杭州/黄山/宏村、西逓/の旅③の1

liyuan2006-10-05



朝、5時半出発。
朝食は、お弁当にしてもらって前夜に受け取った。


まだ外は真っ暗。強風が吹きすさぶ夜明け前…。
相当寒いだろうと思い、ありったけの服を着込んだら、思ったよりは寒くなかった…。


日の出のポイントまで20分ほど歩くという。
ホテルを出ると、登りの階段がそびえ立つ…。
3泊分の荷物を背中に背負い、登りはじめるが、とたんに息が上がる。
身体の動きは緩慢…。
心臓だけが、バクバクとフル回転している感じだ。
起きぬけの身体に、いきなり100mダッシュをさせられてる感じと言えば、わかっていただけるだろうか?


しだいに空が明るくなってくる。
日の出のポイントに到着するまでに間に合うだろうか?
途中で、北海賓館というホテルの前を通過。私たちが泊まったホテルは西海賓館。
この間の山道がとてもキツかった…。そして、この北海賓館から、日の出スポットまで、はわずか5分ほど。
もし万が一もう一度黄山に来て、ご来光を観なければいけないことがあったら、絶対に北海賓館に泊まるぞ!と強く心に誓った(笑)


日の出ポイントに到着したら、すでにたくさんの観光客がスタンバイ。
足の踏み場もないほどだ。岩の上までよじ登っている。
まるで、サル山状態…。
ベストポジションはすでに人の海。
私たちは仕方なく、人の肩越しに見ることに。
ご来光がなかなかでてこないので、思わずサル山…じゃなかった…、日の出を待つ人々を激写!!!それがこちら↓↓↓

「岩に張り付いている人々」


それにしても日の出予定時刻をかなり過ぎても、ご来光は拝めない。
諦めて帰る人も続出。
その間に、2度ほど「出来了〜!!(出て来た!)」という叫び声に、その場は騒然。
カメラのフラッシュがあちらこちらで光るけど、しゃがんだり飛び上がったりしてみても、どこにも見えてない。
なんと…2度ともガセネタだった_| ̄|○

「ガセネタにいっせいにカメラを構えた人々」



待ちくたびれて、帰ろうか…なんて話していた時に、再び「出来了〜!!!」という叫び声が。
まただよ。
いい加減にしてくれよ!と思っていたら、どうやら今度は本当らしい。
木々の隙間から覗くと、ようやく真っ赤にほほを染めた朝日が岩山の陰から恥ずかしそうに顔を出していた。
遅くなってごめんよぉ。ちょっと寝坊しちゃってさぁ…。そんな声が聞こえてきそうな感じ。


私たちは、人の隙間を縫って、写真が撮れるポジションに移動。
山水画のような風景を、生まれたての太陽のやわらかい光が包み込んで、
息を呑むほど美しい景色だった。
前日の夕景が見れなかっただけに、本当に感激。


人々が、引き上げた後も私たちは、興奮気味に場所を変えながらシャッターを押し、
Hちゃんが地図を見てどうしても見たい!と前日から騒いでいた「猪八戒がスイカを食らう」ように見える岩も見ることが出来て、大満足。


北海賓館の喫茶店で、暖かいカプチーノを飲みながら、朝食のお弁当を頂く。
こんな山奥で、カプチーノがのめるなんて、感激しきり。
お弁当は全然美味しくなかったので、持参していたカステラ(日本からのお土産)を朝食代わりにした。


予定より少し早いけど、とりあえず山を降りることに。
黄山にいる間、ずっと私のせいでHちゃんに迷惑をかけないように…と緊張していたので、山を降りたときは心底ホッとする。
怪我したり、体力なくて、辛くて登れない…なんてことになったら、どうしようと内心不安だったのだ。

杭州/黄山/宏村、西逓/の旅③の2


黄山から、車で今度は世界遺産の「安徽南部の古村落・宏村」へ。
今回の私のメインは、安徽省南部、黟県(いけん)にある宏村と西逓(せいてい)を観光することだった。
人々が今もそこで暮らす息遣いが聞こえる古い村に行くのは、実にワクワクする。


