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maplecat-eveの日記

2015-01-01 2014年ベストシネマ

[]2014年ベストシネマ


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年が明けてからこの記事を読むという方には、新年明けましておめでとうございます。一年の終わりの日にこの記事を開いたという方には、よい新年が迎えられますようにと、一年の始まりと終わりのご挨拶。恒例の年間ベストシネマ。私的なことですが、今年は年の初めから、イースト・プレス様から塩田明彦氏の『映画術』の献本とブログでのレビューをさせていただいたり、自主制作映画『沈黙の世界で猫が泣く』をLOAD SHOWさんでオンライン発表させていただいたり、『ユリイカ』のウェス・アンダーソン特集に論考を寄稿させていただいたり、吉祥寺バウスシアター再生計画HPに文章を書かせていただいたり、ありがたいことがいくつもあった年でした。何らかの形でそれらに触れて頂いた方、言葉を頂けた方全員に改めて感謝させてください。バック・トゥ・ブログ!は毎年初めに思うことですが、なかなか出来ませんね。とはいえ、いつでもここがホームです。


さて、以下に20本のリストを。


今年日本公開で昨年のベストリストに入れてしまったジェフ・ニコルズ『MUD』、ガス・ヴァン・サント『プロミスト・ランド』、マノエル・ド・オリヴェイラ『家族の灯り』、ノア・バームバック『フランシス・ハ』、デヴィッド・ロウリー『セインツ 約束の果て』は対象外にした。改めて『MUD』は超傑作だね。昨年のベストについては以下のリンクを。

http://d.hatena.ne.jp/maplecat-eve/20140101


1.『エヴァの告白』(ジェームズ・グレイ

The Immigrant/James Gray

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2.『グランド・ブダペスト・ホテル』(ウェス・アンダーソン

The Grand Budapest Hotel/Wes Anderson

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3.『6才のボクが、大人になるまで。』(リチャード・リンクレイター

Boyhood/Richard Linklater

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4.『わかってもらえない』(アーシア・アルジェント

Incompresa/Asia Argento

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5.『さらば、愛の言葉よ』(ジャン=リュック・ゴダール

Adieu au langage/Jean-Luc Godard

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6.『ゴーン・ガール』(デヴィッド・フィンチャー

Gone Girl/David Fincher

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7.『ストーリー・オブ・マイ・デス』(アルベルト・セラ)

Historia de la meva mort/Albert Serra

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8.『ジャージー・ボーイズ』(クリント・イーストウッド

Jersey Boys/Clint Eastwood

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9.『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(スチュアート・マードッグ)

God Help the Girl/Stuart Murdoch

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10.『ラブバトル』(ジャック・ドワイヨン

Mes seances de lutte/Jacques Doillon

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11.『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』(ジョエルイーサン・コーエン

Inside Llewyn Davis/Joel Coen , Ethan Coen

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12.『自由が丘で』(ホン・サンス

Hill of Freedom/Hong Sang-Soo

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13.『A Propos de Venise』(ジャン=マリー・ストローブ

A Propos de Venise/Jean-Marie Straub

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14.『ロング・クリア・ヴュー』(ミア・ワシコウスカ

Long, Clear View/Mia Wasikowska

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15.『ガールズ・ギャング・ストーリー』(ローラン・カンテ)

Foxfire/Laurent Cantet

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16.『ステイ・コネクテッド』(ジェイソン・ライトマン

Men, Women & Children/Jason Reitman

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17.『Redemption』(ミゲルゴメス

Redemption/Miguel Gomes

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18.『ヤング・ワンズ』(ジェイク・パルトロー)

Young Ones/Jake Paltrow

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19.『ナイト・スリーパーズ』(ケリーライヒャルト)

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Night Moves/Kelly Reichardt


20.『やさしい人』(ギヨーム・ブラック)

Tonnerre/Guillaume Brac

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1位は迷うことなくジェームズ・グレイの新作。『エヴァの告白』の画面に張りつめている覚悟、厳しさ。とても小手先の知識や技術で撮れる映画ではない。映画、ナメてかかんなよ!と、私自身激しく反省さえした。たとえば監督と女優の関係一つをとっても、ここには詰めの甘い関係が一切ないのだ。実際ジェームズ・グレイマリオン・コティヤールは演技に関するヴィジョンの対立(大喧嘩だったそうだ)を乗り越えて、この偉大な作品を撮り上げたらしい。マリオンとしては自身のキャリアで培ってきたプランやメソッドを全否定された気分だったであろうことは、画面を見れば容易に想像がつく。『エヴァの告白』において、エモーショナルな表現は全て裏読みをさせる演技であり(劇中に「読心術」という言葉が出てくる)、且つ、裏読みがすべて観客に伝わるようにできている。塩田明彦氏が『映画術』で解説する『サイコ』のアンソニー・パーキンスジャネット・リーの表情を変えないことで渦巻くサスペンスが、全編に渡って展開されているのだ。


