今度は加藤陽子教授の一言が見過ごせない

メイマガ「頂門の一針」から転載

井上政典  

 8月2日、何気にNHKの教育テレビをつけたら、大東亜戦争のことをやっており、しばらく見ることにしました。
 
 「さかのぼり日本史」という再放送でしたが、そこで解説をしている東京大学大学院人文社会系研究科 加藤陽子教授の解説で番組が進んで行きました。このお方は、「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(朝日出版社)でベストセラーになっています。

 まずは第一点目、サイパン島の攻防から、その島を米軍が占領するとB29という長距離爆撃機の範囲に入ることが既定の事実のようなナレーションがありました。サイパン島上陸開始は昭和19年の6月15日からで戦闘終了は7月9日とされています。

 ところがB29の運用開始は昭和19年の5月8日であり、この爆撃機の存在は日本軍もすでに知っていたのは当然ですが、航続距離など詳しい性能諸元は秘密のベールに包まれていました。それを既定の事実のように歴史にかかわる人間が解説するのはどうかと引っかかりました。

 というのも、歴史を見る上において、われわれはその後の結果までわかっているのですが、当事者は当時そのような状況下ではわかるはずもないことばかりなのです。

 それを東京大学の大学院の教授が涼しい顔で解説すること自体変なことです。当時の絶対国防圏は戦前からの日本の領土を守ることを想定し、その時代の常識を超えた長距離爆撃機の航続距離などを考えたものではなかったからです。

 ここからちょっと真剣に見始めました。するとNHKのナレーションは、B29の都市攻撃を正当化するような解説をさらっとしゃべりました。それは、「日本国民の厭戦気分を煽るために大都市の爆撃を開始した」という内容でした。

 これではちょっと言葉が足りないと思いませんか?

 「日本国民の厭戦気分を煽るために、本来国際法上違法である一般市民に対する無差別爆撃を開始した」というのが、日本国の国営放送であるNHKが伝えなければならない内容ではないでしょうか。

 この加藤女史は、そのインタビューの端々に、「日本が早く戦争をやめなかったから犠牲者がこんなに増えた」というニュアンスでしゃべっていました。そこには、アメリカ軍の一般市民に対する無差別爆撃の非人道性を糾弾するのではなく、日本が戦争をやめなかったからこのような爆撃をされた、つまり広島の原爆記念碑の「あやまちはくりかえしません」と同じような思想に基づいて話をされているのです。

 さらに加藤女史は「戦死者には厚い手当てが支払われたが、爆撃で被害を受けた人にはまったくない。それがアジアの人々に迷惑をかけた賠償が進まない原因でもある」というようなことも話していました。

 この人どこまで一方的な歴史の見方しかしないのでしょうか。

 一般的に歴史を学ぶものとしてそして物を書く人間として両方の立場から物事を捉え、どの立場で書くかを考えなければならないと思っています。この東大大学院の教授は、一方的なアメリカの立場、東京裁判史観を中心に話しているとしか思えません。

 戦争を早くやめるということは無条件降伏を日本がすべきだったということでしょうか。

 ここの読者の方々は日本は無条件降伏をしていないという説にご賛同いただけると思いますが、この先生の言われる無条件降伏とは、天皇陛下を廃位させる事も含まれているように思えてなりません。それをさせないために、大勢の日本人が命を賭して防ごうとしました。東条英機閣下も東京裁判で自分の身の潔白よりも天皇陛下を守ることに途中から変わり見事それを実行されました。

 戦争を早くやめればこんなに死ななくてすんだという議論よりも、アメリカの一般市民に対する無差別爆撃や二度にわたる原爆投下の罪を歴史学者として追求すべきではないでしょうか。それをするのが国営放送であるNHKの使命だと思うのですが、相変わらずNHKはこういう番組を垂れ流しています。

 教科書で学ぶ歴史が、自由社育鵬社を除いてはでたらめな亡国の歴史を書いてあり、たくさんの市町村でその教科書を採用して子供たちに自虐的な歴史を教えています。その信奉者たちの言い分は、「NHKでも言っていた」というものが多くありました。

 おかしいものは、私たちが声を上げてNHKに伝えなければなりません。その声が多ければ多いほど、NHKを動かせるのです。NHKの経営委員の一人である石原進JR九州会長などは日本国の正しい歴史を子供たちに教えなければならないと公言されているひとりであり、国家国旗、皇室に対して多大な尊敬の念を払われる方です。こういう人が経営委員している時に直接この内容を伝えようと思っております。

 みなさんも、NHKの番組をチェックして皆さんの声を届かせましょう。