鞠小路グリーン劇場 このページをアンテナに追加 RSSフィード

◆おことわり◆
当館では原則として文中の敬称は省略しております。 他意はありませんので、悪しからずご了承ください。

2018-04-21 (土)

[][]コレヒドール戦記 ★★★

They Were Expendable
1945 スタンダードサイズ 135分
DVD

コレヒドール戦記 日本語吹替版 ロバート・モンゴメリー ジョン・ウェイン DDC-049N [DVD]

■第二次大戦の終戦後に製作されたらしいジョン・フォードの戦記映画。確かに、この映画、完全に戦記喪失映画なので、さすがに戦時中には作れないだろう。

■フィリピンに配備された魚雷艇隊の将兵たちを主人公として、戦友たちが散り散りになっていき、魚雷艇じたいも撃沈されたり、陸軍に徴用されたりして数を減らしてゆく様子を、ジョン・フォード特有の詩情と重苦しいやるせなさの中に描いた不思議な映画。消耗品としての兵隊や艦船の姿を無常感すら感じさせるタッチで描く。

■戦場で知り合った美貌の看護婦は行方不明となり、戦地に残された戦友たちを迎えに来る友軍機はもうないだろうというやるせないラスト。そこに、マッカーサーの「アイシャルリターン」の声明が字幕で被るけど、実に皮肉に聞こえる仕掛け。1万人将兵の憧れと言われる美人看護婦を招いてのささやかなパーティの場面など、さすがに名匠の演出だし、ジョン・ウェインとのデート場面も美しい。でも、ちゃんとリアル志向の照明設計になっているから感心。

■魚雷艇の活躍が実物による撮影とミニチュア撮影を交えて描かれる。日本軍の艦艇は遠景で描かれるが、水柱の大きさや、爆発の火花や爆炎の大きさから、かなり巨大なミニチュアが使用されているに違いない。実際、かなりよくできていて、かなりリアル。

2018-04-20 (金)

[][]トレイン・ミッション ★★★

The Commuter
2018 スコープサイズ 105分
イオンシネマ京都桂川

トレイン・ミッション

■お馴染みのコレット=セラとリーアム・ニーソンのコンビによるサスペンス活劇。まあ、たいして意外なことは起こらないけど、間違いなく面白いアクション映画。今回は通勤電車が舞台というミニマムなスケール感ながら、クライマックスには大規模な脱線事故まで見せる。

■謎の女からある乗客を見つけ出せば大金を渡すという怪しい申し出を受けたばかりに、さんざんな目に合う60歳男子の災難劇。しかし、ただの初老の男ではなく、元警官だからなめんなよ!とリーアム・ニーソンがあたふたしながら仕組まれた罠に立ち向かう。

■正直、通勤電車の乗客たちの抱えるドラマがもっと簡潔に上手く描きこまれたら傑作になったかもしれないが、そのあたりは今回の脚本はちょっと怪しい。正直、第1幕のあたりはちょっと退屈。乗客が最後尾の列車に絞り込まれたあたりからやっと図にのってくる。でも、このあたりの塩梅はコレット=セラの計算かもしれない。その後に、電車転覆の大スペクタクルを見せておいて、真のドラマ上のクライマックスはその後に配置される。このあたりの呼吸はやっぱりうまい。最期の最後にやりたかったことがわかる。今回はそれがやりたかったのね、コレット=セラ。

■事件の真相は単純なものだけど、そこは配役の面白さでカバーしている。配役の妙だけでなんとなく納得してしまうから、気が利いている。『死霊館』のファンはとにかく必見ですよ。

■とにかく、ヴェラ・ファーミガ、最高、パトリック・ウィルソン、最高。正直、リーアム・ニーソンの演技としてはマンネリ気味だけど、脇役の配役の妙で、押し切った感がある。

2018-04-14 (土)

[][]悪の花園 ★★★

Garden of Evil
1954 スコープサイズ 100分
DVD

悪の花園<特別編> [DVD]

■20世紀フォックスの大物職人監督ヘンリー・ハサウェイによる異色の西部劇。シネマスコープという新フォーマットの最初期の映画の一本。これ、何がおかしいと言って、ファム・ファタールとして男たちが皆惚れるというヒロインが全く、魅力がなく、説得力がない。それを無理やりお話を進めようとするから、全部台詞で説明してしまう。ヒロインはスーザン・ヘイワードなんだけど、プライベートが大変であまりやる気がなく、監督と衝突して、監督も意地悪く接するという険悪なものだったらしい。

■「悪の花園」を目指す途中に断崖絶壁があり、クライマックスのアクションもここで展開するのだけど、大々的に作画合成が使われる。ただ、同じアングルのカットが何回も登場するのは、明らかに予算の都合だろう。ヘンリー・ハサウェイは予算を厳守する監督として重用されたらしい。

■しかし、なかなか面白い活劇で、さすがにアクションの見せ場のメリハリは見事。アパッチの襲撃シーンも、演出プランだともっと大勢の軍勢だったらしいが、手違いで人数が集まらなかったというわりに、巨大スクリーンを信頼した堂々たる引きの絵は、やっぱり凄い。

■そして、ラストの「地球が金の塊なら、・・・」という人を食った謎の決め台詞。単に杜撰な映画ではなく、かなりユニークな狙いを持った映画であることは確か。シネマスコープ用のスペクタクル映画のはずが、実に小さな何か変なものを見つけて帰ってきたようだ。でも『悪の花園』というタイトルは腑に落ちないなあ。