Hatena::ブログ(Diary)

maplecat-eveの日記

2014-03-04 『Long, Clear View』

[]『ロング、クリア・ヴュー』(ミア・ワシコウスカ/2013)

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ミア・ワシコウスカの初監督作品、短編『ロング、クリア・ヴュー』がすごくいい!ティム・バートンガス・ヴァン・サントジム・ジャームッシュの撮影の方法を直に経験してきた”若いながらも歴史あり”なミア・ワシコウスカが、とても見晴らしのいいクリアな視点で撮りあげた珠玉の短編だ。脚本の構成、及び、撮影の構成を、主題以外のことには目もくれずに周到に突き詰め、且つ、主題と戯れる「若さ」にさえ成功している。視点を少しズラすだけで物の見え方はまるで変わるよ、といういたってシンプルな発想の元、実験映画で試行するような枠組みを何の気取りもなく成し遂げている。よく考えられた末に至ったシンプルさというべきか、映画自体は物凄く真っ直ぐなんだ。ファーストショットとラストショットのややアクロバティックな撮影による少年の反射。この反射をこちら側に差異として認識させるために脚本と撮影の構成が組まれている。たとえば自分の手を左右の目を閉じたり開いたりして交互に見ることで生まれる、同一の位置からの二つの視線の獲得。だんだんとこの視線の対象(手)が自分のものではなくなっていく感じといえばよいか。さらに視線の対象が自分に向けられた「視線」であった場合、、、。ミア・ワシコウスカの無邪気な試みは、まったくアナログな手段でドッペルゲンガー的な肖像をカメラアイによって創りあげる。これは紛れもなく映画に向けられた映画なのだ。


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最初と最後の画像はロケハン中のミア・ワシコウスカ。いやー、この作品は何かしら書かずにはいられなかった。ミアちゃんのことです、長編はいつか間違いなく撮るでしょう。気長に待ちますぜ。

2014-02-12 LAST BAUS

[]吉祥寺バウスシアターの閉館

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横浜に住んでいた時は爆音映画祭に通うことは長い長い帰り道と合わせてどこかロックフェスに行くようなワクワク感と心地よい疲労感をともなう、ちょっとした旅だった。二年前に国分寺に引っ越してきてからは、吉祥寺バウスシアターは特別な”フェス気分”で向かう映画館ではなくなり、生活の一部、当たり前の風景になっていた。既に映画館に行く=吉祥寺バウスに向かうになって長いこと経っている。だからこのニュースを聞いたときいろいろな思い出より先に、これからどうしよう!、という最早生活の基盤を崩されるような思いだった。正直これから何処で映画を見ればいいのだ、レベルですよ、、。バウスに行くと友人と会えるという確率も異様に高かった。昨年末も『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』を見に行ったとき、山形から帰郷していた大久保清朗さんと偶然鉢合わせたことがあったっけ。バウスシアターにはあの天井の高い空間の特別感と同時に、個人的にはそういった妙にカジュアルなご近所感すら同居していた。


爆音『ローラーガールズ・ダイアリー』を見て、扉を開けると興奮した女の子二人が「ホント楽しいんだけど!」って踊っていた思い出は、いまでも脳裏に焼きついています。いま思えば、あれはバウスでしかなしえないような光景だったな、と涙が出ます。この映画の初見のときと同じく、大好きなヴィヴィアンガールズの2ndを聴きながら長い帰り道をドキドキしながら帰った、あの思い出。


そのままのテンションで書いた爆音『ローラーガールズ・ダイアリー』の記事。

http://d.hatena.ne.jp/maplecat-eve/20110630

2014-02-11 『Bande à part』 rehearsal

[]『はなればなれに』 練習中

ゴダールはなればなれに』のマディソン・ダンスのリハーサル風景。”工事中”ならぬ”練習中”。一生懸命練習して本番に備えるのだ。リハーサル風景っていいよね。


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いざ、本番!


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こちらは『ロシュフォールの恋人たち』のテーマ曲を練習するカトリーヌ・ドヌーヴフランソワーズ・ドルレアック姉妹。あのトランペットファンファーレを響かせるための練習中。


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2014-02-09 『The Cat Cries In The Silent World』

[]『沈黙の世界で猫が泣く』への批評文

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作品を公開してからのこの一週間、バタバタと、得がたい経験をさせてもらいました。いくつか批評・感想をいただいたことの嬉しさ。リツイートされることが、こんなに嬉しいことだったなんて!、まったく知らなかったことです。思わず、みんな、愛してる!って言いたくなるところだよ(笑)。めちゃくちゃありがたいです。いつも感想を言う側にいるからか、今回は本当に得がたい体験をさせてもらっています。毎日が楽しい。本当は全ての感想の全文をアップさせていただきたいところです。自分で語れる範囲の外にある言葉で指摘される喜び、具体的な指摘(ダメ出し含む)、すべてが心から嬉しいです。とてもありがたいことに、この作品に関して共通して言ってくれることは、キャストの「顔」が皆いいという感想です。なんかそれだけで撮ってよかった、発表してよかった、という気持ちになります。主演してくれた女の子の言ってくれた言葉を一生忘れることはありません。演出の技術的に至らないところは、撮影当時の自分の限界です。でもそこを含めて振り返ることができる。それは実作どうこうの話では収まりません。感想を書いてくれた(言ってくれた)方のことは、10年前はまったく知らなかったわけで。その10年間の重みを強く感じているし、いまのことは後でまた振り返ればいい。今年のテーマは「きちんと振り返ること」なので、ちょっと動き出した感じすら受けています。「無駄なことなんて一つもない!」は10代の頃から自分に言い聞かせるように思っていることですが、いまそれを直に肌で感じているところです。LOAD SHOWにアップされたときは60%ぐらいの本気度で「見ないでください(笑)」と言ってましたが、考えが変わりました。


