湿に関するメモ

湿タイプ


これは身体の中に湿気がたまっている状態だと思ってください。
むくみやコリ、重だるさを感じます。
そこに冷えが入ると、ただ冷える時より痛みがきつくなります。
舌の苔は霧や雲と同じです。
朝起床時に舌苔が日中より多いのは、空の朝曇りと同じで薄ければ正常ですが、
つねにべったりとして剥がれないのは体が梅雨時状態なのです。

湿を増やす要因を下に挙げます。
・甘いものや炭水化物の食べすぎ。砂糖、パン、麺類、ご飯の順にたまりやすい。
・間食が多い。お腹が減ってないのに喰ってしまうという意味です。
・アルコール、油脂、乳製品のとり過ぎ。
・運動不足(発汗の不足)または長すぎる昼寝。
・換気の悪い部屋に長時間いすわる。

要は食べすぎ飲みすぎが主な原因ですね。
湿がもとになる病は日本人に特に多いものです。
肩こりなどもその例がかなりあります。


 

寒湿タイプ


女性によく見られます。
特に中年期から高齢者の方に見られる膝の痛みは、多くがこれです。
しばしば浮腫(むくみ)をともないますね。
そんな方に雨の日曇りの日だけは、甘いものを控えるようにさせると、
症状がマシになったといわれることが多々あります。
他にも肩こり、腰痛、頭痛、五十肩、便秘、下痢などさまざまな症状がでます。

対処法
当たり前のことですが、食べる量を減らして運動量を増やす。
それが最善策です。
特に膝や足首などの痛みは、2,3kg体重が変わるだけで変化しますから。
でもこれがなかなかできないんですよねえ。
運動するにも痛かったら出来ないこともあるし。

でも乳製品だけは控えた方が賢明でしょう。
骨のことを気にして牛乳を無理して飲んでいる方も多いと思いますが、
海外では「牛乳が骨を強くする」という説に最近は疑問の声があがっています。
(なぜか日本では医者もマスコミもその記事を紹介したがりませんが)
少なくともこの体質の人だけは、
牛乳や乳製品より肉、小魚、海草、切干大根、納豆などを食べて骨を作ることをお勧めいたします。

その他の対策
1.酸っぱいものを食べる。
・酢ー米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーなど。
買う前に原材料のシールを確かめてください。
そこにアルコールが入っているものは避けたほうがいいでしょう。

・かんきつ類ーゆず、すだち、かぼす、レモンなど。

注意点 
日本では酸味はなま物にあえて摂ることが多いですね。
しかし生の野菜、果物は湿を増やしてしまいます。
湿熱タイプの方はともかく、寒湿タイプの方は加熱調理をしてください。

熱帯性の果物は身体を冷やすようにできています。
少なくとも冬は食べない方がいいです。

かんきつ類でも、冬にコタツに入って食べる一般的にいう「みかん」は効果がありません。
むしろ冬にあれを食べ過ぎて体を冷やしている方も多いようです。
鼻水や痰は湿が元になっているのですが、
「みかん」はこれを増やす恐れがあるとも言われています。
逆に言うと風邪でものどがからからになったり、
腫れて痛んだりしている人には「みかん」もいいわけです。 

2.適当に香辛料を摂る。
一時期激辛ダイエットなるものがはやりました。
冷えた湿を抱えた人には有効だったかもしれません。
ただし胃腸が丈夫だったらの話です。
日本人は唐辛子などを子供の時から毎日つかう習慣も伝統もありませんので、
いきなり大量に辛味を得るべきではありません。

手軽なものでもっとも向いているのは生姜です。
これはお腹の中から暖める作用があります。
煮ものを中心にして、いろんな料理にアクセントとして楽しんでください。

3.苦いものを食べる。
・茶ー日本茶、紅茶、中国茶。要するに椿科の茶。はと麦茶、高麗(朝鮮)人参茶。
・菜っ葉類、ピーマン、セロリ、パセリ、ブロッコリー.
・根菜類(大根、にんじん、ごぼう)など。

注意点 
野菜は生ではなく加熱したものがよいでしょう。
お茶は飲みすぎに注意。
またコーヒーは元来乾燥地帯にできるものなので、
摂取する側にとっては身体を湿らす傾向を持ちます。
お茶の代わりにはなりません。

4.小豆粥(あずきがゆ)を食べる。
小豆は湿を取り除くのに一番手軽で適した方法です。
また冷えるタイプの人にも、熱を持ちやすいタイプの人にも安心して使えます。
ただし砂糖の入ったものでは意味がありません。
赤飯はもち米なのであまりふさわしくありません。
おかゆが一番有効かつ手軽でおいしいです。

注意点 
通常あずきは「ゆでこぼし」をして、灰汁を取り去ってから使います。
しかしあまり丁寧に灰汁を取ってしまうと、
肝心の湿をとる効果もなくなってしまいます。
ほのかな苦味を残して、塩を少し足すのがおすすめです。
(私個人の体験では、一茹でするだけで「こぼし」をせずに炊き、
出来上がってから上澄みの汁を少し捨てて塩を足すというのが、
一番効果がありました。
あくまで私の体でのはなしです。
おなかの弱い人は真似しないでください。)

5.歌を歌いよく笑う。
言うまでもなく、これはどの体質でもいいことに決まっています。
ただこの場合は歌う、笑う時の呼吸法が吐く息を多くするという意味を含んでいます。
息を吐くことも重要な排泄の一つですので。



湿熱タイプ
 

この場合の湿は水分というより、ちょっとエネルギーを含んだものになります。体の中で余った熱が外へ放出されずにくすぶっている状態です。男性に多く「脂ぎった」印象を与えるもとです。

水をよく飲みたがるタイプと、飲むのを嫌がるタイプがあります。前者は熱が高く広がった状態で、摂取エネルギーを減らせば、水を飲むことで利尿効果が高まり軽快することもあります。後者は湿熱と冷えを同時に抱えている方に多いようです。治療に長期間を要します。いずれも胃炎、皮膚疾患、便秘、下痢などに気をつけます。

対処法
基本的には湿をためないようにすること、余分な熱量を上げないようにすることです。糖質、脂質、アルコールを減らすに越したことはありません。あとは寒湿タイプの対処法から、温める要素を減らした形になります。

1.香辛料は発汗を促すためか、湿熱タイプでも欲しがる人が多いようです。体が要求しているととることもできそうですが、実際の効果は今ひとつだと思います。先に言った水を欲しがるタイプだと、辛いものを食べると必要以上にまた水を飲んで湿のもとを作ります。水を飲めない人は香辛料も欲しがらないようです。
 
2.酸、苦味は多めに。少しはなま物も大丈夫。
とはいってもこれは野菜や果物の話です。また熱帯性の果物でも少しなら効果があります。最近は沖縄産のシークワーサーなどよく売ってますが、試す価値があるかもしれません。

3、はと麦を食べる。はと麦は身体を涼めて湿を取り去る効果があります。これもおかゆや茶で摂ればいいでしょう。小豆と一緒に炊いてもいいでしょう。