鞠小路グリーン劇場 このページをアンテナに追加 RSSフィード

◆おことわり◆
当館では原則として文中の敬称は省略しております。 他意はありませんので、悪しからずご了承ください。

2017-10-15 (日)

[][]バーニング・オーシャン ★★★

Deepwater Horizon
2016 スコープサイズ 107分
DVD

バーニング・オーシャン [Blu-ray]

ピーター・バーグ監督によるメキシコ湾原油流出事故を描いた実録映画。なんだけど、非常にドラマが薄い実録映画で、事故をめぐる人間関係を描いたドラマではなく災害イベント映画といった作りになっている。正直ドラマとしては『バトルシップ』の方が面白いよね。

■事故が発生するまでの油臭い男たちのぶつかり合いは非常に見ごたえがあり、配役の豪華さもあってグイグイ見せるが、事故が起こってしまえば、あとはいかに脱出するかというアドベンチャー映画になってしまう。実質95分くらいの映画なので、それは狙い通りだろうが、ちょっと残念。

■とうぜんながら大災害の情景はほとんどがILMによるCGで、分かってはいても物凄い迫力で圧倒的。炎の造形はリアルそのもので、実写にしか見えない。ILMのCGはキャラクターを描くと演技がオーバーアクトでいかにもアニメ的な動きになってしまうのだが、こうした素材ではまったく見事なクオリティを見せてくれる。圧巻。

カート・ラッセルの見せ場が多いのも楽しいし、何年振りかで観たマルコビッチがだいぶん痩せているのが気になるが、ネチコイ芝居がたっぷり堪能できて、こちらも幸せ。

2017-10-14 (土)

[][][]アナベル 死霊人形の誕生 ★★★

Annabelle: Creation
2017 スコープサイズ 110分
MOVIX京都

アナベル 死霊人形の誕生

死霊館シリーズのスピンオフ作品で『アナベル 死霊館の人形』の前日譚。アメリカではすっかり死霊館ワールドが定着したようですな。前作はなかなか見どころのある作品でしたが、本作はどうでしょう。さすがに死霊館ワールドだけあって、ビッグバジェットな怪奇劇で、舞台となる大きな屋敷もセットだし、美術や装飾も贅沢で、撮影も美しい。まあ、撮影は少し美しすぎるので、もう少し荒んだ色調を加味してほしい気はするが。

■アナベル人形の誕生(製作)と呪われることになる由来を描き、1957年をメイン舞台として、人形師の屋敷に移ってきた孤児たちが悪魔に狙われることになる。時代色を濃厚に出すのがこのシリーズの美点で、楽曲の選択もとうぜんテーマに関わっている。本作のテーマは、愛するものを喪うこと。このテーマが過去と現在で重ね合わせられている点が脚本の上手い工夫。なので、死霊館本体では基本的に悪魔から家族は解放されて終わるが、本作は明確に悲劇である。そこも新しいチャレンジになっている。

■ただ、足の不自由なジャニスがあんなことになってしまうまでの時間配分が明らかに過剰で、似たようなナイトウォークの場面が頻発するため冗長になっている。監督の意図として怪奇映画的抒情を狙ったのはよくわかるし、美術や撮影がリッチなので見ごたえはあるのだが、明らかにもっと短くできるはずだ。全体にドラマが薄く見えてしまうのも、テンポが悪いためでもある。そもそも、ドラマがあるのは人形師夫婦の側であって、本来なら1945年の出来事を正面から描けばよかったはずだ。あんな事件があった家にわざわざ孤児たちを招じ入れる展開も相当無理がある。

■というように、あまり出来がいいとは思えない本作だが、誠実にまじめに作っているのはわかるし、最後に『死霊館の人形』に接続するとさすがに気持ちがいいので、終わりよければすべてよしで、良作といってもいい気になるよね。深夜の井戸に人形を捨てに行こうとする場面などもキャメラマンの腕の見せ所だが、実際、かなり良いルック。デジタル上映のおかげで(?)野面が少々明るすぎるのが残念だが、ああいういかにも怪奇映画的な設定の画を見せようとするところがこのシリーズの美点で、無条件に支持したい。

2017-10-13 (金)

[][]猿の惑星:聖戦記 ★★★

War for the Planet of the Apes
2017 スコープサイズ 140分
Tジョイ京都

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) (竹書房文庫)

■何となく本作で完結するのかと勝手に思っていたのだが、さすがに猿の惑星だけあって、まだまだ続きます。完全に年代記を作る気ですな。巨大な壁を構築して外敵を防ごうとする狂った大佐たちを砦ごと猿たちがぶっ飛ばすという寓意的なお話。しかし、お話の中盤が監獄で猿たちが強制労働させられるというもので、殺風景な背景のなかでCGの猿たちが右往左往するだけという、異常に見栄えのしない映像が続き、よほどの猿好きでなければ、悪いけど退屈するよね、という変な映画。

■監督がマット・リーヴスなので、クライマックスにはいかにもCGらしい大掛かりな破壊シーンを見せてくれるので、劇的なカタルシスは万全なのだが、そこまでが長い長い。人間が演じていればまだしも観ていられるものの、ものが猿ですからね。どうしても冗長になってしまう。さらにウディ・ハレルソンの大佐のキャラクターに面白みがなく、演技的にも見せ場がないので、ドラマ的な緊張感が生じない。サスペンスも生じない。まさにそれこそが冗長の正体。

■脱獄映画や聖書映画を下敷きにしたのはよくわかるけど、このシリーズ、もっと人間の役者を絡ませないと、さすがに観るのが厳しいと思うなあ。でも今後、もっと人間は退化していくわけで、大丈夫なのか、続けられるのか、正直疑問だ。