Hatena::ブログ(Diary)

maplecat-eveの日記

2017-01-30 『Jackie』/Pablo Larrain

[]『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(パブロ・ラライン/2016)

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『Jackie』


『ジャッキー』に寄せられた言葉で、ナタリー・ポートマンがインタビューで語った言葉に敵う批評はありえない。曰く、「聡明なジャクリーンは自分が記者に語る言葉がそのままアメリカの物語になることを知っていた」。そう、『ジャッキー』はジャクリーン・ケネディの辿った数奇な運命よりも、彼女の創り出したアメリカの「物語」に光を当てる。大衆の目の前に出るためにリハーサルを重ね、鏡の前で有名なピンクのシャネルのスーツを着て本番に向かうジャクリーンの姿。バレンタインデーに全米で放映された、ジャクリーンがホワイトハウスを紹介する『ホワイトハウス・ツアー』(ホワイトハウスはジャクリーンによって内装を一新。新しいアメリカの理想のイメージを提示した。監督は後に『猿の惑星』を撮るフランクリン・J・シャフナー)の撮影のために、秘書のナンシー・タッカーマン(グレタ・ガーウィグ)と台詞の合わせ読みを繰り返すジャクリーン。新しいアメリカのイメージのために演技をするジャクリーンと、そんな彼女を完全に理解した上で演じるナタリー・ポートマンの凌ぎ合いこそが『ジャッキー』を特別な映画にしている。ファーストショットからどうしようもなく「女優」を感じさせるナタリー・ポートマンの素晴らしさ。『ジャッキー』はジャクリーン・ケネディという伝説のヒロインを描いた映画に留まらず、ナタリー・ポートマンという聡明で偉大な女優を描いたドキュメンタリーでもあるのだ。


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『Jackie』


実際の『ホワイトハウス・ツアー』を見れば分かるとおり、この作品のためにジャクリーンのあらゆる映像や音声に触れたというナタリー・ポートマンの声(声色、発音、アクセント!)の憑かれぶりには鳥肌が立つほど驚かされるが、何より素晴らしいのは、ジャクリーンの亡霊を捕まえようとするナタリー・ポートマンをこの作品が捕まえていることだろう。この作品で強く印象に残るショットは、前半のほぼアップで迫るジャクリーンの悲哀を堪えた顔と、大きめの空間を彷徨う姿を後方から捉えた、ジャクリーンの幽霊のような歩行だ。それはジャクリーンがイメージによって描いた光り輝くアメリカの物語(ジャクリーンの語るところの「キャメロット」=王国)と対を成す、喪のイメージであり、その対照的な光のトーンの変化がジャクリーンの肖像を立体的に浮かび上がらせる。


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『Jackie』


パニックになったジャクリーンが狙撃によって飛び散ったケネディの肉片をかき集めて、シークレットサービスが大統領夫妻を守るため車によじ登るーーーケネディが暗殺されたときの映像を思い浮かべることのできる私たちは、あの時、あの車が止まらずにそのまま走り続けていた風景までは知らない。『ジャッキー』におけるジャクリーンの彷徨は、「キャメロット」というイメージを作り出してきた彼女の王国が崩れていく、足を失った心象風景であり、対照的に葬列さえもが「キャメロット」という王国を維持しようとしたジャクリーンの聡明なるイメージ=演技の選択なのだ。その演技は想像を絶する悲しみの上に成り立っている。「キャメロット」という王国を去る際にグレタ・ガーウィグが無言で語りかける仕草。カメラの前で演技をすることそのものに向けられたそのオマージュを思い出し、静かに黙祷を捧げる。演技というものが、怒りや悲しみの上に成り立っていることに。


