精霊の守り人 第13話 「人でなく虎でなく」

 折り返し点にさしかかりました。今回もオリジナルエピソードですが、期待以上に良かったです! ここのところ静かな展開が続いて若干たまり気味だったフラストレーションを、前回を助走にして、バルサが隠し持ってる狂気*1の側面とともにどーんと解放してくれた感じです。私も熱気にあてられました(クーラーが壊れたのもあります)

  • バルサがキレまくり。いいです。「うらぁー」とか「うるせー!」とか吠えてましたね。武人として常に「戦い」に巻き込まれざるを得ない人生を選択してしまったという悲しい性みたいなのが場面場面の表情にもあらわれていたと思います。

画像左上、タンダの家で出発前のエレガントな表情*2が嘘のようなその後の憤怒系変顔の数々。中段左のカルボを呼び出すシーンは「サイトーそいつを寄越せぇー」を彷彿とさせるものがありました。あのときの少佐も鬼の形相でした。

  • カルボの狂った悪人ぶりも味わい深いです。この物語にはドス黒い人がいない!とここまで残念に思っていただけに、うれしい限りです。やっぱりこういう人がいないとお話が面白くならないです。冒頭、ルチャの土俵に残るバルサの足形を砂でなぞる場面から始まりますが、「この日をずっと待っていた」「お前を斬ることだけを夢想し、」「いいぞ、その目だ。」「お前を斬って過去を清算する。そうしないとどれだけ修行をしても心が前に進まんのだ。」「貴様の相手は俺だけだ。俺だけを見ろ」等のセリフは、憎しみと愛情は紙一重なんて言葉を想起させてくれます。それだけに、行為*3の最中にバルサから「ちっぽけ」と言い放たれてしまってからは、ぽろぽろと内面から崩落してしまったようですね。しかし、あの作戦がかつてバルサにやられた事っていうのには苦笑い。バルサ姐さんも結構黒いです。カルボはイメージとしては松重豊さんを思い出しました。

  • 先生と馬方の少年もこのエピソードの良い狂言回しに。それぞれにそれなりの真っ当な言い分があるんですね。先生(声:麻上洋子さん)は地味に印象に残る存在になりました。
  • 槍対決のアクションも、両者義体化してるのか?って思う瞬間もあったりしましたが、スキがなく息を飲むものがあったと思います。こういう一対一の組み手というかドラゴンボールの頃からあるものすごい早さで延々やりあうというのが大好きです。頭突きもあり。

  • 11話の「花酒をタンダに」の時も書きましたけど、やっぱり風景が全般にわたって美しいですね。雲の様子とかは特に。夕陽の↓このシーンなんかは印象的でした。


  • チャグムの事を宮に知らせるぞと脅す相手を、殺さずにどう口封じするのかというのがポイントのひとつでしたが、なるほどこういうオチですかと結果オーライ感もありますが、この話全体の出来の良さにねじふせられました。
  • 最後に、今回のエピソードは緩急のテンポもよく、ギュッと詰まった二十数分だった思います。原作では最初に狩人と死闘を演じた以降は最後のクライマックスまで戦いのシーンがないんですよね。殺さずの誓いやカルボという濃いキャラ、バルサの陰の部分の激しい表出など、原作の基本設定を揺るがしかねない演出は少々ギャンブルの気もあったと思いますが、私にとっては、テンション下がり気味だったところを又グッとひき戻してくれる、そしてバルサという人間像をまたひとつ複雑なものにしてくれる出色の回になりました。
  • ※興奮気味に画像を多用してしまいましたが、問題あるかもしれません。その場合はご連絡願います。あと録画時の問題により、ノイズ除去とか画像の明るさやアスペクト比に補正をかけてますので、元映像には忠実ではない部分があるかと思います。

*1:人間誰しも持ってます

*2:この部分中村悟さんですよね

*3:戦闘行為です!