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Marion Cotillard in The Immigrant


と、このままだと思わず『エヴァの告白』評になってしまうので話を端折ると、今年の主演女優賞は、ぶっちりでマリオン・コティヤールに!ジェームズ・グレイとの共闘に見事に応えた彼女は現代最高の映画女優の一人になった。私的主演女優賞は他に、『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』のエミリー・ブラウニング『私の男』二階堂ふみ、『ラブバトル』のサラ・フォレスティエ。今後、「遠き山に日は落ちて」のメロディーを何処かで耳にするとき、『私の男』のあの女の子の見た雪の景色を思い出さずにいることはできない。それは二階堂ふみという個人、個体からも離れていくものだ。そこが女優という職業の面白いとこだね。スクリーンへの見事な「投影」だった。主演男優賞は『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホークで。サイコー。そりゃあ、子供たちはパパとママが大好きなわけだ。圧倒的だった。


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Fumi Nikaido in My Man


今年は世評的に評価の高い作品をあまりいいと思えないケースが例年以上に多かった。その中で一本だけ触れたいのはアレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』。世界の塵を糞尿ごと引き寄せる磁石としてのカメラ、という『フルスタリョフ、車を!』の方法論がエクストリームに進化している。が、『フルスタリョフ、車を!』で絶妙なバランスで設計されていた、フレームの外、上下左右から突拍子もなく現れるそれは、過剰さと引換えに驚きを失っていた。ただ、驚きを失うまでにつき詰めた画面の絶対零度(麻痺する)を思うとき、ひたすらにカメラに向かって微笑みを浮かべる人々を記録する、その残像、そして原点に立ち返ったかのような素晴らしすぎるラストショットをゲルマン遺作の「さよなら」と捉えるとき、涙を禁じえないだろう。


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Hard to be God/Aleksei German


グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソンの到達点&ネクストには心底興奮させられ、『6才のボクが、大人になるまで。』には嗚咽のように泣いてしまい(パンフも買えず走って劇場を出たね)、東京国際映画祭で見たアーシア・アルジェントの新作の、何にも勝利せずに勝利した少女アリアには心底感嘆。ゴダールの『青い青い海』の波を追憶する犬の残像がいつまでも消えない2014年デヴィッド・フィンチャーアメリカを射程に捉える大きな作家になり、アルベルト・セラは新作で無時間を往く/逝った。奇妙な笑い声と暗闇の肖像を残像させながら。『ストーリー・オブ・マイ・デス』は大変な傑作だ。『ジャージー・ボーイズ』の強引な説得力には映画の底知れない強さを見た。そしてエミリー・ブラウニングが可憐に画面を舞う『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』に偉大なポップミュージックのプロセスが、待機の時間の集積なのだと教えられた。


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Wes Anderson


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Emily Browning


ジャック・ドワイヨンド級の傑作『ラブバトル』は2015年に公開が決定。嬉しいね。ローラン・カンテの新作、ケリーライヒャルトの新作、ジェイソン・ライトマンの新作は、まさかのDVDスルー。『ナイト・スリーパーズ』(原題のナイト・ムーヴスでいいのに!)の暴力的な夜は劇場で見たかった。ジェイソン・ライトマンの新作は海外ですこぶる評判悪いけど、私は支持したい。。野心作。Bibioの音楽とスマホばかりいじってるティーン、そして大人たちとの模様、マリアージュが素晴らしい。


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Men, Women & Children


未公開作について少しだけ。ジャン=マリー・ストローブの新作は『アンナ・マグダレーナ バッハの日記』にも出演したグスタフ・レオンハルトに捧げられた短編。ゴダール『さらば、愛の言葉よ』の波打ち際には犬が立っていたけど、ここでは亡霊が音楽を演奏している。ミア・ワシコウスカの監督デビュー作は、視点のポイントをズラす子供心のようなシンプルな遊び心をコンセプチャルに昇華した素晴らしい作品。ミゲルゴメスの新作はアーカイブ映像とスーパー8で撮られた映像のコラージュ作品。ジョアキン・ピントの新作のアーカイヴ映像の使い方とも共振する大変美しい作品。ジェイク・パルトローはグウィネス・パルトローの弟さん。ノア・バームバックウェス・アンダーソンとジェイクのことを「同志」と呼んでいた。本人が言及しているようにスピルバーグへのリスペクトを強く感じる作品だが、「同志」界隈との距離感をも内包しているユニークな作品。エル・ファニングが出演している。