黄山から1時間半ほど走って、まず宏村に到着。
国慶節期間中ということで、駐車場もほぼ満車状態。


入場料が80元もする。故宮より高いじゃん…。
白壁の建物が見えてきた。村の入口の前には、大きな池がある。


宏村は、明清代の古い民居が残る村で、「牛形村落」といわれる牛の形をしている村なのだそうだ。
村の後方にそびえる雷崗山を牛の頭、村の入口にある2本の大木を牛の角、村の中に張り巡らされているよう水路は牛の腸、村の中心にある池は牛の胃袋、南側の大きな池は牛の腹部、4本の橋は、牛の足に見立てており、一頭の牛が、美しい田園風景の中で静かに伏せているようにみえるのだそうだ。
池には蓮がたくさん生えていて、蓮が咲いてる時期だったら、きっともっと美しかっただろうなぁと思いをめぐらす。


白壁の美しい村は、中国国内から来ている観光客で埋め尽くされ、なかなか写真もとれないほどだ。


そして、メインストリートに面した家は、ほぼ全て土産物屋を営んでおり、これは仕方ないことだけど、やはり幻滅してしまった。
平遥でも、麗江でも、鳳凰古城でもすべて同じ現象が見られた。
我々が、土足で踏み込んで、慎ましくも穏やかに暮らしてきた彼らの生活を変えてしまったんだと思うと、心苦しくなる。


ガイドさんが効率よく見所に案内してくれる。
村の中心部の池、月塘は、白壁が池に映ってとても美しかった。写生している学生もたくさんいた。



1時間ほど観光して、宏村の観光は終了。
もっとゆっくりのんびりと写真を撮りながら、村の中を歩いてみたかったが、今日は夕方までに杭州に移動しなければならないので、スケジュールが押している。
後ろ髪を引かれる思いで、村を後にした。
詳しくは下記の黄山旅遊網というHPに紹介されています。
http://www.uhuangshan.com/japanese/hongcun.htm


そこから30分ほどで、「西逓(せいてい)」に到着。
西逓は胡氏一族の村で、約950年の歴史がある。
今でも村人のほとんどが胡という姓なのだそうだ。
明清代の民居が300棟以上残っており、建築の専門家には、「世界で最も美しい村」「世界で最も完璧に保存されている古い民家建築群」と言われているようだ。


村の入口に、大きな石牌坊(鳥居のようなもの)がそびえ立つ。明の万暦6年(1578年)のに建てられ、朝廷の役人だった胡文光という人の功績をたたえるためのものらしい。
昔は、たくさんこのような牌坊が建てられたようだが、この胡文光牌坊はそれらを代表するものの1つなのだそうだ。


西逓は商人が多く、裕福な村なのだそうだ。
それを象徴するかのように、村内のそれぞれの家は白く高い外壁に覆われ窓が少なく、扉も大きくて重く頑丈に出来ている。
これは、男は商売に出て家を留守にすることが多く、家の中には女子供しか残らないために、防犯のためなのだそうだ。
白壁に、灰色の屋根、そして灰色のレンガの透かし彫りや、木彫りのレリーフ
どこを撮っても絵になる風景だ。


「たわわに実った柿と白壁」


しかし、ここももれなく観光客が大挙して押し寄せており、かなり観光地化されていた。
人のいない風景を撮るのが一苦労だ。


高い外壁を一歩中に入ると、家がコの字型に建てられていて、天井が開いている。
これは、防犯のために窓をあまり作らなかったので、光を取り入れるという意味もあるらしい。また、風水上では、雨は冨と考えるらしく、降ってきた冨を逃がさないようにと家の中に水を貯める仕組みになっている。