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『Jackie』


『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』は3月31日公開。

http://jackie-movie.jp


追記*オリバー・ストーンの『JFK』とエミリオ・エステベスの『ボビー』は自分の中でもJFK映画の大・大・大・金字塔。ここに『ジャッキー』が加わることの豊穣さ。記事で触れたジャクリーンが案内する『ホワイトハウス・ツアー』はYoutubeで見れます。『ジャッキー』見たあとに見るのがいいです。ミカチュー(Mica Levi)による劇伴は、劇中のグレタ・ガーウィグ(本当に賞賛すべき名演だと思う)やジョン・ハート(追悼!)のように、どこまでもサポートアクトに徹してて素晴らしい。

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Jackie

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2017-01-20 『The Neon Demon』/Nicolas Winding Refn

[]『ネオン・デーモン』(ニコラス・ウィンディング・レフン/2016)

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『The Neon Demon』


ネオン・デーモン』を撮るにあたって、カメラマンのナターシャ・ブライエ(あの美しいホセ・ルイス・ゲリンシルビアのいる街で』を手がけた名カメラマンだ)はジェームズ・タレルの光を参考にしたという。『ネオン・デーモン』における光の図形は、ジェームズ・タレルを経由して、その変形する図形=美の形をオプ・アートの「めまい」の作用にまで源泉を辿る。デザイナーロベルトによって「唯一の美」と定義された少女ジェシーエル・ファニング)は、意識/無意識のギリギリの狭間でコントロールされていた己の美を、未知の体験によってコントロールの効かない領域にまで「変形」させてしまう。オプ・アートにおける「めまい」のようにジェシーの体に入り込んでくる様々な光の模様。モデルたちの顔が明滅するあの美しくも不気味なパーティーシーンにおいて、鏡の国に迷い込んだアリスのようなジェシーの体に、閃光のような光が貫通するのは、象徴的だ。いわば、ジェシーは光によってその美しい身体を侵されてしまう。『ネオン・デーモン』において光とは侵入者=悪魔に他ならない。そして光を感知するもの、それが目だ。


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『The Neon Demon』


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『Henri-Georges Clouzot's Inferno』


かつてアンリ=ジョルジュ・クルーゾーは呪われた未完の傑作『地獄』において、ロミー・シュナイダーの美しい体に複数のネオンの光を照射することで"地獄"を表出させた。当時のオプ・アートに影響された『地獄』は暗転した世界における、めまいを起こすような光の侵入=侵食によってロミー・シュナイダーを次々とメタモルフォーズさせていた。変身物語としての『ネオン・デーモン』。岡崎京子ヘルター・スケルター』のごとく整形に整形を繰り返すモデル、美の怪物ジジ(ベラ・ヒースコート)は、自然の美であるジェシーと対置されるが、何よりも脅威であり、悪魔であるのは疑いなくジェシーの方だ。ネオンの光の貫通(儀式のようである)によって体を侵食されていくジェシーは、その度に美のバージョンアップを繰り返す。オーディション会場で既に「みんながわたしに憧れる」存在だったジェシーを涙目で見つめるサラ(アビー・リー)の無言の視線が素晴らしい(シーンが変わるとショットの中心にサラの羨望・嫉妬・敗北の視線がある)。このとき既に写真家ジャックによって、全身を黄金に塗られ、月そのものへのメタモルフォーゼ通過儀礼を済ませていたジェシーは、他のモデルたちの敵わない領域にその存在を踏み入れている。子供の頃から月に憧れ、月に語りかけていたジェシーは無意識の内に月そのものになっていた。


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『The Neon Demon』


ただ一つの発光体へとメタモルフォーゼを遂げたジェシーの運命は、終盤にもう一つの美を手に入れることになる。美しいファーストショットと呼応するジェシーの運命は、ジェシーの身体をも超え、どこにでも行くことができる旅をはじめる。通貨は旅をする。ロベルトの「美は通貨だ」という言葉が超越的に反響する。そのとき、ジェシー視線は、美しい生にも美しい死にもなれなかった女の子たちに無言の切り返しショットとして向けられる。プールの底から。同時に、夜の空から。不在の切り返しショット。それはかつてジェシーが子供の頃、月に語りかけていた言葉とノスタルジックな反響を起こすだろう。ハロー、ムーンライト。ドゥ・ユー・シー・ミー?(わたしが見える?)


