Amazonの思想が知れるのは(今のところ)本書だけ!: 潜入ルポ アマゾン・ドット・コム

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム (朝日文庫)
潜入ルポ アマゾン・ドット・コム: 横田 増生


【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 アマゾン・ドット・コム潜入

  • 密かに急成長するアマゾンジャパン
  • アマゾン・ドット・コム上陸前夜
  • アマゾン心臓部・物流センターの実態
  • 空虚な職場に集う人々
  • アマゾンの秘密主義を恐れる出版業界
  • 日本で躍進した本当の理由
  • その強さの裏側にある底辺
  • アマゾンの目指す「完成形」

第2部 その後のアマゾン・ドット・コム

昨今のfacebookなどの動向をおっていても分かることですが、ITベンチャーは総じていわゆる「秘密主義」です。そして本書があつかうAmazon.com社も秘密主義です。そんな中、「Amazonが知りたい」という人に向けた日本語で優良なルポといえば著者の前著『アマゾン・ドット・コムの光と影』くらいしかありませんでした。そしてそんな前著から大幅に加筆(2部構成に)されて文庫版で刊行されたのが本書『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』です。



そもそも単行本から文庫化される本には圧倒的に良書が多いですが、本書もその例外ではありません。そして変化のスピードが早いIT業界にあっては文庫化のさいにはすでにその内容が古くなっていがちですが、本書で扱っている内容の大部分が創業時の経緯やその思想などであるため陳腐化はしていません。むしろ、Amazonが発展すればするほど本書の歴史的な価値はあがっていると言ってよいでしょう。少なくとも、ジェフ・ベゾスが自伝を書くその日までは:P




そして文庫化にあたって大幅に加筆された第2部。Amazonユーザーのかた、必見です。Amazonの「ブックオフとの関係」、気になりません? マーケットプレイスではありません。ヤバイ系です。詳しくは本書に譲りますがこれが本当ならば日本のAmazonユーザーにとってはなかなか看過できない部分だと思います*1


また、今後Amazonが展開していくサービスも本書に記されているような思想のもとで展開していくのでしょう。

Amazonが今度はクラウド界の黒船になろうとしています。かつて出版業界に対してそうであったように。
そしてKindle本も絶好調、まさに破竹の勢いです。先月、米AmazonにおいてついにKindle本が通常のペーパーバックやハードカバーを売上、販売数量ともに追い抜いたと発表がありました。


いやはや、IT業界でもっともその動向から目を離せないうちの1企業だと思います。その思想を、ぜひ本書にて。ベゾスが自伝を書く前にね;)


YMKjp(Amazon user)

*1:問題が明るみに出る前に収束(?)したようですが