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Mia Wasikowska


最後に年末に見つけた素晴らしい二枚の写真を。1956年、髪を切った18歳のジーン・セバーグ。この時一人の女の子が髪を切らなかったら映画史が大きく変わっていたかもしれない(全く大袈裟ではない)、と思うと途方に暮れるほど凄いことだ。当たり前だが、この時のジーン・セバーグは後に起こることを何も知らない。パリに行くとも思ってなかっただろう。「幸せが全てではない」と語ったジーン・セバーグを重ね、涙が出た。


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Jean Seberg


もう一枚はローレン・バコール。この神話的な女優がこの世からいなくなってしまったことに改めて哀悼の意を。


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Lauren Bacall


※見出しの画像はジェームズ・グレイエヴァの告白』(原題The Immigrant)とチャールズ・チャップリンチャップリン移民』(原題The Immigrant)の自由の女神。震えます。


2014-12-29 2014年ベスト 50枚 〜音楽編〜

[]2014年ベスト 50枚 〜音楽編〜

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1.Warpaint『Warpaint』

Warpaint

Warpaint

ベスト・オブ・ベストは迷うことなくウォーペイントの新譜。待ちに待っていた今一番好きなバンド。1曲目のイントロが鳴った瞬間、凍りつくような緊張が走り、"リムショットの魔術"(ローレン・メイベリーの素晴らしい批評より)は鋭利な洗練を極めていく。ウォーペイントの音楽と同時代に生きる幸せ。彼女たちの奏でる音楽をぶっちぎりに愛してます!


2.Life Without Buildings『Any other city』

Any Other City

Any Other City

2014年の作品ではないけど、やっと出会えた作品。ラフトレード、グッドジョブ!2003年のラフトレのコンピに入っていたときから長い間ずっと耳に残っていたこのオリジナリティ溢れる歌声。細かいジャブの乱れ打ちのような独特な歌のリズムの刻み方に震える。たった一枚のオリジナル・アルバムを残してLife Without Buildingは解散してしまった。決して早すぎたわけではない。過剰な情報の速度に見過ごされてしまう、ということもあるのだ。奇跡のように美しいアルバム。


3.Peaking Lights『Cosmic Logic

Cosmic Logic

Cosmic Logic

男女スモーキー・デュオによる最高傑作。前作からその傾向はあったものの、ここまで跳ねるリズム主体で攻めてくるとは。ステレオラブYMOの1stに出会ってグイッと初期ハウスミュージックに転換していくかのような楽天性が最高に心地よい。


4.O.S.T『God Help The Girl』

God Help the Girl

God Help the Girl

いつも聴いていたのはこのサントラ。映画の一つ一つのシーンを思い出しては涙ぐんでいました。可憐なエミリー・ブラウニングの声を欲したスチュアート・マードッグは実に音楽家。未使用曲もまた楽しい。サンキュー、スチュアート!


映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』への記事はこちら。

http://d.hatena.ne.jp/maplecat-eve/20140909


5.Gemma Ray『Milk for your Motors』

Milk for Your Motors

Milk for Your Motors

シンガー・ソングライター、ジェンマ・レイの新譜。ハイジ・ハッピーの傑作アルバムと共に愛聴していました。またはShe & Himの素晴らしい新譜と共に。オールディーズ・テイストな曲が特に好きだ。メロディーの復権!「Shake Baby Shake」。


6.D´Angelo『Black Messaiah』

Black Messiah

Black Messiah

年末に突如リリースされた14年ぶりの新譜。待ちくたびれすぎて既に待つことを忘れるぐらいだったのに突然ですよ。本物の違いを思い知る。今年一番"ブラックミュージック!"を強く感じたアルバム。恐るべきアルバム。


7.Pharrell Williams『Girl』

G I R L

G I R L

待ちに待った我がアイドルファレル・ウィリアムスの新譜。私的ベスト・トラックはジャスティン・ティンバーレイクとの「Brand New」。ジャクソン5のように楽しいじゃないか。


8.La Sera『Hour of the Dawn』

Hour of the Dawn

Hour of the Dawn

ヴィヴィアン・ガールズの解散は悲しすぎたけど、ケイティのこのプロジェクトによる新譜は、まるで解き放たれたかのように風通しがよい。このアルバム一枚でギャルバンのトップに躍り出た感すらあるね。楽曲に対するギターのアプローチが秀逸。


9.She & Him『Classics』

Classics

Classics

一つ一つの音を粒子レベルにまでヴィンテージに切り刻んでいくこの作品には、アメリカン・ポップスの夢が溢れんばかりに詰まっている。こんな「アンチェインド・メロディ」のカヴァーがかつてあっただろうか?M.ウォードによる徹底的なこだわりに泣かされる。そしてズーイー・デシャネルの歌はまるで「エンド・オブ・ザ・ワールド」を歌うナンシー・シナトラのようだ。最高傑作。