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『The Neon Demon』


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Elle Fanning & Nicolas Winding Refn


追記:『ネオン・デーモン』と10本の映画リストの記事。直接的なレファランスとしてはダリオ・アルジェントの『サスペリア』が第一に挙げられるけど、この中では個人的にはトニー・スコットの『ハンガー』と、「旅をする眼球」という意味でアーヴィン・カーシュナーの『アイズ』が近いと思った。前者は大好きな作品。デヴィッド・ボウイカトリーヌ・ドヌーヴ共演による傑作。ハリウッド内幕物(大好物)として近似性を感じる作品は正直言われるほどないかなと思います。むしろケネス・アンガーの著書『ハリウッド・バビロン』を読んでいた方が、想像力の下敷きとしては、いろいろ広がっていくので面白い。ちなみにレフンがエル・ファニングに見せた映画はマーク・ロブソン『哀愁の花びら』とラス・メイヤー『ワイルド・パーティー』。ご参考までに。

http://flavorwire.com/571869/10-films-to-watch-in-anticipation-of-nicolas-winding-refns-the-neon-demon


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ハリウッド・バビロン ?

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2017-01-09 『Nocturnal Animals』/Tom Ford

[]『ノクターナル・アニマルズ』(トム・フォード/2016)

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オールスターキャストによるトム・フォードの新作『ノクターナル・アニマルズ』は、恐怖を美の次元に引き上げた上で宙吊りにするノワール映画の傑作だ。『シングルマン』のコリン・ファーストレードマークであるメガネをかけている間、どこかフェリーニ映画のマルチェロ・マストロヤンニの幻影を身に纏っていたように、また、大きな壁一面の『サイコ』の広告が恐怖の空を召喚していたように、おそらく相当な映画好きであることは疑いようのないトム・フォードヒッチコックへの偏愛を公言している)は、『シングルマン』がそうであったように、ヒッチコックが美の次元まで高めた恐怖のコントロールを、現代の、そして彼自身の恐怖の問題へと置き換えている。


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『A Single Man』(2009)

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『Nocturnal Animals』(2016)


『ノクターナル・アニマルズ』(夜行性動物)が、まず何より素晴らしいのは、そのフェティッシュな手捌きがあくまで上品さを身に纏っていることだ。ここでは、まるで香水の付け方を心得た大人による画面の扱いが前面に表象されている。誘惑のトップノートからラストノートでコントロールの効かない恐怖を呼んでしまう非常に危険な香水、その香り。『シングルマン』でアップにされた女性の唇の色温度を変えることで、またはジュリアン・ムーアアイメイクを執拗に撮り続けることで達成されたトム・フォードによる「野蛮な香り」は本作でも作家の烙印のごとくフィルムに漂っている。『ロスト・ハイウェイ』(デヴィッド・リンチ)のごとく真夜中のアメリカを駆け抜ける車のシーンは恐怖と美しさを同じ次元で描く前半のハイライトだが、この物語(別れた夫から送られてきた小説「ノクターナル・アニマルズ」)を読むためにエイミー・アダムスがメガネ(!)をかけるとき、トム・フォードによる「目」の主題は一気に浮かび上がる。


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『A Single Man』(2009)

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『Nocturnal Animals』(2016)

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『Nocturnal Animals』(2016)


シングルマン』を覆った「見たことのない色をした空」が冷戦による時代の恐怖と個人が抱える恐怖を「見えない恐怖」として二重に映していたように、『ノクターナル・アニマルズ』は小説というフィクションの恐怖と、現実のノンフィクションとして迫る恐怖を同時に画面に提示する。『ノクターナル・アニマルズ』において、目撃の恐怖とは、知覚よりも速いスピードで感知する純粋な恐怖の目に他ならない。エイミー・アダムスの目の動きを追う奇妙なジャンプカットの間にこぼれ落ちるもの。それはフィクションに復讐された者だけが身に纏う目なのだろうか。傑作!


