あまり明るい気分にもなれない昨今。ディストピアみたいな社会の雰囲気が何だかよくないから。とはいえ雰囲気が良かったことなんて以前にあったかな、と考えてみると特段思いつかない。レコードを聴いている瞬間は少なくとも幸せだけど。
そう、今日はダニー・コーチマーの新作CDを買ったときに封入されていたイベントの参加券があったので、少しの間を縫って駆けつけた。ダニー・クーチ、リー・スクラー、ラス・カンケル、スティーブ・ポステル、ワディ・ワクテルという神レベルの伝説のミュージシャンが車から降りて勢揃い。いやはや圧巻。リー・スクラーが圧倒的に感じの良い人だと思った。色んなミュージシャンから好かれる理由もわかった。握手する手も力強くて。ボックス・タイプのCDジャケットよりは…と思い、ポストカードの写真にサインをもらった。20日のZEPP東京のチケットはまだあるみたい。
帰りに渋谷のレコファンで見つけたのがテネシー・アーニー・フォードのLP『Ol' Rockin' Ern』。550円。最高ですね。オールド・ロッキン・アーニーというタイトルだけれど、ロッキン・カントリーの代表曲を再演した1957年のアルバム。パイプを咥えたジャケもヒップなんだけれど、音も最高にヒップだった。テネシーといえばマール・トラヴィスの「16トン」をヒットさせていることでも知られているけれど、ロックン・ロールがヒルビリー/カントリーとR&Bのあいのこだということがよくわかる。カントリー色はあまりなくて、むしろブルーズ、ジャイブ、ブギウギの世界。近年の細野さんの世界といいますか。難しいことを言っていると疲れるので最後は屈託のない音楽に戻っていくものなのかもしれない。