10.Perfect Pussy『Say Yes to Love』

Say Yes to Love

Say Yes to Love

定期的に現れるキンキン声のライオット・ガール・バンドか、と思いきや、驚くほど洗練された音の重ね方に驚かされる。ラウド、なんだけど、気品すら感じるね。


11.くるり『THE PIER』

THE PIER (通常盤)

THE PIER (通常盤)

くるり会心の新譜。岸田くんが若い頃には避けたかもしれないメロディーラインも音楽的な経年によって魔法のような輝きを放っている。鋭利さは失わないまま。まさにロックンロールハネムーンくるりの音楽と共に歳を重ねる。最高のクリスマスソングに涙。


12.Kindness『Otherness』

一曲目から持っていかれた現代のブルー・アイド・ソウル。昨年のブラッド・オレンジ(参加している)以上の驚き。このアルバムを今年のベスト1にする人、めちゃくちゃ理解できる。


13.Literature『Chorus』

Chorus

Chorus

リバティーンズネオアコをやったらこんな風になりそう。2014年のキラキラ・ギターポップ、一番星。


14.Metronomy『Love Letter

Love Letters

Love Letters

サマソニのライブが忘れられない。素晴らしいアクトだった。ドラムの女の子とベースの黒人さんのダンスの振り付けがキュートすぎて涙出る。「Resevoir」は今年のベスト・キラーチューン。クリスチャンヒメネスの映画でも流れていたよ。


15.Prince『Art Of Official Age』

Art Official Age

Art Official Age

プリンス、会心の新作。


16.Sisyphus『Sisyphus』

Sisyphus

Sisyphus

スフィアン・スティーヴンスのHIPHOPプロジェクト。エレクトロHIPHOP。面白い!初期HIPHOPみたいなライミングのリズムがまた素晴らしい。


17.Mr.Twin Sister『Mr.Twin Sister』

Twin Sister改めの待望の新譜。さすがの傑作。彼女たちは本当に宙に音をなぞるように奏でる。と同時に、ここにステレオラブの発展系を見る。


18.Hospitality『Trouble』

Trouble

Trouble

ヴァンパイア・ウィークエンドが都市生活者のサウンドトラックなら、ホスピタリティにはアートスクールリアリティーとでも言いたくなるようなほんのり尖った甘酸っぱさがある。女性的というより、とても「娘」的なところが魅力的なバンドだ。1stも傑作。

Hospitality

Hospitality


19.Tune-Yards『Nikki Nack』

Nikki Nack

Nikki Nack

こんないいバンドだったっけ?というくらい驚いてしまった新譜。雑多な音楽性の根底にブラックミュージックへの憧憬が真摯なほど感じられるところがまた素晴らしい。


20.Aphex Twin『Syro』

エイフェックス・ツインの新譜!実はあまり期待してなかったんだけど、素晴らしいじゃないか。どこをとってもエイフェックスらしい音の中に、色気すら感じるようになった。


21.Shabazz Palaces『Less Majesty

Lese Majesty

Lese Majesty

ガチでドープなんだけど!な、前作よりだいぶ聴きやすくなったけど、十分レフトフィールドな新譜。ヴィンス・ステイプルズとはまったく別の文脈ブルースの亡霊を感じる。


22.Mode Moderne『Occult Delight』

Occult Delight

Occult Delight

ジョイ・ディヴィジョンとかスミスとか想起するけど、楽曲がいいね。長く愛聴してます。


23.Thee Oh Sees『Drop』

Drop

Drop

この素晴らしいアルバムを残して残念ながら活動休止してしまったThee Oh Sees。私的現代ロックンロールバンドで3本の指に入るバンドです。爆裂サイケガレージが徐々に理想的なヴェルヴェッツ的音の重なり、広がりを見せていただけに残念すぎる。


24.White Fence『For the Recently Found Innocent』

For the Recently Found Innocen

For the Recently Found Innocen

タイ・セガール君とも交流のある(ミックスを担当している)アメリカ人、なんだけど、ブリティッシュな質感、曇天の空模様を想起させるのはドラムのパシャパシャ感ゆえか。マイカル・クローニンの1stと共にタイ君のベストワーク。


25.坂本慎太郎『ナマで踊ろう』

ナマで踊ろう(通常盤)

ナマで踊ろう(通常盤)

前作は物凄い評価の高さに反して聴き込むことはなかったのだけど、この新譜には唸らされた。「義務のように」のサックス、最高。


26.Les sins『Michael』

Michael

Michael

トロイ・モアのエレクトロニック・プロジェクト。実のところトロイ・モアより好きかも。ハウスミュージックへのアプローチの仕方にダフトパンクのトーマがやってたスターダストを思いだす!


