グレゴリ青山「しぶちん京都」

mike-cat2006-10-22



当代一の旅行マンガ家&コラムニスト(京都出身)が、
京都の裏側をディープに暴き出した「ナマの京都」に次ぐ第2弾。
〝“京都らしさ”を堪能するには、やたらお金がかかると思っておられませんか?〟
京都人の代表的な気質のひとつでもある〝しぶちん(ケチ)〟をテーマに、
京都の穴場しぶちんスポットや、京都人のしぶちんぶりを紹介するマンガコラムだ。


グレゴリ青山は、バックパッカー御用達の雑誌「旅行人」などで、
旅行マンガやコラムなどを手がける女性ライターである。(略称は「グ」)
旅行人連載をまとめた「旅のグ」「旅のグ〈2〉月は知っていた」や、
旅で会いましょう。 (大人の週末バックパック)」「ふたたびの旅。―大人の週末バックパック」など、過去の作品は、
いわゆるヘタウマ系の絵のエグさと、独特の飄々とした感覚がマッチして、
どの本を読んでも、ディープな旅に驚きや笑いに包まれつつ、旅心を誘われる。


で、この本は、京都人以外には〝旅〟の対象として大きな存在の京都を、
近年の京都本ブームに乗っかりつつも、地元人ならではのやや違った視点から、
〝よそもん〟には知り得ない、近寄りがたい京都の姿を見せてくれる、楽しい1冊。
前作「ナマの京都」は、こえまた京都人の気質たる〝いけず〟を取り上げつつ、
ディープなスポットを、ややダイジェスト気味に取り上げてくれた〝笑える京都本〟だった。
そして、今回のテーマは前述の通りだ。
吝嗇の気質と倹約の精神をミックスした、京都の文化〝しぶちん〟の視点から、
グレゴリ青山ならではの、京都人だけが知っている、数々の穴場スポットを取り上げていく。


「しぶちん夜遊び案内」では、京都人すら見逃してしまいそうな、
徹底的に〝カネを遣わない〟夜遊びの仕方を伝授してくれる。
そして、「ナマの町屋」では近年ブームの町屋の変遷、
「京都の台所の台所」では、錦市場の裏の裏をのぞくことができる。
ちょっと意味不明なタイトル、「未来くんの哀愁京都案内」では、
1988年京都国体の(ショボい)マスコットキャラクターを主役に、
あの京都タワー京都国立博物館などをめぐる、濃ゆいツアーが繰り広げられる。
このショボさの果てに見えてくる(京都人にさえ)盲点なスポットにはひたすら感心するのだ。


グレゴリ青山ファンなら、もちろん必読だろうが、
もし読んだことがなければ、身近な京都が舞台な分、親しみやすい入門編にもなる。
カバー裏面にも、本で取り上げたスポットを載せた、イラストマップがついてお得な1冊。
何とも言えない絵柄に引くことなく、とりあえずちょっと読み進めば、
立ち読みではもったいなくなってくること、請け合いだ。


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