百年佳約/村田喜代子

makisuke2004-09-08

百年佳約
村田喜代子の「百年佳約」を読み始める。日本に渡ってきた朝鮮の人たちの結婚にまつわる物語なのだが、何といっても、その風俗が興味深く、面白い。私には、初めて知る習わしばかりで、ただただ感心して読み進めているといった塩梅。葬式のしきたり、婚姻のしきたり、食事風景や山登りの儀式の様子、そこで行われる「クネ」と呼ばれるぶらんこ乗りや、板飛び、既婚の女達と未婚の女達が二組に分かれ、手を繋いでうたい踊る、カンガスウルレ等々。そして、死んだ男と生きた女が夫婦の契りを結ぶことも出来るということに、驚いてしまう。

村田喜代子という人の本は「雲南の妻」以来2冊目なのだが、読んでいると、何とは無しに、男に読ませたくない気分になってくる。女だけで楽しみたい本だ。女の本だ。女の子ではなく、女の読む本だ。と。声高に書いているのではないけれど、彼女の本を読んでいると、女に生まれてしまったという、それだけで付けられてしまう無条件の足枷手枷を思い知らされる。普段はあまりそういうことに無頓着なはずの私なのに。そして、彼女の本に出てくる様々な女達と、その気持ちを分かちあいたくなってくる。