27.Kelis『Food』

いつの間にかニンジャチューンからのリリースになっていたケリスの新譜。ポリリズミックでスピリチュアルな作風になっていた。「Hooch」、素晴らしい。とても刺激的な内容の中、アコースティックで奏でられる曲に涙。


28.Foxygen『...And Star Power』

Foxygen & Star Power

Foxygen & Star Power

1stはミック・ジャガー。2ndはジョン・レノンな変幻自在な歌声だったフォクシジェンの大作。横断的な音楽性はより強度を増している。オールディーズ的なコーラスワークに焦点を当てた曲が素晴らしい。傑作!


29.The Primitives『Spin-O-Rama』

Spin-O-Rama

Spin-O-Rama

プリミティヴズには決して失われないものがある。たとえばブロンディが昔の曲を再録したときに失っていたものがないのだな。プリミティヴズは永遠に現役のキャンディ・ポップ。


30.Ariel Pink『pom pom』

pom pom

pom pom

ずっと聴いてると頭がおかしくなりそうな天才アリエル・ピンクの新譜。気持ち悪くなるくらいポップ(笑)。完全にクレイジー。最高です。


31.Philip Selway『Weatherhoue』

Weatherhouse

Weatherhouse

レディオヘッドのドラマーの新譜。前作に引き続き、いやそれ以上に思いがけない音のサラウンドに出会える素晴らしい出来。


32.Cibo Matto『Hotel Valentine』

ホテル・ヴァレンタイン

ホテル・ヴァレンタイン

超待望の復帰作。二人のソロは常に追っていたけど(どの作品もめちゃくちゃスキです)、やっぱチボ・マットはいいね。聴き込めば聴き込むほど細かい発見が次々と現れるアルバム。


33.Perfume Genius『Too Bright』

Too Bright

Too Bright

パフューム・ジーニアスの新作は一人シネマティックなアルバム。これは物語がある人の作るアルバムだ。傑作。


34.Jose James『While You Were Sleeping』

While You Were Sleeping

While You Were Sleeping

ホセ・ジェイムズの新譜。楽曲に対するドラムの特異なアプローチが好きだ。グルーヴィー。


35.Grouper『Ruins

Ruins

Ruins

雨の日に聴くと完全に持っていかれる極上アンビエント


36.Ava Luna『Electric balloon』

ポストパンクなんだけど、アヴァン・ポップmeetsブラックミュージックへの方向性にこそグッとくる。


37.Dum Dum Girls『Too True』

Too True [輸入盤CD] (SP1040)

Too True [輸入盤CD] (SP1040)

ギャルバン好きといえど、実はいままであまりピンとこなかったダム・ダム・ガールズだけど、新譜は文句なく素晴らしい。たしかにスミスのカヴァーとかしてたけど、ここまで楽曲の幅を広げられるとは思ってなかった。アコースティックで奏でられる「Are you Ok」を繰り返し聴く。号泣。


38.September Girls『Cursing the Sea』

CURSING THE SEA

CURSING THE SEA

一言でいえばゴス!なところが素晴らしいギャルバン一番星のデビュー作。新作EPを聴く限り、これからの展開が楽しみです。

Veneer (12

Veneer (12") [12 inch Analog]


39.Heidi Happy『Golden Heart』

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スイスのシンガーソングライターハイジ・ハッピーの新譜。素晴らしい!とても幅広いバックグラウンドを感じさせるアーティスト。「EYES CLOSED」のアコーディオンが効果的なダークな展開に唸らされる。ジャケットが素晴らしい。


40.Medicine『HOME EVERYWHERE』

HOME EVERYWHERE (ボーナスディスク付 2CD版)

HOME EVERYWHERE (ボーナスディスク付 2CD版)

メディスンといえば耳の周りを虫が飛び回るような独特な音使いが癖になるバンドで大好きなのだけど、この新譜は中期ビートルズがシュゲイザーに出会ったような、その構造以上にメロディーの復権ぶりにも感動する大傑作。中期ビートルズについては今年いろいろと思い返すことが多かった。


41.Parquet Courts『Sunbathing Animals』

Sunbathing Animal

Sunbathing Animal

ペイヴメントシンガーソングライター的に聴くなら、現代のそれはパーケイ・コーツに受け継がれている。


42.The Men『Tomorrow´s Hits』

Tomorrow's Hits

Tomorrow's Hits

私的現代ロックンロール・バンドの一番手、ザ・メンの新譜。毎年新作をリリースするけど、どんどん出していったらいいと思うよ。勢いの中にこそトラディショナルで新しい何かが生まれるバンド。


43.Flying Lotus『You´re Dead!』

前作はこれをフライング・ロータスに演られても…とまったくのれなかったのだけど、新譜のジャズへの距離感は実に素晴らしい。フランク・ザッパみたいだ。


44.Ab-Soul『These Days』

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アブソウルのジャックナイフなライミングに切られっぱなし。相変わらずトラックは刺激的。何より声のキレとかリズムのキレとか、どうしてこんなに切実に迫ってくるのだろう。


