「本の雑誌」(本の雑誌社)の経営危機について

 以下のブックマーク・コメントから。
はてなブックマーク - 本を一冊出したらどれくらいの金が動くかを他の業界(不動産業界)で考えてみる - 愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記

fujipon 『本の雑誌』の経営危機も、こういう「雑誌の衰退」の影響なのかな。

 ということで、一番新しい『本の雑誌』2009年1月号を見たら、発行人(浜本茂氏)のことばにこのようなものがありました。

 今月のお話で編集長(椎名誠氏)が書いているとおり、2008年になって当社の経営財務状態は急激に悪化した。それもサブプライムだのリーマンだのと言われだした時期に一気に悪くなったもので、おお、わが社は世界経済とリンクしていたのか、さすがワールドワイドな雑誌だのお。などと束の間は笑っていたのだが、もちろん笑っている場合ではなく、気がついたら存亡の危機に陥っていたのである。結果的に、人件費を始め、さらなる歳出削減を進めた上で、いましばらく這いつくばってみよう、ということになったが、本誌を取り巻く状況が楽観的ではないことは、お伝えしておかなければならないだろう。それはひとえにわたしの責任だが、今後、定価の改定等、読者のみなさんにもご負担をいただくことになるかもしれません。この雑誌を読んでしまったのが運の尽きと、継続的な刊行に力を貸してもらえるとうれしいです。(後略)

 その、椎名編集長の言葉はこんな感じ。「もしかすると…と聞いて(今月のお話)」より最後の部分。

 2008年になって『本の雑誌』の経営が急に悪化し、このままでは「休刊」に追い込まれるかもしれない、と現経営者に聞き、これはいかん、と思い、ぼくはもう何年も前から実質的な編集現場から離れていたが、なんとか立ち直る方向でみんなと頑張ることにした。今回いきなり自分の編集長の系譜を書いたのは、これが最後の「今月のお話」になるかも知れないから、と言われたからだが、これを書いている途中で(締切前日に)まだもう少し這いつくばってでも出していこう、というスタッフみんなの決意になった。地方の講演などに行くと、むかし『本の雑誌』読んでました、などと言う人とよく会うけれど空前の危機を迎えてしまったのでぜひまた『本の雑誌』を読むようにしてほしい。

本の雑誌』についてあまりしらない人は、ウェブページでも。
WEB本の雑誌
本の雑誌社 - Wikipedia
 ウィキペディアで見たら、1976年から続いている(いつから月刊になったのかは知らないけど)A5判の雑誌です。ダ・カーポとか正論とかと同じ判型。本に関する話とか新刊書評(案内)が出ていてなかなか便利なんだけど、取次を通して流通していないのかな、置いてある書店にしかないのが不便なのでした。
 昔はこの手のミニコミ系雑誌ってけっこう出ていたと思うのですが、そういうのの数少ない生き残り。最近は読者投稿などを見ていると高齢化が目立ってましたが、そんなに経営が、急激に悪くなっていたとはしらなかった。まぁ、また昔のように隔月刊とか不定期刊とかにすればいいんじゃないの、とハタからは思ってしまうんですが、そうもいかないんだろうなぁ。寂しいことです。しばらく寂しい話が続くことです。
 

『談志映画噺』『まんがと生きて』『ヤングハズバンド伝 激動の中央アジアを駆け抜けた探検家』

本日の読みたい本・おすすめ版(2008年11月あたり)。

談志映画噺 (朝日新書)

談志映画噺 (朝日新書)

★『談志映画噺』(立川談志/著/朝日新聞出版/798円)【→amazon
前座、二つ目、真打と歩んだ人生の思えばいつも目の前に素敵な「映画」がありました。ハリウッド映画黄金期のミュージカルや喜劇、西部劇の名シーンから、フランス映画の粋、スタッフ・キャストの職人芸、ストーリーの「サゲ」まで、名画の魅力を抜群の記憶力で再現する。あの話芸で、「銀幕」が甦る!立川談志、初めての映画の本。
まんがと生きて

まんがと生きて

★『まんがと生きて』(わたなべまさこ/著/双葉社/1,680円)【→amazon
魔女になりたかった少女時代、戦争という暗雲、赤ちゃんを抱えての出版社回り、物語を紡ぐことの幸福、そして女性漫画家として初の叙勲!まんがを描き続けて半世紀!少女漫画界のパイオニアわたなべまさこが語る激動の昭和史。★『ヤングハズバンド伝 激動の中央アジアを駆け抜けた探検家』(金子民雄/著/白水社/7,875円)【→amazon
中央アジアチベットの利権をめぐって英露清がしのぎを削っていた19世紀末―。当時の紛争地をことごとく踏破し、虚々実々の駆け引きを繰り広げた英国の軍人・探検家、フランシス・E.ヤングハズバンドの生涯を、残された日記と膨大な資料をもとに生き生きと描いた初の評伝。

読みたい本・次点。
『鉄のサムライ音楽ホールをつくる 鉄鋼マンが挑んだ、音楽の殿堂・紀尾井ホール設立2000日の苦闘』(林隆男/著/青志社/1,680円)
『スローモーション考 残像に秘められた文化』(阿部公彦/著/南雲堂/2,625円)
『古語雑談』(佐竹昭広/著/平凡社/1,260円)
『英傑の日本史 上杉越後軍団編』(井沢元彦/著/角川学芸出版/1,575円)
『ヨーロッパの目日本の目 文化のリアリティを読み解く』(安西洋之/著/日本評論社/1,995円)
『ロシア人しか知らない本当のロシア』(井本沙織/著/日本経済新聞出版社/893円)
『オーバー・ザ・ヒッピーロード ありふれた「アジアの路地裏」物語』(関朝之/著/クリピュア/1,500円)
『ゆかいな理科年表』(スレンドラ・ヴァーマ/著 安原和見/訳/筑摩書房/1,365円)
『信長はなぜ叛かれるのか 城と戦国武将』(小島英記/著/ポプラ社/1,575円)
『アメリカに日本食文化を開花させたサムライたち』(宇治田憲彦/著/燦葉出版社/2,520円)
『百年の誤読』(岡野宏文/著 豊崎由美/著/筑摩書房/924円)
『貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン スウェーデンはなぜ貧困をなくせたのか』(竹崎孜/著/あけび書房/1,680円)
『松本清張歴史小説のたのしみ』(森本穫/著/洋々社/2,520円)
『天文学の歴史 ビジュアル版』(ヘザー・クーパー/著 ナイジェル・ヘンベスト/著 日暮雅通/訳/東洋書林/12,600円)
『バイオコスム 生物学と宇宙論の来たるべき融合』(ジェイムズ・ガードナー/著 佐々木光俊/訳/白揚社/3,675円)
『明治・大正・昭和のラベル、ロゴ、ポスター 懐かしい日本のグラフィック・デザインが1000点収録 RETRO-GALLERY』(廼地戎雄/編著/誠文堂新光社/2,730円)