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『Nocturnal Animals』(2016)


追記:トム・フォードは役者さんを撮るのが抜群に上手い。『ノクターナル・アニマルズ』は一見映像のスタイルに目を奪われる映画だが、カメラは常に役者さんの魅力に引き寄せられる。特に男性を撮るのが上手いね。ジェイク・ギレンホールは熱演に走るとアル・パチーノのようだし、「ジム・トンプソンの小説みたいだ!」と保安官をノリノリで演じたマイケル・シャノンの素晴らしさ。何よりチンピラの2人に、昔のゲイリー・オールドマンが持っていたような悪い奴の色気がある!


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2017-01-02 2016年ベストシネマ

[]2016年ベストシネマ

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新年あけましておめでとうございます。さて、2016年ベスト。2016年は20本選ぶの楽勝だなと余裕こいていたら、むしろ削るのに苦労しました。ここ数年で一番映画を見れなかった一年でしたが、それでもとても充実したラインナップだったと思います。初めて正確には映画作品としては撮られていない作品をリストに入れました。しかしこれが映画でないなら、いままで自分が体験してきたものは映画ではなかった、と言えるような作品です。2016年は、個人的にはプライベートで酷い年にしてしまって、早く終わんないかなーくらいに思っていた一年だったのですが(笑)、それはそれ。2017年は失った分を取り戻すところから始めようと思います。という決意も新たにさせてくれる、以下、刺激的な映画たち。


1.『ノクトラマ/夜行少年たち』(ベルトラン・ボネロ)

Nocturama/Bertrand Bonello

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2.『クリーピー』(黒沢清

Creepy/Kiyoshi Kurosawa

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3.『ストレンジャー・シングス』(マット&ロス・ダファー)

Stranger Things/Matt Duffer,Ross Duffer

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4.『皆さま、ごきげんよう』(オタール・イオセリアーニ

Chant d´hiver/Otar Iosseliani

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5.『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(ティム・バートン

Miss Peregrine´s Home for Peculiar Children/Tim Burton

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6.『エイト・デイズ・ア・ウィーク』(ロン・ハワード

The Beatles:Eight Days a Week-The Touring Years/Ron Howard

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7.『キャロル』(トッド・ヘインズ)

Carol/Todd Haynes

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8.『素晴らしきボッカッチョ』(パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ

Maraviglioso Boccaccio/Paolo Taviani,Vittorio Taviani

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9.『ピートと秘密の友達』(デヴィッド・ロウリー)

Pete´s Dragon/David Lowery

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10.『ネオン・デーモン』(ニコラス・ウィンディング・レフン

The Neon Demon/Nicolas Winding Refn

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11.『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド

Sully/Clint Eastwood

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12.『Certain Women』(ケリーライヒャルト)

Certain Women/Kelly Reichardt

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13.『ミッドナイト・スペシャル』(ジェフ・ニコルズ

Midnight Special/Jeff Nicols

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14.『Les Filles Au Moyen Age』(ユベール・ヴィエル)

Les Filles Au Moyen Age/Hubert Viel

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15.『ザ・ギフト』(ジョエル・エドガートン

The Gift/Joel Edgerton

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16.『The Fits』(アナ・ローズ・ホルマー)

The Fits/Anna Rose Holmer

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17.『凱里ブルース』(ビー・ガン)

Kaili Blues/Gan Bi

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18.『エブリバディ・ウォンツ・サム!』(リチャード・リンクレイター

Everybody Wants Some!!/Richard Linklater

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19.『ドント・ブリーズ』(フェデ・アルバレス

Don´t Breathe/Fede Alvarez

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20.『裸足の季節』(ドゥニズ・ガムゼ・エルグヴァン)