玄関は行って正面には、客間がある。
ここには、必ず時計と花瓶と鏡が置かれている。
時計の音=鐘声/花瓶=瓶/鏡=鏡
『 鐘声瓶鏡=終生平静 (生涯安泰、一生平静というような意味)』
という意味があるそうだ。中国の人は、同じ音や似た発音の言葉を、別の意味になぞらえて表現するのが好きなようだ。
代表的なものだと、正月に飾る逆さにした福の字。これは到福(福が来る)と倒福(福をひっくり返す)をかけてるっていうのはあまりにも有名な話。


また、2階の窓際には「美人靠」とよばれるベンチのようなものがあり、ここに女性がよりかかり刺繍をしたりしていたのだそうだ。昔は、女性はむやみやたらに外出できなかったので、ここから空を眺めていたのかもしれない。


西逓では、猫を数匹見かけた。
実家に猫がいるので、ついつい猫を見ると目尻がさがってしまう。
植木鉢の上でお昼寝中のところを、小さな女の子にちょっかいを出されていた。
尻尾を引っ張られても、背中にキスされても動じない。
あまりにも動かないので、死んでるのかと思ったほど。
女の子は、かなり執拗にいじくりまわしていたが、この猫は結局一回だけ体勢を変えただけで、あとは目も開けずに昼寝をむさぼっていた。



「今回の旅のベストショット」


1時間ほどで、観光終了。
昼食をはさみ、屯渓市内の老街と程氏三宅を観光。


老街は、丁度昼休みの時間に重なり、人影が少なく静かな感じがした。


1階は店舗、2階が住居の地方の大きな商店街と考えていただければ、雰囲気が伝わるだろう。
このあたりの特産は、お茶、筆、紙、硯、漢方薬らしい。雰囲気のある立派な薬局があったので、こっそり写真を撮ろうと思ったら、間違ってフラッシュをたいてしまい、焦った!!!


程氏三宅は、明代に建てられた豪商の邸宅。
そろばんで有名な人らしいが、詳しいことはよくわからなかった。
寂れた路地を進んでいくと、ポツンと建っていた。
宏村も西逓も観光客でごった返していたが、ここは一人もいない。
とても静かでゆったりと見学できたが、家の作り等は西逓・宏村とほぼ一緒。
中国語で説明員の人が中国語で説明してくれた。
2階にも上がることが出来たが、見学は10分足らずで終了…思ったよりあっけない。
家の造りもほぼ西逓・宏村で見たのと同じなのでここは特に見学する必要はないかも…(>_<)


ガイドさんとはここでお別れ。
私たちが乗った車は一路杭州に向かう。
昨日は、夜の移動だったので景色が全然見えないけれど、
今日はまだ明るいので、車窓を流れる農村風景が美しい。


杭州に近づくにつれ、3階建てくらいの立派な家が目に付くようになってきた。
初日から不思議だったのだ。
なぜこんなに立派な家が多いのか。このあたりの農民は裕福だとは聞いているが、洋風の建物が建ち並んでいる。


三角屋上だったり、洋風の東屋があったり、バルコニーがあったり、2階にある玄関の前には、真っ白な螺旋の階段があったり。壁材はおしゃれな赤レンガ風(というか元々レンガ造りなので、その上にレンガ風の壁材をつける意味がよくわからんが(笑))だったり、なんだか日本の高速の出口の近くによくあるホテルのような建物が…。
出来れば家の中を一度みて見たいという興味をそそられる建物だった。


杭州到着後は、新天地の近くにある広東料理店で、仕事でお世話になっているL部長とお食事。
ドライバーのヨウさんと、杭州のガイドさん、今回の旅の手配をしてくれた葉さんも一緒だ。
L部長が広東出身ということで、杭州一美味しい広東料理の店に案内してくれた。
地元の人が行列を作るほどの人気店。アサリ炒めが絶品だった。


食後は、L部長に新天地を案内していただく。
Hちゃんはここでぱんだのぬいぐるみを購入。
私は、チャイナ服を着たテディベアに心を奪われたが、思ったより高かったために断念。
中国ではなかなか売っていない杜仲茶をゲットしました。