映画同人誌「DVU」の中山洋孝さんからいただいた批評文を転載させていただきます。この映画に関して初めて受け取った批評なので、涙が出るほど嬉しかったです。中山さん、紹介許可の快諾ありがとうございました!


沈黙の世界で猫が泣く』を見た。俳優たちの顔が、佇まいがどれもいい。初めて見るわけではない佐藤佐吉さえ、この映画では愛おしい。

肝心なところが撮られなかったのではないかとも思う。特に猫は段ボールのなかのアップしか出てこないし、本当に猫にあんなことしたら助かるわけないのだから、仕方ないけれど、三宅さんが『スパイの舌』でマネキン落とした冴え方に比べると、そういうところ全く人のこと言えないけど自主映画らしいなあと思ってしまった(ごめんなさい)……。やはり「落下」は映画の肝でありつづけるのか。

しかし「自主映画」を見るときに味わえる幸福感がここにはある。少なくとも「波はどこにでもある」ということより、こうした映画がどこかにいるからこそ、人は映画に狂うのだ、映画は死なないのだ(もしくはゾンビや亡霊になった)ということが証明されている。作り手がどんな映画を愛し、狂ったかがわかる。あの廃棄されたバスに熱をあげたのも伝わってくる。

彼らの取っ組み合いが思いのほか長く続く時、回転椅子を使って猫の鳴き真似をする時、兄が自転車で延々回り続ける時、兄の恋人が「本当にかわいいー!」と言う時、りんごの皮をむくためのナイフを手にした時、ヒロインの背景に漫画の原画が並んでいる時、ワインの栓を抜く時、歌う時、こうやって友人を、仲間たちを撮るために一度でも映画をやってればよかったと、人に嫉妬や後悔をさせるような、まさに青春の映画だと思う。映画の真似だけしていれば撮れるものではない。猫はほとんど映っていなかったが、ここでは猫が鳴くのではなく、泣いている。

僕も見ながら「本当にかわいいー!」と兄の恋人のように何度も言いたくなった。


http://loadshow.jp/film/40

2014-02-02 『The Cat Cries In The Silent World』

[]『沈黙の世界で猫が泣く』

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LOAD SHOWで拙作『沈黙の世界で猫が泣く』を配信公開させていただきました。入選は叶わなかったのですが、まあ、自分の作品というのは駄目な子でもかわいいものです(笑)。かなりの時間が経ってるから、そう言えるのかもしれません。編集しながら、う〜んう〜んって何度も繰り返してきたし、駄目なところとか自分が一番よく知ってるから(笑)。この度は上映の機会を与えていただきありがとうございました。何年か前にneoneo座で1回しか上映してないしね。恥ずかしくて、見てください、とは言えないんだけど、嬉しいです。とっても。


LOAD SHOW公式サイト → http://loadshow.jp/


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これ撮影自体は10年前にしていたんです。あのときの自分の経験値とか、あれからの経験値(映画体験のみならず人生においてのね)、あの頃大好きだったもの、あれから大好きになったもの・・・。個人的にいろいろ感慨に耽ってしまいます。昨年12月は無職だったので(しんどかった!)、ちょこちょこ細かい手直しをこっそりしていました。無事新たな職場も決まり、最近は仕事を覚えるのにいっぱいいっぱいな日々です。ブログなので包み隠さず気持ちを綴ると、嗚呼せつないなぁ、と思うのは、もう映画を撮ることはないのかな?と思うことです。あの頃とは自分を取り巻く環境、何より周りの友人たちの環境が変わっちゃったからね。映画は一人では撮れません。だから寂しくないと言ったら嘘になります。


いつまでアップしていただけるのか分からないのですが、料金はこちらから指定はしていません。気持ち的には100円でもいいんだけどね。ただLOAD SHOWさんのこのシステムは素敵だと思うよ。自分のではなく、然るべき作品にちょっとでもお金が入ればいいと思う。プロフィールの写真はギリギリの間に合わせで、自撮りに慣れてないので慌てて免許証の写真にしちゃいました(酷い!笑)。予告編の画質が悪いのは見た方はごめんなさいです。


追記*いま付き合いのある友人、連絡先も知らなくなってしまった友人、映画を手伝ってくれた方にこの場を借りてお礼の言葉を。ありがとう。感謝してます。