Mustang/Deniz Gamze Erguven

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1位はベルトラン・ボネロ。『ノクトラマ』を見てから、脳内でファクトリー・フロアの音楽をこの映画のサウンドトラックしちゃってます。地下鉄で聴くと合うんだよね。LGBT映画の傑作『ティレジア』のデカダン〜『サンローラン』のデカダンに至るまで、ボネロの描くデカダンスの趣きは大きな変還を遂げていて、作品を重ねるごとにどんどん「遅延された自殺」にフォーカスされている。若者たちによるテロの実行よりも、退屈しのぎの遊戯で多くの時間を遅延させる『ノクトラマ』はその到達点ともいえる。長い長い無慈悲なラストシーンは、あまりにも胸が締めつけられた。『クリーピー』には、たまらず久々に2日連続で映画館に通ったほど熱狂してしまった。この映画では、間合いで「侵入」が決まる。


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Nocturama/Bertrand Bonello

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Les Filles Au Moyen Age/Hubert Viel


未公開作について。ローラ・ダーンミシェル・ウィリアムズクリステン・スチュワートの3編で構成されたケリーライヒャルトの新作は、特にクリステン編の素晴らしさに打たれる。女二人がアメリカの舗道を馬にまたがり進む。静かな夜に馬の足音だけが聞こえるそのショットの素晴らしさときたら!ジェフ・ニコルズのタイトルだけでたまらない気分にさせる『ミッドナイト・スペシャル』は、ジェフ・ニコルズならではのストロング・スタイルと、デタラメさが競合する傑作。夜の車が素晴らしい。なんていったってミッドナイト・スペシャルだからね!ユベール・ヴィエルの新作は絵本のようにキュートな作品。ユベール・ヴィエルの作品は現代フランス映画の中でかなり異質だと思う。マイケル・ロンズデールがこどもたちを導く案内役、というところがまたいいね。『The Fits』はボクシング映画がダンス映画になってホラー映画になってSF映画にもなるという、とても面白い作品。演出と競合するカメラがとにかく素晴らしい。『凱里ブルース』は、逆に、長回しの中カメラが暴走するショットもあるけど、それはご愛嬌。ユーモアがあるからね。笑いました。それより劇中でスクリーンに投影される貨物列車のシーンなど、忘れがたいショットに溢れていた。


2016年に公開された作品で、『ブルーに生まれついて』(ロバート・バドロー)、『イット・フォローズ』(デヴィッド・ロバート・ミッチェル)、『山河ノスタルジア』(ジャ・ジャンクー)、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(ノア・バームバック)は昨年のリストに入れたので対象外にしました。昨年のベストは以下にリンクを貼っておきます。


http://d.hatena.ne.jp/maplecat-eve/20160101


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Le secret de la chambre noire/Kiyoshi Kurosawa

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Metamorphoses/Christophe Honore

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Kaze ni Nureta Onna/Akihiko Shiota

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Diamond Island/Davy Chou


リストに入れたくて最後まで迷ったのが、『ダゲレオタイプの女』(黒沢清)、『ヘイトフル・エイト』(クエンティン・タランティーノ)、『あなた自身とあなたのこと』(ホン・サンス)、『追憶の森』(ガス・ヴァン・サント)、『風に濡れた女』(塩田明彦)、『変身物語』(クリストフ・オノレ)、『Marguerite et Julien』(ヴァレリー・ドンゼッリ)、『この世界の片隅に』(片渕須直)、『ダイアモンド・アイランド』(ダヴィ・チュウ)、『ふたりの友人』(ルイ・ガレル)、どの作品も後年、リストに入れなかったことを後悔しそうなほど好きな作品でした。


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In This Corner of the World/Sunao Katabuchi


主演女優賞は大復活のウィノナ・ライダー!と言いたいところだけど、『キャロル』の二人、ケイト・ブランシェットルーニー・マーラ以外考えられません。ルーニー・マーラレオス・カラックスの新作『アネット』に出演。デヴィッド・ロウリー&ケイシー・アフレックと再び組む新作が今年のサンダンスでお披露目と、快進撃にもほどがある。素晴らしいとしかいいようがない。『キャロル』の全身がピンクに火照ったあの体を君は見たか。『ロスト・バケーション』(ジャウマ・コレット=セラ)のカモメは2016年のベストアニマル。映画としてもひたすら「待機」の時間をブレイク・ライブリーの艶で描く意欲作。クラゲのシーンはすごく新しい!