45.Vince Staples『Hell Can´t Wait』

Hell Can Wait

Hell Can Wait

まるで戦前のブルースの亡霊がHIPHOPに反響しているかのような変異的超常現象な傑作。


46.A Sunny Day in Glasgow『Sea When Absent』

Sea When Absent

Sea When Absent

2014年のシューゲイズ、一番星。音の厚みと女性ボーカルの絶妙な軽やかさ。これも構造よりメロディーの復権を感じる傑作。


47.The Coathangers『Suck My Shirt』

Suck My Shirt

Suck My Shirt

見事なポスト・パンク・ギャルバンド。去年のサヴェージズもよかったけど、個人的にはこっち。


48.Blonde Redhead『Barragan』

Barragan

Barragan

ファースト・インパクトは正直あまりよくなかったし、ブロンド・レッドヘッドはやはり初期の尖り具合が忘れられないのだけど、聴き込むほど彼らの音楽的成熟と新たな野心に敬意を感じるようになった新譜。素晴らしいと思う。


49.James Blake『200 Press』

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新作EP。賛否両論だった2ndはデビュー作以上に好きでした。若者的ソウル・ミュージック!


50.J.Cole『2014 Forest Hills Drive』

2014 Forest Hills Drive

2014 Forest Hills Drive

この方のライミングが一番ストンと落ちる。HIPHOPというより、シンガーソングライターのように聴いてるのかも。どこをどうとってもHIPHOPなのだけど。J.Coleは自分にとってそんな存在。前作はいまだに聴いてる。


去年長らく勤めていたレコードショップを辞めてしまったので、音楽との関わり方が大きく変わってしまうのではないかと恐れていたものの、あまり変わらなかったですね。ただどうしても自分の好きそうなものにしか近寄らなくなっていくなあ、とは思っています。アイドル、まったく聞かなくなった(笑)。趣向が元に戻ったともいえるけど。元同僚の愛すべきマーくんこと、マーライオンの新譜乱れうちを未聴なのが心残り。不義理、ごめんなさい。近々必ず聴きます。

ボーイミーツガール

ボーイミーツガール


最後に、ヴィヴィアン・ガールズの思い出に。渋谷、下北、楽しかった。


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2014-09-09 『God Help The Girl』

[]『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(スチュワートマードック/2014)


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ベル&セバスチャンのスチュワートマードック初監督作品『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は、ポップミュージックが一人の女の子の人生を救えるかどうか、という賭け、強い動機に支えられた映画だ。しかし、『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』を真に特別な映画にしているのは、ポップミュージックと一人の女の子の関係を、エミリー・ブラウニングという魅力的な女の子の内側から能動的に描いているところにある。ここにあるのはポップミュージックが何かをしてくれるという単純な救済の物語ではない。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』では、エミリー・ブラウニングの内側から溢れ出る言葉や歌声、運動が、結果として偉大なポップミュージックを形作っていく。スチュワートマードックが描くのは、ポップミュージックが出来上がっていくプロセスなのだ。ポップミュージックが出来上がるまで、偉大なポップレコードが出来上がるまでの、いわば永遠のエピローグがエミリー・ブラウニングという女の子の小さな体に刻まれていく。スチュワートマードックは、偉大なポップレコードが一夜にして出来るわけではないことを教えてくれる。この映画のように、それは一人の女の子が決定的な時間を待ち続けた物語の集積、なのだと。その意味で、『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』はあなたや私の物語であり、つまり真に青春映画といえる。


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拒食症のエミリー・ブラウニング(役名はイヴ!)が眠れない夜から目覚めるシーンからこの映画は始まる。ベッドルームで自作の曲をカセットテープに録音するエミリー・ブラウニング。そう、彼女の冒険は、いつだってベッドルームから始まる。そしてそれは反復される。幸福な反復ではなく、残酷な反復として。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』においてベッドルームは、ポップレコードを夢見て、再び夢見破れる、待機の時間なのだ。エミリー・ブラウニングにとってのガール・ミーツ・ボーイ。及び、いつもレコードを作ることを夢見ているギタリスト、オーリー・アレクサンデルにとってのボーイ・ミーツ・ガール。エミリー・ブラウニングハンナ・マリーによるガール・ミーツ・ガール。まるで寓話のように出会っていく3人の、この3人が揃ったときにしか成し得ないアンサンブルの輝かしい一片一片が、ポップレコードを形作っていく。


