子ども手当てとベーシックインカム

マクガイヤー家は現在引越しを真剣に考えている。


今住んでいる一軒家は二階に広めの二部屋がある2LDKなのだが、息子と娘一人ずつの四人家族にはちと狭すぎる。子供の部屋が無い。「ママと一緒に寝る〜!」とか言ってる今は良いのだが、大きくなった時が困る。
息子がオナニーしてる現場に遭遇するという事態はなるべく避けたい。いや、私がエロゲーでオナニーしてる現場を目撃されるのが先か。ここだけの話だが、秘蔵のオナホ(自分はTENGAイマイチ派)を発見され、「それはね、オトナのね、おもちゃなんだよ〜」と嘘偽り無しの説明をしたのはマクガイヤー家のトップ・シークレットだ。いや、3歳の男児なんてちょろいもんですよ。


ただ、問題が一つある。貧乏だ。広い家に引っ越すということは、どう考えても今より家賃、というか月々のローンの支払いが高くなるということだ。もっと埼玉の奥地に引っ込めば今と同じ支払いで広い家というのも可能なのだろうが、私と嫁の職場の位置、そして保育園と幼稚園の引き取り時間の限界などを考えるとそうもいかん。
これ、子供を生む前までは想像もできなかった問題なので詳しく書こう。つまり、大抵の保育園は18時とか18時半閉園なわけですよ。通勤時間が片道1時間とか2時間だとすると、17時とか16時に退社しなきゃいけないわけですよ。そういうのが、可能な職場と不可能な職場があるわけですよ。


そんなわけで、小子化になるのも当然だなぁとボヤきつつ高いローンを組まざるを得ないわけだ。勿論、これに保育料やらなんやらもしっかりかかる。そういうの覚悟して子供を作ったんだろと問われればそれまでだが、マジで子ども手当て法案に反対する人間が全員敵に思えてくる自分の心情も理解して欲しい。



そんな中、12人の子供を育てているビッグダディは、誰がなんと言おうと立派だと思う。や、念のために書いておくと、『バイオショック』のビッグダディじゃないよ。なんつーか、「ビッグダディ」で検索すると、奄美大島で貧乏に負けず逞しく暮らすこのビッグダディ一家と、デカい潜水服を着て海底都市を彷徨う件のビッグダディとが入り混じって表示されるさまが、まさに混迷の21世紀という感じで、本当に面白かったりする。まさに痛快!ビッグダディ


ビッグダディ - Google 検索


ビッグダディ家にいる中学生以下の子供は9人、なので、全額支給されれば23万4000円のカネが入るという。これで12人の子供を育てられるとは思わないが、23万4000円というのは大金だ。半額の11万7000円でも大金だ。正月の放送では愛知県へ出稼ぎに行き、交通費を抑える為に正月も帰省しないさまが放送されていたが、これだけの金が毎月入るのならば出稼ぎしなくても良いだろう。これまでと同様、種子島で、家庭菜園やバイト程度の仕事で子供を養っていけるのかもしれない。勿論、12人の子供を育てるというのが一仕事なわけだが。


で、ここで思うのは、ビッグダディ家にとっての子ども手当てというのはベーシックインカム的なものになるんじゃないかということだ。23万4000円というのは家族が生活できるかできないかのギリギリの金で、教育とか娯楽なんかを考えたら、それなりに工夫しなくてはならない。「テレビ出演して金を稼ぐ」というのも一つの方法だろう。


逆に考えれば、「子供を育てる」という名目があれば、ベーシックインカムは実現し易いんじゃないかという思いもある
現在、ベーシックインカムへの反対意見として大きいものは二つある。一つは財源の問題。もう一つは精神的な問題だ。後者はつまり、「働いてないヤツにカネを渡したくない」という意識や、「何もしないでカネが貰えるのなら、働くヤツなんていなくなるんじゃないか」という懸念だ。


少子化が進み、人口の再生産という考えが広まり、子供を育てることが仕事の一つだという意識が、昔に比べれば共有されつつあると思う。であるのならば、子供手当てを5万とか10万とかに増額するというやり方で、ベーシックインカムを実現できないだろうか?


この場合、独身者や子供を作れない夫婦は不利になる。そこで、養子でも扶養してるのならば受給資格を与える。現在の制度では養子受け入れの際に経済的な基準(年収○万以上とか)があるので、これを緩和する、ということにする。
自分の血とか、血統とかに拘る人間もいよう。でもさ、大学と大学院で分子遺伝学を学んだ自分からすると、自分の子供が自分の遺伝子を受け継いでいるかなんて、あんまり関係ないんだよね。それよりは、子育てという長い時間を一緒に過ごし、自分の価値観や人生観や記憶なんかを多少なりとも受け継いでいるかどうかの方が重要だ。ジーンよりもミームの継承を優先したい。


勿論、子ども手当て目当てに養子を受け入れるだけ受け入れて、子育てなぞせずに遊んで暮らすような駄目人間も出現するだろう。だからチェック機構は必要だ。でも、そういうチェック機構を設立するコストよりも、出生率増加や経済成長率増加といったメリットの方が大きいと思うのだ、トータルでみれば。


……まぁ、そう思ってしまうのは、今まさに子育て真っ最中であるからなのかもしれないけどね。