さよなら金時計

金曜日、くもり。


久しぶりに前に住んでいた町へ電車で出かける。もちろん鈍行。
前の部屋に用事があり管理人室を訪ねる。金時計不在、金時計の奥さんが出てくる。最中のおみやげを渡したらすごく喜んでくれた。ちょっとケチケチして最中5個入りのにしたのだがあれでよかったのだろうか。金時計不在だったのは残念だった。最後に写真でも一緒に撮りたかった……(一部フィクションが含まれます)。背後から激写とか……。


さよなら金時計。いい夢見ろよ!歯磨けよ!

などと感慨にふける。



帰り道、車に乗せてもらっていたら高速道路で道の真正面に大きな花火があがった。途中パーキングで花火を見た。なんだかうれしかった。

昔、よしもとばななさんのこの本で、

体は全部知っている (文春文庫)

体は全部知っている (文春文庫)

どんどん時間が流れて行って、疲れているときやしんどいときにふと美しい瞬間が偶然現れて、神様がくれたごほうびだ、と思うみたいな一節があって(うろ覚え)、そのことを思い出した。花火はちゃんと美しく、ちゃんと打ちあがってちゃんと夜空に消えていった。そして火薬のにおい。夏のにおいだった。

どんよりとした朝に向かって咲く、季節外れの朝顔のように美しかった。世界はこんなに美しいのだ。