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映画の冒頭、病院のフェンスを越え、突然歌い始めるエミリー・ブラウニングの歩くうしろには、まるで音符♪が付いてくるかのようだ。ダンスのないシーンでさえ、彼女は踊るように歩く。歌うように歩く。そしてジャズボーカルのように力を外へ逃がしていくようなエミリー・ブラウニングの発声、歌声(技術の高さに驚いた)とダンス。彼女の一つ一つの所作が周囲に伝染するかのように、未来のポップミュージックがクリエイトされていく。エミリー・ブラウニングの声を欲したスチューワート・マードックは、どこまでも音楽家だ。既に2回見てるけど、同じとこで泣いた。ゴダールはなればなれに』のマジソン・ダンスを初めて見たときのような感動。とびきりのミュージカル・シーンがいくつかある。


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グラスゴーでの3人の日々に変化が訪れるとき、この映画の主人公イヴたち3人よりちょっと早く、この作品のラストを見届けた観客は知ることになるだろう。スチュワートマードックによるこのプロジェクトが"ゴッド・セイヴ・ザ・ガール" ではなく、" ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール" と名付けられたことの、其処に込められた思いを。それはイヴたち3人が、やがて大人になって振り返ったとき、知ればいいことなのだ。そのときグラスゴー発のラジオ局からは「世界に残された最後のカセットテープ」=偉大なポップミュージックが流れるだろう。このテープは未来に託されている!とても愛おしい作品。


リアルベルセバ好きのエミリー・ブラウニングにベタ惚れ。衣装も動きもなにもかもが、どうしようもなくかわいい!スミスのTシャツ!この世に踊ってる女の子ほど美しいものはない!と固く信じている自分にとって、赤いドレスを着たエミリーのダンスは何十分でも見ていたい気持ちにさせられます。オーリー・アレクサンデルのエミリーにゾッコンの目がまたいいんだよね。3人ともキュンキュンだ。


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God Help the Girl

God Help the Girl

God Help the Girl

God Help the Girl


奇跡の予告編。


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2014-06-24 『The Grand Budapest Hotel』

[映画」『グランド・ブダペスト・ホテル』(ウェス・アンダーソン/2014)


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Untitled (Pink Palace) -Joseph Cornell-


ユリイカ』の”ウェス・アンダーソン特集”に掲載させていただいた「ディス・イズ・アワー・ランド!」(読んでくれた方々、感想くれた方々に心から感謝!)の続き、ということで、ウェス・アンダーソンジョゼフ・コーネルの関係について書きたい。


「自分ではその映画という島に住んでいる気持ちでいます。確かにその島は大きな美しい墓場でもあるでしょう。ですから、責任があるとすれば、そこに眠る死者たちに対して、ときどき名誉を返してやることではないかと思います。大変美しい墓場なのです。」レオス・カラックス


『グランド・ブダベスト・ホテル』はルッツ(ドイツ)の墓地のシーンから始まる。この作品が特別な感情へ向けられたレクイエムであることを告げるファーストシーンだ。ウェス・アンダーソンジョゼフ・コーネルの関係については洋書『ザ・ウェス・アンダーソン・コレクション』の序文でマイケル・シャボンがウラジミール・ナボコフと並べて述べている(このとき『グランド・ブダペスト・ホテル』は未発表なのだが)。美術家ジョゼフ・コーネルが紡ぎ上げた「箱」シリーズが持つ物質性とウェス・アンダーソンの画面の相似に関する短い文。このあとウェス・アンダーソンは『グランド・ブダペスト・ホテル』のデザインの元ネタとしてジョゼフ・コーネルの『ピンクの宮殿』を明確な形で引用する。サイレント映画の収集家だったジョゼフ・コーネルウェス・アンダーソンの映画の、偶発的に思われた出会いが、実はある強い意思を持っていたことを知らされることになるわけだ。


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グランド・ブダペスト・ホテル』が全速力で駆け抜ける記憶の走馬灯、とりわけ自転車に乗って登場する最初のショットから「とどまる記憶」のヒロインとして鮮烈な印象を放っているシアーシャ・ローナン(本当に素晴らしい)演じるアガサの肖像的で、運命的ですらあるフィルムへの収まり方。『グランド・ブダペスト・ホテル』は、廃墟となったホテルの記憶の彩度を、アガサの記憶によって甦らせる。いわば、『グランド・ブダペスト・ホテル』の記憶とは、アガサという一人の少女の色彩と、その間に零れ落ちた色彩のことなのだろう。同時に、このことはジョゼフ・コーネルが世話をしていた女優志望の少女(殺されてしまった)を思いながら「ホテル」シリーズを創作していたことを想起させる。ジョゼフ・コーネルの作品が「箱」という「劇場=フレーム」の中にコラージュ的に配置した物質には、物の記憶、物の生命、物の囁き=「語り」さえもが、かつて其処にある/あったことを感じさせるものだ。この強い悲しみをウェス・アンダーソンは『グランド・ブダペスト・ホテル』というフィルムに肖像として宿すこと、名誉を返還することを試みたのではないだろうか。ただし、『ジェニーの肖像』(ウィリアム・ディターレ)のようなモノクロームの亡霊を、感情ごとまるごと反転させた世界、ひたすら陽性な”まぼろし”の世界の色彩として。ムッシュ・グスタフがまるで手品師の白い煙の中から現れたかのような軽さを終始身に纏っていたところに、ウェス・アンダーソンの方法はある。『グランド・ブダペスト・ホテル』において軽さとは、記憶の走馬灯を駆け抜ける速度のことでもある。


