【神戸】マルオー

神戸の元町には喫茶店が多い。

しかもチェーン店はあまりなく、自営業の喫茶店がたくさん軒を連ねている。

三宮にほど近いそごうのあたりから屋根つきの商店街をずうっと歩いてみる。
右に左に、また右にと次から次へと喫茶店が視界に入ってくる。

そうして商店街を抜けるとそこは旧居留地。異国の風が吹く。


チェーン店よりも個人経営の店が多いのは神戸の特色らしい。
聞けば神戸では古くから珈琲豆が手に入れやすかったため、
チェーン店の流通網に頼らずとも喫茶の開業が容易だったことが影響しているらしい。


神戸(当時は兵庫港)の開港は1863年、年号が「明治」に変わる寸前のことだ。
開港とともに外国人居留地ができて交易は盛んになっていった。
商業地としての顔、それから原材料を仕入れて工業をする地域としての顔が
この頃から形づくられていった。

もちろん大都市・大阪からも至便の地であることも発展の要素の一つだったろう。

そうしたわけでハイカラ文化がいち早く這入りこんできた神戸。
珈琲豆なんて洒落たものも他の地域に先駆けて浸透していったようだ。



いま日本にある喫茶店のうちの多くが1970年代からのチェーン店ブームのころにできたものだ。
神戸ではそれが興るずうっと前から喫茶店文化が根付いていたのだ。


物事にはだいたい道理があるようだ。
いま目の前で何かが起こるのには、だいたい何かの原因があるし
その原因を完全に把握することができれば、次に何が起こるかを予測することができる。
それどころかもしかしたら、次に何が起こるかを変えることができるかもしれない。


先日「西日本にはたこ焼きやお好み焼きが多いのは何故だろう」という議題が挙がった。
たしかに大阪を歩けばたこ焼きはそこかしこにある。
茶店でたこ焼きを給している所もある。

そしてさらに西、広島はお好み焼きの名産地だ。
そばやうどんを挟み多層を成すグラデーションは
関東では見られない独自の文化的発展を遂げている。

トンペイ焼き、モダン焼き、三原焼、、、西日本の食卓における粉ものの貢献度は計り知れない。

西日本で粉ものの料理を研究している人に聞いてみた。
色々と話してくれたがその断章を挙げると、、、


・大阪あたりは海産物の集積地だった。お好み焼きやたこ焼きの生地は海産物をだしにするとおいしい
・粉ものとの相性がよいソースメーカは西日本に多かったため
オタフクソース広島市西区
イカリソース(大阪・福島)
オリバーソース(神戸)
和泉食品(大阪・松原)

などなど。
物事にはだいたい道理があるようだ。





ただし時には理由を求めるのを止めて、
おいしいお好み焼きを純粋に味わい、おいしい珈琲に酔いしれたいと思うのだ。