HAPTICな絵本『もこもこもこ』<育児の現場から>
絵本『もこもこもこ』をご存知ですか?
子育て中の人には、この絵本のファンも多いのではないでしょうか?
この絵本は、元永定正さんの鮮烈な色彩と触覚を刺激する図形で描かれ、谷川俊太郎さんのやはり触覚を刺激する擬音とリズミカルな音の繰り返しで綴られています。
2004年に原研哉さんが中心となって開催されたHAPTIC展では、「五感の覚醒」をテーマに様々な、触覚的なアート作品またはプロダクトが提示されました。
テクノロジーが円熟期にある現代だからこそ、テクノロジーが牽引する“テクノロジー・ドリブン”ではなく、“センス・ドリブン”の視点から生み出されるデザインがあるのではないか、という問題提起とある種の回答がそこにはありました。
話を絵本に戻しますね。
この『もこもこもこ』は、1977年に発刊され、絵本という媒体で、絵画と言葉で構成されています。
しかし、そこに展開する「触覚を喜ばせる」HAPTICな世界は、2013年に手にしても、刺激的な一冊です。
物語は何もない地平線からはじまります。
そして、『もこ』と地面が隆起します。
『もこもこもこ』『にょきにょき』
絵は動くことはありませんが、そこにある図形とそこで発せられる言葉によって、小さく突き出した隆起はみるみる膨らんでいろいろな動きをみせてくれます。
そして、この絵本は何といってもこどもの反応がとても良かったです。
こどもは繰り返しのある言葉を好むと言われていますが、まさに繰り返しのある擬音が使われているからというのも、ひとつ大きなポイントだと思います。
こどもが産まれる前から、何度か薦められることのあった『もこもこもこ』
それも納得の一冊です。
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