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Jack's Dream (1938)-Joseph Cornell-


ジョゼフ・コーネルサイレント映画の収集家であり、同時に映画作家でもあった。たとえば処女作『ローズ・ホバート』(1936)という作品は、『ボルネオの東』(ジョージ・メルフォード/1931)のフィルムをリ・エディット、ブルーフィルターをかけた作品だが、ここでのジョゼフ・コーネル視線は、ローズ・ホバートという女優の肖像を海に透かしていて見ているかのようだ。また、これはとても好きな作品なのだが、『ジャックの夢』(1938)というパペット・アニメーション作品にはタツノオトシゴが出てくる。『ライフ・アクアティック』におけるクレヨン・タツノオトシゴとの相似。ジョゼフ・コーネルの作品が特別な感情をフィルター越しの視線で配置していたように、ウェス・アンダーソン夢想する映画の配置、に留まらぬマスタープランとは、物質と物質、時間と時間を隔てる区切りを区切りとして用いることはしない。『グランド・ブダペスト・ホテル』で用いられた画面アスペクト比の変化という区切りさえ、一つの箱に入ることで初めて滑らかに溶け合った「共生」の画面なのだ。調和以降の速度、調和以降の映画にウェス・アンダーソンの野心はついに突入している。ジュード・ロウの台詞を借りるならば、『グランド・ブダペスト・ホテル』に触れることによって呼び起こる感情とは、その箱に触れたときだけ、もう二度と見ることができないものだ。これほど映画館にふさわしいと思える映画はない。


『グランド・ブダベスト・ホテル』、絶賛公開中!

http://www.foxmovies.jp/gbh/


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The Hotel Eden -Joseph Cornell-


追記*ジョゼフ・コーネルとの関係からベックまで繋がっていくね。この二人はやっぱとても似てると思う。


追記2*ジョゼフ・コーネルとの文脈で考えると、『グランド・ブダペスト・ホテル』の牢獄に貼られた女優のピンナップ写真はとても興味深い!

ジェニーの肖像 [DVD]

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2014-05-26 Welcome to ’The Grand Budapest Hotel’!

[]「ユリイカ ウェス・アンダーソン特集」

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ユリイカ」6月号”ウェス・アンダーソン特集”に「ディス・イズ・アワー・ランド!」と題した論考を掲載させていただきました(計8ページ)。『ムーンライズ・キングダム』のサム少年の叫びからウェス・アンダーソンの「マスタープラン」を紐解いていく作業を試みてみました。ウェス・アンダーソンに関する纏まったものが出版されるのは日本で初めてのことだと思います。近い未来に洋書「ザ・ウェス・アンダーソン・コレクション」が邦訳されるといいんだけどね。あれは決定的な書物です(家宝、家宝)。


追記*ユリイカの文章で触れたMTVムービーアワードのためにウェス・アンダーソンが作ったCM「ザ・マックス・フィッシャー・プレイヤーズ・プレゼンツ」(1999年)は以下の作品です。


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『グランド・ブダペスト・ホテル』は一寸の迷いなくウェス・アンダーソンの最高傑作と断言できる作品です。ずっと胸が張り裂けそうな思いでスクリーンを見つめていました。この作品はウェス・アンダーソンの最高の到達点であり、新たなフェーズに入ったことを告げています。この若さでここまでのことを成し遂げてしまったのか、、と言葉を失くすのと同時に、ウェス・アンダーソンの旅はまだまだ続くんだ!ってことが、どれだけワクワクさせてくれることか。泣く。



*告知2


「バウスシアター再生計画」のHPに文章を寄稿させていただきました。バウスシアターという空間に一歩足を踏み入れたことがある人なら分かると思うけど、まず空気が違う。いろんな人の思いが音響の中で縫い合わされて、どんどん更新されていった空気なんだ。きっと。バウスを失ってしまったら世界はつまらなくなってしまう。


http://bausonbaus.s2.weblife.me/message/pg69.html

zom3zom3 2014/05/26 21:02 まさかユリイカに寄稿されていたとは!早速本屋さんでかけてきます。

maplecat-evemaplecat-eve 2014/05/26 22:14 ありがと〜。