鞠小路グリーン劇場 このページをアンテナに追加 RSSフィード

◆おことわり◆
当館では原則として文中の敬称は省略しております。 他意はありませんので、悪しからずご了承ください。

2017-12-09 (土)

[][][]フッテージ ★★★☆

Sinister
2012 スコープサイズ 110分
AMP

フッテージ(字幕版)

■硬派なオカルト者として『エミリー・ローズ』を撮ったスコット・デリクソンのブラムハウス製作による低予算オカルトホラー映画。しかし、さすがはスコット・デリクソンだけあって、稚気ではなくガチガチに大真面目に怖がらせにくるから、結構疲れる。ところどころにショッカー演出を忘れはしないが、とにかく闇の気配の濃厚な悪意は、ジェームズ・ワンの諸作や他のブラムハウスの作品にも無いものだ。

■4人の家族が首を吊って死ぬ事件があった家に越してきて事件をノンフィクションに仕上げようとする作家が、屋根裏でその事件だけでなく他の殺人事件をも記録した8ミリフィルムを発見することから、狂気の世界に浸食されてゆく・・・

■お話の展開自体はあまりスムーズではなく、ストーリーテリングとしてはぎこちない感じもするのだが、クライマックスにむけてちゃんとひと捻りも用意されて、複数の事件を串刺しにする共通項が発見される。古代バビロニアの邪教の儀式に遡るというれっきとしたオカルト怪奇映画。

■スコット・デリックソンの持ち味は、撮影(&照明)のレベルの高さにある。クリストファー・ノアという撮影監督は初耳だが、非常に優れたキャメラマンのようだ。ブラムハウスの諸作のレベルと大きく超えており、ジェームズ・ワンの比較的ビッグバジェットの諸作にもリアリズムにおいて凌駕している。例えば『ライト/オフ』のナイト・ウォークの場面の退屈さに比べて、本作の闇の諧調の滑らかさや精細さ、リアリティは一目瞭然。ナイト・ウォークのサスペンスがちゃんと機能しているから110分の少々長めのランニングタイムもまったく違和感がない。スコット・デリクソン、やっぱり凄いし、犬の主観で幽霊を描なんて新機軸も意表を突いている。

2017-12-03 (日)

[][][]ライト/オフ ★★☆

LIGHTS OUT
2016 スコープサイズ 81分
DVD

ライト/オフ [Blu-ray]

ジェームズ・ワン製作のホラー映画で、監督はデビッド・サンドバーグ。この後『アナベル死霊人形の誕生』を撮った人だけど、正直なところ、凡才としか感じないなあ。

■『死霊人形の誕生』も昔ながらの怪奇映画らしい闇の魅力の描写に拘りながら、退屈にしかならないもどかしさがあったが、本作もまさに同様。この人の限界だと思う。本作はエリック・ハイセラーという人のオリジナルらしいが、脚本じたいあまり上出来とは言えない。光を嫌う化け物ダイアナの誕生の経緯などもっと怪奇映画的に凝れるところだが、あまり突っ込まないし、結局ヒロインの母親の鬱病がすべての原因という扱いで、しかもあの最期というのは、精神疾患の取り扱いに関して倫理的に問題があると思うぞ。

■怪奇映画的な暗闇の魅力を描こうとすると間延びしてしまうし、ショッカー演出としては全然他のジェームズ・ワン一家に及ばないし、演出的には全く良いところがない。未公開シーンとしてもうひとつのエンディングが公開されているが、正直これはお粗末な蛇足。お話の辻褄も合わないし、カットされたのは正解。おかげで正味70分台という美質を備えてしまった。根本的に脚本がまずいと思うぞ、これ。

2017-12-02 (土)

[][][]ジェサベル ★★★★

Jessabelle
2014 ヴィスタサイズ 90分
DVD

ジェサベル [Blu-ray]

■ブラムハウス製作のホラー映画なので、例によって低予算映画だけど、監督のこだわりで、いわゆる最近のデジタル映画的ホラー映画の手法を控えて、70年代のホラー映画に近い感触を得ている異色作。お話も、まさにロバート・ブロックあたりが書きそうなツイストと残酷味がきいたよくできた怪奇映画。演出的に普通のドラマとして撮られていて、南部の田舎町に戻ったきた娘の心象風景が丁寧に描かれる。ケヴィン・グルタートという人は編集出身の監督らしいが、なかなかセンスが良い。

■交通事故で半身不随になって故郷の南部の田舎町に戻ってきたが、荒んだ生家には亡き母が残したビデオテープが残されていた。そこで母はタロット占いの結果を語りかけているのだが、タロットカードは不気味な予言を示す・・・

■パッケージデザインがかなり奇抜なので誤解されやすいが、実に正統派の南部ゴシックホラーなので、『スケルトン・キー』が好きな人にはたまりませんよ。種明かしからラストの幕切れの鮮やかさも出色で、本来なら後味が悪いはずなのに、なぜか爽快な佳作。撮影はお馴染みのマイケル・フィモナリ。