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実は『未来よ、こんにちは』(ミア・ハンセン=ラヴ)を既に見ているのだけど、2017年に劇場で見たときのためにとっておきます(笑)。『未来よ、こんにちは』のラストショットは、今年見たどの映画のラストショットより美しい、とびきりのものでした。来たるべき、未来。


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L´avenir/Mia Hansen-Love


旧作は見逃していたトッド・ヘインズの『ミルドレッド・ピアース』とケリーライヒャルトのとめどなく美しい処女作『リバー・オブ・グラス』。5時間半以上にも及ぶ『ミルドレッド・ピアース』はトッド・ヘインズの最高傑作だと思う。『キャロル』はこの作品なしに生まれ得ない。個人的にトッド・ヘインズとケリーライヒャルトのフィルモグラフィーを処女作から最新作まで追ってみたのも豊かな体験でした。『リバー・オブ・グラス』は処女作でしか撮れない作品。こんなにキラキラ輝いていて、こんなに危なっかしく暴力的な作品はなかなかない。ケリーライヒャルトは学生時代からの友人トッド・ヘインズと共闘しながら(彼女の作品をプロデュースしている)、ガス・ヴァン・サントゴッドファーザーと呼び、まったく作風の違うウェス・アンダーソンに共感を寄せる。個人的にはミア・ワシコウスカケリーライヒャルト作品に出てほしいのだけど、その内ミアの方からアプローチがありそう。おそらく実現します。みんな寄ってくるんだよね。アメリカの役者さんたちの素晴らしいところです。


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Mildred Pierce/Todd Haynes

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River of Grass/Kelly Reichardt


ところで、いま一番待ち焦がれてるのは前作がとびきり素晴らしかったアルベルト・セラの新作!そしてアナ・ビラーの新作も猛烈に見たい!


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La mort de Louis XIV/Albert Serra

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Love Witch/Anna Biller


最後に。デヴィッド・ボウイに始まり、2016年は尋常じゃないくらい訃報の続いた年で、マドンナジョージ・マイケルへの追悼の言葉「2016年なんて、消え去ってしまえ!」に激しく共感する一年でした。ジャック・リヴェットアッバス・キアロスタミ。とんでも級の二人の映画作家がこの世からいなくなった。サム・スミスジョージ・マイケルへの言葉に倣ってこの言葉を捧げたい。「あなたに賛同していなければ、今の自分はなかった」。誰かに心を奪われるということは、その人に賛同することです。いい言葉だなと思った。ジャック・リヴェットとジュリエット・ベルト。この写真は自分にとって本当に特別な写真です。


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Jacques Rivette & Juliet Berto

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Abbas Kiarostami

2016-12-31 2016年ベスト 50枚 〜音楽編〜

[]2016年ベスト 50枚 〜音楽編〜

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2016年はこの一枚こそ今年を代表する一枚!といえる圧倒的な一枚があったというより、全体的にどれも恐ろしく刺激的でハイレベルなポップミュージックに溢れていたと思う。いろんな方が言っていますが、いまポップミュージックはめちゃくちゃ面白いです。しかもその面白さは年々いろんなところに拡大・波及していると思う。特にブラックミュージック!年間ベスト級の作品ばかりでした。1位は誰も選ばなそうだけど、個人体験としてとても大事にしていた音楽なのでこの一択でした。この記事を書く準備の時間がまったく足りてないのだけど、来年に持ち越すとテンション落ちて絶対書かなくなると思うので(笑)、記録として残しておきます。


