10億分の1の男〜ハズレがあるならアタリもあるわけだ。

常識のなせるワザなのか。
人間って、可能性を自分から狭めているとこあるよな。例えば、宝くじ。当たるはずない。100分の1程度でも、自分が99人になる可能性の方が高い、とか、どっかで思ってる。

まあ、なんて夢のない話、なんて思わないでね。
この映画にはサムさん、サミュエルさんという老人がいる。
で、世界中の運試しさんたちが、このサミュエルさんを目指してトーナメント状態になってるわけなんだな〜。彼に挑める挑戦権を得るために、数々の運試しギャンブルが企画されている。
例えば、目隠しして、車が往来する道を横断してみる。
車に当たって死ぬ確率。
車に当たらずに横断出来る確率。
どちらも0じゃない、0じゃないのだ。
夢のない話になってきました。ハズレじゃなくて、アタリがある。
でも、アタリじゃなくて、ハズレもある。
くじがなくなったら、当たったヒトとハズレたヒトがいるわけだ。
サミュエル老人への挑戦は究極のギャンブルである。
6つのうち、5つの弾丸が込められたピストルを持ち、サム老人のこめかみを狙う。
彼を殺すことが出来たら、大当たりである。
だが、これまで多くの方々が挑戦して、失敗してきた。
失敗したら、老人の順番だ、ピストルを渡さなければならない。
バーン。

そんなこんなで、主人公が出てこないまま、映画のお話をしとりますがな。
でも、サミュエル老人にいきつくことが、映画の全てであります。
人類の巨大な「運」ピラミットの頂点。
アタリ続けたハズレなしのたった一人の場所にいる老人。
彼に夢があったとは思えない、むしろ、ハズレを見続けて日々。
ユダヤ人だから、彼が主人公に話すガス室エピソードは、サム老人をピラミットの頂点へ向かわせる入口だった。

「運」というものの、見えないもんを見事に映像化した、スゴイ作品。
スゴイとしか、いいようがないよ、あるんだよ、「運」。アタリはあるのだよ。
ハズレばっかりもあるけどね、アタリもあるのだよ。

映画は乾いて、殺風景だけど、「愛」で終わるのだな。
写真の扱い方がとっても興味深い。ヒトの写真を持つことって、そのヒトの「運」ももらうことなんだな。
10億分の1の男
■Staff
監督: フアン・カルロス・フレスナディージョ Juan Carlos Fresnadillo
製作総指揮: フェルナンド・ボヴァイラ Fernando Bovaira
エンリケ・ロペス・ラビニュ Enrique Lopez Lavigne
脚本: フアン・カルロス・フレスナディージョ Juan Carlos Fresnadillo
アンドレス・M・コッペル Andres M. Koppel
撮影: シャビ・ヒメネス Xavi Gimenez
編集: ナチョ・ルイス・カピヤス Nacho Ruiz Capillas
音楽: ルシオ・ゴドイ Lucio Godoy
 
■Cast
レオナルド・スバラグリア Leonardo Sbaraglia トマス
ユウセビオ・ポンセラ Eusebio Poncela フェデリコ
マックス・フォン・シドー Max Von Sydow サム
モニカ・ロペス Monica Lopez サラ
アントニオ・デチェント Antonio Dechent アレハンドロ