物欲がなくなっちゃ、生きてる甲斐もないらしい


結構でかいダンボール一箱分の本を売り払った。ひと山幾らにしかならないと分かっていても、時々無性に売りたくなる。


物を手放すってのはどういうことか。可能な限り身軽でいたい、という願望の表れだろう。コレクター気質でない自分には、精神的に所有していられる冊数に限界がある。レンタルスペースを借りるとかで物理的な容量を増やしたところで、多分それはあんまり変わらない。自分にとって、思い立った時に手が届く範囲にないものは、所有しているとは言えない。限界があるからには、新しく物を購入するためには古いものをある程度吐き出さないといけない。その為に、物を捨てるんじゃなく、売って、たとえ1冊10円だろうとそれで得た金銭を新しい物につぎ込む、というのはなんだろう、儀礼として必要なことなんじゃないかと思う。じゃあ何を売るかというと、自分が所有するべきでなかったものを売る。面白かったかどうか、は関係ないとは言わないけど、そこまで重要じゃない。所有するべきかどうかってのは、大袈裟に言えばその作品をこれからも自分の血肉として摂取し続けるかどうか、とかそんな意味だ。たとえ読み返すことがなくとも、所有している限り、その作品は自分に影響を与え続ける。それを受け入れるか、という問題。そもそも、所有するべきでないものを購入しないように見る目を磨きたいんだけど、それは無理な話。


昔はどうだっただろう。実家にいた頃は、引越しか何かの機会がなければ極力手放さないようにしていた気もするし、その割に手放して1、2ヵ月後には「ああ、あの時手放すんじゃなかった」と後悔していたような気もする。大学に入ってから、というかwebでなんかぐだぐだと垂れ流すようになってからは、「これも後になって何かのネタになるかも」という意識でできるだけ手許に置いておくようになったと思う。今は一部を除いて、わりとなんでもかんでもぽいぽい手放したい周期。なんとなく今は停滞しちゃってる、でも続きが気になるシリーズ物とかでも、続きを読みたいという思いよりいつまでも手許に置いてたくないという思いの方が勝つことが多い。


あれかなー胃腸の働きと同じなのかなーなんてことも思う。食べる量が少ないと、胃腸もどんどん縮んでいく。貧乏生活がずっと続いてると、物欲も、精神的に所有していられる容量も減っていく。で、ちょっと前に漫画・小説等に向けアンテナを高く張って、あれもこれもと購入していた周期があったため、今の所有数は自分の弱体化した許容量からはみ出してるので、必死にそれを排出してる。沈没寸前の船から荷物を海に投げ捨ててるイメージ。最寄の図書館がわりと品揃えがいいので、それも所有欲の減退に拍車をかけているのかもしれない。