以下、私の50枚。


1.Oh Wonder『Oh Wonder』

Oh Wonder

Oh Wonder

2016年の頭からとりとめもなく聴いた一枚。Rhyeと比較されるみたいだけど、輪郭が良い意味でハッキリしている。既にポップ・クラシックの風格すらある「Without You」、「Lose it」を繰り返し聴いた。2016年を思い出すとき、このアルバムのモノクロームな感傷を思い出すと思う。

2.Anderson Paak『Malibu』

Malibu

Malibu

フルハウスの熱気に溢れた素晴らしい来日公演だったけど、大のお気に入り「Parking lot」を演らなかったことだけが悔やまれる。ここにはスライ・ストーンもいればジミヘンもいる、G-FUNKだってある。ブラックミュージックのファンな部分が新しい才能によって綜合されている。

3.A Tribe Called Quest『We got it from here...Thank you 4 your service』

We Got It From Here… Thank You 4 Your Service

We Got It From Here… Thank You 4 Your Service

一曲目から「きたきた!」と格の違いすら感じさせる18年ぶりの新作にしてラストアルバム。トライブが大好きだーーー!!って大声で叫ぶだけで感無量です。

4.Childish Gambino『Awaken, My Love!』

Awaken, My Love!

Awaken, My Love!

コズミックな要素はあったけど、ここまで振り切ってくるとは。どこからどう切ってもファンクの熱い血が流れている。

5.Roosevelt『Roosevelt』

Roosevelt

Roosevelt

2016年エレクトロミュージック一番星。Hot Chipのルーズベルトのソロ。ディスコミュージックのブギーな哀愁にフォーカスした曲が特に素晴らしい。

6.Lion Babe『Begin

Begin

Begin

7.Yumi Zouma『Yoncalla』

YONCALLA

YONCALLA

EP集が突き抜けて素晴らしかったので、新譜の安心のハイクオリティぶりに若干戸惑うも、感激のライブですべて帳消し。イントロだけで泣けた。何年か経って今を振り返るとき、僕らのサウンドトラックは間違いなくYumi Zoumaだ。

8.サニーデイ・サービス『Dance To You』

DANCE TO YOU

DANCE TO YOU

「セツナ」は2016年のベストトラック!大人になった彼等の懐の深さを感じる。今の方がずっと好きかもしれない。

9.Hinds『Leave Me Alone』

Leave Me Alone

Leave Me Alone

舌っ足らずな「巻き」の感じを含めてたまらなくパンク

10.The Avalanches『Wildflower』

Wildflower

Wildflower

16年ぶりのセカンド!何も変わってないけど何も変わってないことでアヴァランチーズ特異のカットインは輝きを増す。魔術師

11.Chromatics『Just Like You EP』

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新譜は結局出なかったけど、この素晴らしいEPが聴けただけで!「Just Like You」は純文学のような歌詞の美しさも際立っている。シンプルなんだけどね。故に。いま最も新譜が楽しみなアーティスト。グラス・キャンディの新譜もよろしく!

12.Blood Orange『Freetown Sound』

Freetown Sound

Freetown Sound

13.Danny Brown『Atrocity Exhibision』

ATROCITY EXHIBITION

ATROCITY EXHIBITION

14.Shura『Nothing´s Real』

Nothing's Real

Nothing's Real

マドンナの「Holiday」の再構築みたいなダンスフロア展開に素晴らしくキュンとする。

15.Wild Nothing『Life of Pause』

Life of Pause

Life of Pause

過小評価された感のあるWild Nothingの新譜。キラキラに切ないギターが前面に出ていた以前とは表面的なベクトルが変わったかもしれないけど、本質的なベクトルは変わってない。この深化を支持したい。

16.Kendrick Lamar『untitled unmastered』

untitled unmastered.

untitled unmastered.

17.Weeknd『Starboy』

STARBOY

STARBOY

18.宇多田ヒカル『Fantome』

Fantôme

Fantôme

宇多田ヒカルは構造で聴かせる部分とメロディーで聴かせる部分で、最終的にメロディーの推進力が勝つ人。日本的なソングライターな部分(ユーミンに近いと思うときがある)とエキゾチックな崩れを引き起こすというか。素晴らしい新譜。おかえり、ヒッキー

19.Maxwell『Blacksummer´s Night』

BLACKSUMMERS'NIGHT

BLACKSUMMERS'NIGHT

プログレッシヴ・ブラックミュージック!

