メディヘン5

時々書く読書感想blog

山本弘『MM9』9=Q?

こおゆう本は買っておかないと後できっと後悔するぞ、ということで年末まとめ買い時に購入。

MM9

MM9

この世界では、怪獣による被害は地震や台風と同様、自然災害として認知されている。
 そんな世界の日本で、「怪獣災害」に立ち向かっているのは、気象庁の中の1セクション、気象庁特異生物対策部(気特対)である。
 彼らは銃の一発も撃ちはしない。怪獣と戦うのは自衛隊の役目だからだ。その代わり、怪獣の出現の報があるや現地に飛び、正体の解明、対処法の検討、進路の予測など、災害を防ぐための活動を行なっている。
MM9@山本弘のSF秘密基地

という著者HPの紹介を読めば、基本設定(アイデア)は一目瞭然。これは、買いだな、と。

また、タイトルにもなっているMM=モンスター・マグニチュードというのも、よいアイデアかと。ようは怪獣の規模(?)を表す指標で、怪獣と同体積の水のトン数を基準に定まるとされる。

MM8は体積を水に換算した場合の重量1600〜4000t。典型的な二足歩行型爬虫類怪獣の場合、身長40〜50mになる。過去に観測された最大の怪獣はMM8.9である。
(同上)

ということで、ウルトラマンに登場するようなヤツは、だいたいMM8台ということでしょう。で、MM9クラスは相当な大怪獣だということが、パッと頭に入るというしかけ。(しかし、体積で決まると言うと、天を覆うほど巨大化した後のバルンガはMMいくつになるのだろうか)

さて、MMが0からあるということで、登場怪獣も小さめのものから大怪獣までヴァリエーションが様々。主人公達がドンパチ役ではないということもあって、これは、ウルトラQだなぁと懐かしくなった次第。自分としては世界観の説明と気特対の典型的活躍を描いた第1話「緊急! 怪獣警報発令」が一番の気に入った。TVの連続物の第1回が一番ワクワクして楽しい、というのと同じかも。

ただ、ちょっと残念だったのは、ちょっと捻ったような怪獣が多くて、オーソドックスな(たとえば、それこそ二足歩行型爬虫類型とかの)怪獣が登場しなかった点。こういう"普通の"怪獣が実在したとしたら、どう対応し始末するのが妥当か、という思考実験に興味があったんだけど……

ラストを「人間原理」で終わらせているのは、理屈っぽく書いているけど、ようは夢落ちということかと。奇麗な終わり方でよかったのでは。

bk1)(本ブログ・SF小説