図書館司書の専門職認定制度について思う

 図書館大会第7分科会「司書のキャリア形成を問う」 - みききしたこと。おもうこと。
 私も行けば良かった…。仕事でいけなかったのが残念だ。
 糸賀先生はかなり以前から司書のグレード制というのを主張していて、自分が最初に糸賀先生からその話を聞いたのは10年程前のことだ。
 その時から糸賀先生の主張は基本的に変わっていないし、私がそれに否定的なのも当時から変わっていない。
 技能や実績を踏まえた司書資格を制度化すれば司書の価値があがる、というのが糸賀先生の主張。
 そういった資格を活かせる図書館組織は極端に限られているだろう、というのが私の意見。
 私は司書資格の条件の見直しと研修制度の改善(地域格差の是正や評価)、現状の分析を進めるべきという考えだった。
 実際にはもっと入り組んだ話もあって多層的なのだが、大雑把にはこんな感じだ。
 現時点で司書資格に価値を持たせても、それに見合った就職先が無いだろう。
 組織経営の都合上委託のアルバイト・契約社員あるいは非正規の図書館職員が多いわけで、司書に価値だけが主な原因ではない。
 確かに司書資格取得者が掃いて捨てるほどいる状況は委託業者の手間を省いたが、それだけで指定管理者制度が広まったわけではないだろう。
 かなり以前、私は失業者時代に行った三田の例会で「図書館がスキルを継承・向上するより民間業者が図書館の技能を吸収するほうが早いのではないか」という趣旨の発言をしたことがある。
 今でもこの考えは変わっていない。
 もし専門職認定制度が確定した場合、民間業者から資格取得するだけでなく、認定資格を得た正規職員の司書から、民間の図書館委託業者に転職する人も出てくるだろう。
 そちらのほうが何より職の口があって稼ぎも良いからだ。
 現在、指定管理者制度・全面委託の公共図書館やその他の図書館では館長や管理職を勤める人間にかつて正規職員として管理職を勤めた人間が数多くいる。
 認定制度ができれば、そうした転職のルートで判断材料が増えるだけのことだ。
 一方、公共図書館でそうした認定制度を活かせそうな図書館は、現状ではかなり限られている。
 外部からの評価を気にするなら、司書資格取得条件そのものの検討とセットで考えなければ意味はない。
 現在考えられている認定制度の評価は、現状の司書資格の評価の延長線上にしかないと思う。
 認定制度の条件についても、どうも現実の図書館職員のキャリアを十分に検討したものではない。
 司書教諭制度が実態としてどうなったかを忘れるなと言いたい。
 制度だけ作っても評価されるわけではない。