20.J.Cole『4 Your Eyez Only』

4 YOUR EYEZ ONLY

4 YOUR EYEZ ONLY

21.Jennylee『Right On!』

Right On!

Right On!

22.Warpaint『Heads Up』

HEADS UP

HEADS UP

2017年、ついに単独ライブだよ!この時を何年待ったことか!

23.King『We Are King』

We Are King

We Are King

24.September Girls『Age of Indignation』

Age Of Indignation

Age Of Indignation

漆黒に漆黒を重ねて厚みを増したゴシックぶりに痺れる。

25.Travis Scott『Birds in the Trap Sing Mcknigh』

Birds in the Trap Sing Mcknigh

Birds in the Trap Sing Mcknigh

26.Parquet Courts『Human Performance』

Human Performance

Human Performance

27.Marching Church『Tellin it like it is

Telling It Like It Is

Telling It Like It Is

Iceageより、ソロの方が好きです。

28.Factory Floor『25 25』

25 25

25 25

「Slow Listen」を地下鉄で聴いているとテロリストになったような気分になる(笑)。ボネロの映画にすごく合うと思う。

29.How To Dress Well『Care』

CARE

CARE

ジョージ・マイケル並の軽快さを手に入れた新譜。

30.Radio Dept『Running Out Of Love』

31.Sunflower Bean『Human Ceremony』

Human Ceremony

Human Ceremony

32.Thee Oh Sees『A Weird Exits』

A Weird Exits

A Weird Exits

33.Frank Ocean『Blonde』

Blonde [Explicit]

Blonde [Explicit]

34.Lemon Twigs『Do Hollywood』

35.Junior Boys『Kiss Me Alnight Ep』

Kiss Me All Night Ep [12 inch Analog]

Kiss Me All Night Ep [12 inch Analog]

36.Nite Jewel『Liquid Cool』/Nite-Funk『Nite-Funk』

Liquid Cool

Liquid Cool

Nite-Funk

Nite-Funk

37.Adrian Younge『Something About april 2』

SOMETHING ABOUT APRIL II [輸入盤CD] [LL030]

SOMETHING ABOUT APRIL II [輸入盤CD] [LL030]

38.Solange『A Seat At The Table』

A SEAT AT THE TABLE

A SEAT AT THE TABLE

39.Japanese Breakfast『PSYCHOPOMP』

PSYCHOPOMP

PSYCHOPOMP

40.La Sera『Music for listening to music to』/

Katy Goodman, Greta Morgan『Take it It´s Yours』

Music for Listening to Music T

Music for Listening to Music T

Take It It's Yours [Analog]

Take It It's Yours [Analog]

41.Beyonce『Lemonade』

Lemonade

Lemonade

42.Porches『Pool』

Pool

Pool

43.La Luz『Weird Shrine』

Weirdo Shrine

Weirdo Shrine

44.Hamilton Leithauser Rostam『I HAD A DREAM THAT YOU WERE MINE』

I HAD A DREAM THAT YOU

I HAD A DREAM THAT YOU

ヴァンパイア・ウィークエンドがどうやって出来てるかを探るのも一興。

44.Kaytranda『99.90%』

99.90%

99.90%

45.Esperanza Spaulding『Emily´s D + Evolution』

46.Frankie Cosmos『Next Thing』

Next Thing

Next Thing

47.The Men『Devil Music』

DEVIL MUSIC [12 inch Analog]

DEVIL MUSIC [12 inch Analog]

48.Cate Le Bon『Crab Day』

Crab Day

Crab Day

49.The KillsAsh & Ice』

Ash & Ice

Ash & Ice

50.Kanye West『The Life of Pablo』

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ただのリストになっちゃったな、、。