を持ちやすく、奇妙で風変わりな傾向があり、対人関係がうまくいかないことがある。
ストレスが重大に関係することは少ないが、対人関係のストレスには影響を受ける。
感情的で混乱の激しい人格障害。演劇的で、情緒的で、うつり気に見えることが多い。ストレスへの脆弱的傾向がある。
不安や恐怖感が非常に強い人格障害。まわりに対する評価や視線などが常に気になり、それがストレスになる。
診断例)「診断的には境界パーソナリティ構造(O.カーンバーグの境界例概念)の基準は満たすが、境界性パーソナリティ障害の基準を満たすまでには至っていない。」
補足説明・2005/4/29:本解説に対して「DSM-IV-TR 新訂版[邦訳2003年]」で改訂された内容を最低限度のレベルでフィードバックした。
また、「特定不能のパーソナリティ障害」の欠如を補完した。診断例では「境界例概念」と「境界性パーソナリティ障害」の相違による、実際に大野裕M.D.(慶応大学病院精神神経科医師)が心理検査施行に関わった症例を提示した。記載には診断を受けた当人の了承済みである。
問題点としては、ある特定の観点から特定の珍しいパーソナリティーを類型化し、障害として位置づけることである。差別のひとつでもある。