アウトレイジ

 なぜ日本人はヤクザに扮している時だけしかリアルに見えないのかというのは謎だが、ここまで悪人ばかりだとさすがにそのリアルさが消滅してしまうようだ。リアルではないがとにかく一種の迫力はある。海上保安庁職員などはこの映画を見れば少しはウサが晴れるかも知れない。続編もカンヌ映画祭に出品される由だが、海の向うの観客は一連の日本の弱腰外交とこの映画の中の日本人とのギャップに目を回しはしないか。戦後のヒューマンなハリウッド映画とアメリカが実際にやって来たこととのギャップに目が回ってしまうように。

2010年 日本 北野武